2015年3月24日火曜日

タケキャブ錠はピロリ除菌でクラリスロマイシとを併用するが併用注意の理由


タケキャブ錠の添付文書を見ると

タケキャブ錠はCYP3A4阻害剤と併用注意となっています。

しかし、ピロリ除菌ではアモキシシリンとCYP3A4阻害作用のあるクラリスロマイシンと併用することになります。


少し不安な気持ちになりますが、併用注意となった経緯を知れば安心して処方(服薬・調剤)できると思います。



国内の臨床試験において、CYP3A4阻害剤のクラリスロマイシンとタケキャブ(ボノプラザン)を併用投与すると、ボノプラザンの血中濃度が1.8倍近く上昇したというデータが有ります。

海外の臨床試験データでも同様に血中濃度が上昇していました。


しかし、ボノプラザンの血中濃度上昇と有害事象の発現率は相関は認められず、通常の倍量となる1日40mg投与したした場合の有害事象の発現率はランソプラゾール30mgを投与したものと同程度であったという報告があります。

また、臨床試験において、ボノプラザン20mg、アモキシシリン750mg、クラリスロマイシン200mg or 400mgを1日2回投与した場合の有害事象発現割合はランソプラゾールの除菌療法と同程度でした。


このように、ボノプラザンとCYP3A4阻害剤の併用は、臨床上安全性に懸念はないといえます。


安全性に問題はないとしても、それはクラリスロマイシンとの併用試験の結果であって、クラリスロマイシンよりもCYP3A4阻害作用の強い薬剤については、現時点では明らかになっていません。

また、ボノプラザンと併用されるCYP3A4阻害剤は1剤とは限りません。

ピロリ除菌と一緒にグレープフルーツジュースを飲んだり、水虫治療にイトラコナゾールが処方されるかもしれません。

このような場合、ボノプラザンに及ぼす併用薬の影響は未知ですので、十分注意しましょう。という理由で、ボノプラザンとCYP3A4阻害薬は併用注意となっています。


ピロリ除菌以外にもお薬を飲む場合には、飲み合わせに注意しましょう。