2013年10月27日日曜日

うつ病とうつ状態は違います

一般にうつと言うと、うつ病を含むうつ状態を意味しています。「うつ病」だけではありません。

うつ状態は心身のエネルギーが低下した場合に起こります。
抑うつ気分、興味の喪失、集中力低下、気力低下、食欲低下、睡眠障害などの精神症状がみられます。また、肩こり、腰痛、めまいなどの身体症状が見られる場合も多くみられます。場合によっては、抑うつ気分などの精神症状よりも身体症状のが強く出てくることもあります。

原因不明の腰痛で整形外科を受診していた患者さんが実はうつ病で、うつ病の治療をすると腰痛が治ったという例を聞いたことがあります。


【うつでみられる身体症状】
疲れやすい、だるい、発熱、発汗、食欲不振、体重減少、胃もたれ、腹痛、吐き気、便秘、下痢、動悸、息苦しさ、過呼吸

めまい、耳鳴り、口や喉の違和感

視力低下、目の疲れ

頭痛、頭が重い、記憶力低下

頻尿、残尿感、膀胱の違和感、性欲減退

月経不順、下腹部の違和感



うつ病の人に「今どんな気分ですか?」と聞いて「鬱です」と言う人は多くはありません。みな、様々な表現をされます。

   抑うつ気分
憂うつ、落ち込んでいる、寂しい、悲しい、重苦しい、情けない、鬱陶しい、切ない、胸にぽっかり穴が開いたよう、真っ暗な世界にいるみたい、感情がわかない、辛い、苦しい

   精神運動制止
すべてがつまらない、集中できない、能率が下がった、何をするのも億劫、いつもなら簡単なのに決断できない、人に会いたくない

   不安・あせり
そわそわ、落ち着かない、ひとりが怖い、じっとしていられない、横になって休めない、すぐに立ち上がりたくなる、家の中をウロウロしてしまう

   自殺念慮
死んだほうが楽、消えたい、どこか遠くまで行ってしまいたい、なにもかも投げ出したい、生きているのが苦しい



うつ状態の人は、問いかけに対して反応が鈍くなります。また動作や話しぶりがゆっくりになります。こちら側の話を聞いているように思われても自分の訴えを際限なく繰り返し、話が堂々巡りになることがあります。


多くの方は、うつ状態の人を見るとまずうつ病を連想すると思います。しかし、うつ状態になる病気はうつ病などの精神疾患だけではなく、様々な病気や薬剤が原因になることもあります。これらは治療法がそれぞれ違います。素人の判断ではなく専門家の適切な鑑別が必要となります。

うつ状態と間違われやすい症状に軽度の意識混濁があります。他には電解質以上や慢性硬膜下血腫があります。

薬剤では、ステロイドやホルモン剤、抗癌剤、H2ブロッカー、インターフェロンなどがうつ状態の原因となります。


【うつ状態がみられる病気】
脳梗塞、脳出血、認知症、パーキンソン病、脳腫瘍、頭部外傷

甲状腺機能低下症、クッシング症候群、糖尿病

全身性エリテマトーデス

虚血性心疾患、高血圧