2014年8月12日火曜日

エボラ出血熱に関する対応について



厚生労働省健康局結核感染症課は2014年8月7日各衛生主管部宛に事務連絡を行いました。

また厚生労働省ホームページにてエボラ出血熱について情報提供をしています。


自治体・医療機関向け:事務連絡「エボラ出血熱に関する対応について(情報提供)」(厚生労働省)


検疫所向け:通知文書「西アフリカにおけるエボラ出血熱発生への対応について」(厚生労働省)



日本にいる分には過度な心配はいりません。

エボラ出血熱の感染源はウイルスに感染した動物などの肉や体液です。
従来のエボラ出血熱の流行はジャングル地帯で発生してきました。

しかし、今回は国際空港のある人口200万の大都市でも感染が発生しています。
これは近代化に伴い奥地の住民が都市へ流入したことが理由とも考えられます。

エボラ出血熱の潜伏期間は最長で3週間との報告もあります。
さらなる流行拡大の可能性はあるのでしょうか。

エボラ出血熱は発症から症状が悪くなるまでの期間が非常に短いのが特徴です。
他の人に伝染る前に感染者が激しい脱水症状などで死んでしまいます。
感染力自体は強くありません。
また、流行の最大の原因は現地の医療スタッフを含む医療資源の圧倒的な乏しさです。
今のところ先進国を巻き込んだパンデミックに至る可能性は低いと考えられます。


エボラウイルスについて
エボラウイルスはフィロウイルス科(Filoviridae)のウイルスです。フィロウイルスはエンベロープという構造を持つ多形性のウイルスです。長い繊維状、U字状、6字状、ゼンマイ状をしています。

エンベロープを持つウイルスなので、消毒用エタノールや加熱など、通常の消毒法で簡単に感染性を失ってしまいます。患者さんの血液、体液の接触により感染しますが、手術用手袋などで十分予防可能です。

2014年時点で予防ワクチンは存在しません。


エボラ出血熱の症状
エボラウイルスにより臓器が侵されます。
出血しやすくなります。
効果的な治療法がなく死亡率が高いです。
嘔吐や下痢などによる消化器症状が激しく更に出血も加わるので、輸液や電解質バランスの是正などの支持療法が主体となります。

潜伏期間は2~21日で、平均7日間以内に発症します。

発症は、突発的でインフルエンザにかかった時のような症状が現れます。発熱、頭痛は100%、喉の痛み、筋肉痛が80%の割合で出現します。出血熱という名前の由来になっている吐血や消化管出血などがは80%の感染者で起こるといわれています。

発症から死亡までの時間が短いので、詳細な臨床試験データはありません。

ヒトからヒトへ伝染りますが、感染経路は注射器や針の使い回しからの伝染が主で、血液や体液を介した感染です。空気感染はしません。



IDWR2014年第30号<注目すべき感染症> 西アフリカ諸国におけるエボラ出血熱の流行 2014年(国立感染症研究所)

西アフリカ諸国におけるエボラ出血熱の流行に関するリスクアセスメント(国立感染症研究所)

病原体検出マニュアル エボラ出血熱(国立感染症研究所)

西アフリカにおける2014エボラ発生に関する国際保健規則緊急委員会会合についてのWHO声明(概要)(FORTH 厚生労働省検疫所) 

西アフリカでエボラ出血熱が発生しています(FORTH 厚生労働省検疫所) 


リベリア・シエラレオネ・ギニアについての渡航情報(危険情報)の発出(外務省)

ナイジェリア:エボラ出血熱の発生(外務省)

ギニア、リベリア、シエラレオネ及びナイジェリア他におけるエボラ出血熱の発生状況