2014年3月19日水曜日

シロスタゾールは認知症に対する新たな治療となるのか


認知症には2つのタイプがあります

認知症とは、判断力や記憶力といった認知機能が低下して、
日常生活に支障をきたす状態を言います。
認知症の原因は様々あります。
多いのが、アルツハイマー型です。
認知症の65%以上を占めています。
次に多いのが脳血管性の認知症で20%近くを占めています。
アルツハイマー型認知症では、
脳の神経細胞にアミロイドβという老廃物が蓄積して、
神経細胞が壊れるために認知機能が低下すると考えられています。
脳血管性認知症は、動脈硬化によって脳の血管が傷害されて
神経細胞が壊れるために認知機能の低下が起こります。


現在使用されている治療薬
認知症の最大の原因であるアルツハイマー型の治療には、
現在2つのタイプの薬が使用されています。
1つはコリンエステラーゼ阻害薬という神経細胞の神経伝達を活発にする薬です。
具体的には「ドネペジル」「ガランタミン」「リバスチグミン」という薬剤該当します。
もう一つは、NMDA受容体拮抗薬という薬で、
神経細胞の興奮を抑えて神経細胞が壊れるのを防ぐ作用があります。
「メマンチン」という薬剤が該当します。


シロスタゾールと認知症
シロスタゾールは脳梗塞の再発予防や閉塞性動脈硬化症の治療に使われているお薬です。
シロスタゾールは血液を固める血小板のはたらきを抑えて、
血液が固まるのを防ぐ作用があります。副作用には頭痛や頻脈が知られています。

このシロスタゾールの認知症に対する効果を調べる治験が行われました。
ドネペジルを飲んでいる軽度認知症の患者さんを、
ドネペジルだけ飲み続けるグルグループと、シロスタゾールを一緒に飲むグループに分けます。
そして、それぞれのグループに認知機能を調べるための検査
(MMSE:ミニメンタルステート検査)を行ってもらい、
スコアの変化を比較しました。

結果は、ドネペジルだけを飲んでいるグループは、1年間でMMSEスコアが2.3点低下していました。
それに対し、シロスタゾールを一緒に服用していたグループでは0.5点の低下にとどまりました。
シロスタゾールを一緒に服用したグループは、一緒に服用しなかったグループに比べて、
年間低下率が約80%抑えられたことになります。
この研究結果から、シロスタゾールは認知症に効果があるのではないかと、
考えられるようになりました。

Ihara M, et al.,(2014)Cilostazol Add-On Therapy in Patients with Mild Dementia Receiving Donepezil: A Retrospective Study. PLoS One;9:e89516.


脳アミロイド血管症とアルツハイマー型認知症
http://yakuza-14.blogspot.jp/2014/03/blog-post_6848.html