2016年4月20日水曜日

避難所で過ごす、アトピー性皮膚炎のこどもたちのために

アトピー性皮膚炎の子どもを世話する方が知っておきたいこと

今までとは違う生活環境で、アトピー性皮膚炎をよい状態に保つことは、とても難しいことだと思います。これまでと同じようにシャワーや入浴がなかなかできない状況で、肌の状態を少しでも悪くしないために、以下のような方法が考えられます。


  • シャワーや入浴ができない時は、熱すぎない程度のお湯でぬらしたタオルで全身の汗やほこりをやさしくぬぐったり、押しふきしてあげてください。全身をふいた後は肌はどんどん乾燥しますので、早めにぬり薬(ステロイド入りや保湿用)をつけましょう。
※市販のウェットティッシュやおしりふきを使うと、香料やアルコールなどの成分でかえって肌があれることがありますので、まず肌の一部で試してみてからお使いください。

  • シャワーや入浴ができない状態が続くと、一般的には肌の調子がわるくなります。そのため、普段からステロイド入りのぬり薬を使っている人は、いつもより強めのステロイドを使うことをお勧めします。普段は保湿用のぬり薬だけで十分な方も、早めにステロイド入りのぬり薬を使うことをおすすめします。ー時的にステロイド入りのぬり薬を強くしたり始めたりしても、適切なスキンケアや治療ができていれば、元の薬に戻したりステロイドを中止することは可能です。

  • 今まで使用していたステロイド入りのぬり薬が手元にない時は、同じくらいの強さや効果をもつ薬で代用しても大丈夫です。保湿用のぬり薬を市販のもので代用することも問題ありませんが、人によっては一部の製品が肌に合わないこともあります。初めて使う時には、 肌のー部で試してみてからお使いください。

  • 肌のお手入れが十分できないうえに様々なストレスや体調不良が加わって、かゆみが強くなることがあります。かゆがる部分を冷たいタオルなどで冷やすと、一時的に楽になることがあります(ただし、ぬれたタオルを長い時間直接肌に当てないように、また小さいお子さんでは体が冷えないように注意してください)。皮膚炎がひどい場合には、ステロイド入りのぬり薬をしっかり使いましょう。また、遊びなどに集中させて気をそらしてあげることも、効果があります。

  • シャワーや入浴ができる機会があれば、病状を説明して優先して利用できるか係りの方に尋ねてみましょう。できれば毎日、石けんを使って体を洗い、よく流すとよいでしょう。しかし、石けんを使わないシャワー浴だけでも効果はあります。特に、汗をかいたら早めに洗い流すとより効果的です。

  • 以上の対策をしても悪化して眠れないような状態が続く時には入院治療をおすすめします。


周囲の方は、アトピー性皮膚炎のこどもだちへの配慮と協力をお願いします。

アトピー性皮膚炎はこどもに多いアレルギーの病気のひとつで、さまざまな原因によってかゆみを伴った湿疹が皮膚にできます。避難所など今までと違う環境で生活していると皮膚の状態が悪化してかゆみが強くなり、そのために、周りの人たちに迷惑をかけているのではないかと家族の方は大変気を遣っていると思います。一緒に過ごされている皆様には、アトピー性皮膚炎について以下のことをご理解のうえ、ご配慮いただけますようお願い致します。

毎日のシャワーや入浴も治療の一部です

高血圧の方が毎日薬を飲んだり、脚の不自由な方がリハビリを続けたりするのと同じように、アトピー性皮膚炎のこどもにとってシャワーや入浴で皮ふを清潔に保つことは治療の上でとても大切なことです。これは決して贅沢で行っているわけではないということをご理解ください。

アトピー性皮膚炎は感染症ではありません

重症のアトピー性皮ふ炎であっても、決して他の人にうつることはありません。抱っこしたり遊んだり、一緒にお風呂に入ったりしても、お互いの心が通うことはあってもアトピー性皮膚炎やアレルギー体質がうつることは全くありません。


悪化するとたいへんかゆくなります

シャワーや入浴ができなかったり、十分に薬が塗れなかったりすると、湿疹が悪くなり昼夜を問わずかゆみがひどくなり、ずっと体をかいていたり、夜泣きがひどくなることがあります。 周りで生活されている方々にはご迷惑かもしれませんが、アトピー性皮膚炎という病気によるものですので、ご理解のほどお願い致します。