2016年6月13日月曜日

6歳以下、65歳以上の吸入には吸入補助器具(スペーサー)を使いましょう




喘息等の吸入療法に用いられる吸入機器には、エアゾールタイプ(pMDI)とドライパダウダー型(DPI)があります。

ドライパダウダー型(DPI)は、患者さん自身のタイミングでドライパウダーが充填されている薬筒を吸うことで、薬を肺の中へ届けることができます。

一方エアゾールタイプ(pMDI) は、薬剤噴霧のタイミングと息を吸うタイミングを合わすことが必要で動作が難しいといわれています。

このエアゾールタイプ(pMDI)の吸入を行いやすくするため吸入補助器具(スペーサー)の使用を必要とする場合があります。

吸入補助器具(スペーサー)は、エアゾールタイプ(pMDI) に取り付けて使用する筒状の容器で、噴霧された薬剤はスペーサーの内腔に一旦収まってから、患者さんのタイミングで吸入されます。

スペーサーを使うことで、薬剤噴霧のタイミングと息を吸うタイミングを合わす必要がなくなります。

また、大型の薬剤粒子は口のなかに沈着してしまい、副作用のリスクを増やすことも知られていますが、スペーサーを使えば大きな分子は内側に付着するため、吸入テロイド薬の副作用のリスクを軽減する役割も有ると考えられています。

以前、製薬会社が自社製剤用に作成したスペーサーがあったようですが、その多くは空気力学的特性や臨床的有用性ならびに安全性に関するデータが十分ではありませんでした。
そのため日本小児アレルギー学会と日本アレルギー学会が連名で、『汎用性があり、かつ空気力学的ならびに臨床的検討が既になされているスペーサーを用いることが望ましい』との提言を行ったこともあり、メーカーからの無償提供は一部を除き行われなくなったようです。


汎用性があり、かつ空気力学的ならびに臨床的検討が比較的よく担保されているのは、エアロチャンバー・プラス、ボアテックスです。

ボアテックスはアルミニウム製の内筒を用いることによって静電気が発生しにくくなっています。


吸入補助器具(スペーサー)の使い方




吸入補助器具(スペーサー)のお手入れ


気管支喘息の時に使用する吸入補助器具(スペーサー)は使用後には必ず洗浄してください。食器と一緒ですので、洗剤にて洗浄が必要です。
吸入補助器具(スペーサー)内に吸入の残薬があると、カビが生えてきます。


吸入器とスペーサーのメンテナンス(独立行政法人 環境再生保全機構)




吸入補助器具(スペーサー)は薬局で購入できます


基本的にはお医者さんから指示があった時に、購入してもらっています。

喘息治療を専門にしていて一定の条件を満たす病院では、
6歳未満又は65歳以上の喘息の患者さんで、吸入ステロイド薬を服用に際して吸入補助器具を必要とする場合、吸入補助器具は病院で患者さんに提供されます。

その際の、吸入補助具の費用は『喘息治療管理料』という代金に含まれています。



エアロチャンバー・プラス
静電気防止タイプ

[AeroChamber.Plus]


マスク 付き 乳児用
(0~18ヵ月)
小児用(1~5才
大人用(5才~)
マウスピース
タイプ
ボーイズ(5才~)
ガールズ(5才~)
大人用(5才~)

ボアテックス
 [VORTEX]
マスクなし 本体
てんテン(2 歳未満) 本体+小児用マスク
かえルン(2 歳以上) 本体+小児用マスク



B001 16 喘息治療管理料
1 喘息治療管理料1
 イ) 1月目75点
 ロ) 2月目以降 25点
2 喘息治療管理料2 280点


1 1については、別に厚生労働大臣が定める基準を満たす保険医療機関において、入院中の患者以外の喘息の患者に対して、ピークフローメーターを用いて計画的な治療管理を行った場合に、月1回に限り算定する。
2 1については、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、重度喘息である20歳以上の患者(中等度以上の発作により当該保険医療機関に緊急受診(区分番号A000に掲げる初診料の注7、区分番号A001に掲げる再診料の注5又は区分 番号A002に掲げる外来診療料の注8に規定する加算を算定したものに限 る。)した回数が過去1年間に3回以上あるものに限る。)に対して、治療計 画を策定する際に、日常の服薬方法、急性増悪時における対応方法について、 その指導内容を文書により交付し、週1回以上ピークフローメーターに加え一 秒量等計測器を用い、検査値等を報告させた上で管理した場合に、次に掲げる 点数を月1回に限り加算する。
( 1 ) 1月目 2,525点
( 2 ) 2月目以降6月目まで 1,975点
3 2については、別に厚生労働大臣が定める基準を満たす保険医療機関において、入院中の患者以外の喘息の患者(6歳未満又は65歳以上のものに限る。)であって、吸入ステロイド薬を服用する際に吸入補助器具を必要とするものに 対して、吸入補助器具を用いた服薬指導等を行った場合に、初回に限り算定する。

通知
(1) 喘息治療管理料1は、保険医療機関が、ピークフローメーター、ピークフロー測定日 記等を患者に提供し、計画的な治療管理を行った場合に月1回に限り算定する。なお、 当該ピークフローメーター、ピークフロー測定日記等に係る費用は所定点数に含まれる。
なお、喘息治療管理料1において、「1月目」とは初回の治療管理を行った月のこと をいう。
(2) 喘息治療管理料2は、6歳未満又は65歳以上の喘息の患者であって、吸入ステロイド 薬を服用する際に吸入補助器具を必要とするものに対して、吸入補助器具を患者に提供し、服薬指導等を行った場合に、初回に限り算定する。指導に当たっては、吸入補助器 具の使用方法等について文書を用いた上で患者等に説明し、指導内容の要点を診療録に 記載する。なお、この場合において、吸入補助器具に係る費用は所定点数に含まれる。
(3) 喘息治療管理料を算定する場合、保険医療機関は、次の機械及び器具を備えていなけ ればならない。ただし、これらの機械及び器具を備えた別の保険医療機関と常時連携体 制をとっている場合には、その旨を患者に対して文書により説明する場合は、備えるべ き機械及び器具はカ及びキで足りるものとする。
ア 酸素吸入設備
イ 気管内挿管又は気管切開の器具
ウ レスピレーター
エ 気道内分泌物吸引装置
オ 動脈血ガス分析装置(常時実施できる状態にあるもの)
カ スパイロメトリー用装置(常時実施できる状態にあるもの)
キ 胸部エックス線撮影装置(常時実施できる状態にあるもの)
(4) ピークフローメーターによる治療管理の実施に当たっては、関係学会よりガイドラインが示されているので、治療管理が適切になされるよう十分留意されたい。
(5) 「注2」に規定する加算については、当該加算を算定する前1年間において、中等度 以上の発作による当該保険医療機関への緊急外来受診回数が3回以上あり、在宅での療 養中である20歳以上の重度喘息患者を対象とし、初回の所定点数を算定する月(暦月) から連続した6か月について、必要な治療管理を行った場合に月1回に限り算定するこ と。
(6) 当該加算を算定する場合、ピークフローメーター、一秒量等計測器及びスパイロメー ターを患者に提供するとともに、ピークフローメーター、一秒量等計測器及びスパイロ メーターの適切な使用方法、日常の服薬方法及び増悪時の対応方法を含む治療計画を作 成し、その指導内容を文書で交付すること。
(7) 当該加算を算定する患者に対しては、ピークフロー値、一秒量等を毎日計測させ、そ の検査値について週に1度以上報告させるとともに、その検査値等に基づき、随時治療 計画の見直しを行い、服薬方法及び増悪時の対応について指導すること。
(8) 当該加算を算定する患者が重篤な喘息発作を起こすなど、緊急入院による治療が必要 となった場合は、適切に対応すること。


疑義解釈資料の送付について(その4)平成28年6月14日

【喘息治療管理料】
(問19)
「喘息治療管理料2」について、吸入補助器具を患者に提供し、服薬指導を行った場合に、初回に限り算定することとされたが、
①「初回に限り算定する」の初回とはどういう意味か。吸入は以前から行っていたが、新たに補助器具を用いて指導を行った際にも算定できるのか。
②薬剤の変更や、吸入補助器具の汚損等の理由により、再度算定することは可能か。

(答)
①初回とは、吸入補助器具が初めて患者に提供され、併せて服薬指導が実施された時点をいう。従前から吸入を実施していた患者について、吸入補助器具を初めて交付し、併せて服薬指導を実施した際にも算定できる。
②吸入補助器具については、汎用性及び耐久性のあるものを交付すべきであり、薬剤の変更や、吸入補助器具の破損等により再交付する場合については、初回に算定する管理料に含まれる。但し、算定から年月が経過し、小児の成長に伴い、大きさの異なる補助器具を使用する必要が生じた場合に限り、1回(初回の交付が1歳未満の場合には2回)に限り、再度算定できる。この場合には、再度算定が必要な理由を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。