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2026年1月27日火曜日

2026年(令和8年)調剤報酬改定:【調剤基本料】門前薬局等立地依存減算



「門前薬局等立地依存減算」について、都市部の「レッドゾーン」での新規出店が大幅に制限される見通しとなりました。


1. 制度の全体像と狙い

この減算は、都市部で新規開設される薬局のうち、特定の医療機関への処方箋集中度が高く、かつ薬局が密集している場合に、調剤基本料から一定点数を減算するペナルティです。

減算点数:15点

「患者のための薬局ビジョン」から10年経過しても、立地依存型の経営構造が改善されない現状にしびれを切らした厚労省の策とも言えます。厚生労働省の狙いは、面分業の推進と薬局の地域分散化にあり、過度な門前・医療モール集中を抑制することにあります。


2. 対象地域

「都市部」の範囲は厚生労働大臣が定める以下の政令指定都市および東京23区全域が対象です。これらの地域で新規出店する場合、減算リスクを常に考慮する必要があります。

地方 都道府県 対象となる市区(政令指定都市および東京23区)
北海道・東北 北海道 札幌市
宮城県 仙台市
関東 埼玉県 さいたま市
千葉県 千葉市
東京都 特別区(23区全域):千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、台東区、墨田区、江東区、品川区、目黒区、大田区、世田谷区、渋谷区、中野区、杉並区、豊島区、北区、荒川区、板橋区、練馬区、足立区、葛飾区、江戸川区
神奈川県 横浜市、川崎市、相模原市
中部・北陸 新潟県 新潟市
静岡県 静岡市、浜松市
愛知県 名古屋市
近畿 京都府 京都市
大阪府 大阪市、堺市
兵庫県 神戸市
中国・九州 岡山県 岡山市
広島県 広島市
福岡県 北九州市、福岡市
熊本県 熊本市


3. 減算が適用される条件

この減算は、「特別調剤基本料A(敷地内薬局)」以外の薬局で、以下の【パターンA】または【パターンB】に該当する場合に適用されます。

【パターンA】病院門前・密集地型

以下のすべてに該当する場合、減算となります。

  1. 地域要件:上記の「別表」に掲げる地域に所在すること。
  2. 距離要件:水平距離500メートル以内に他の保険薬局があること。
  3. 集中率要件:特定の医療機関からの処方箋集中率が85%超であること。
  4. 過密立地要件:以下のいずれかに該当すること。
    • 大型病院前:許可病床数200床以上の病院の敷地境界線から100メートル以内にあり、かつそのエリア内(病院敷地内含む)に他の薬局が2つ以上ある。
    • 密集地:当該薬局の周囲50メートル以内に、他の薬局が2つ以上ある。
    • 密集地の隣接:当該薬局の周囲50メートル以内に所在する他の薬局が、上記の密集地に該当している。

【パターンB】医療モール型

地域に関わらず、以下の両方に該当する場合、減算となります。

  1. 集中率要件:特定の医療機関からの処方箋集中率が85%超であること。
  2. 建物要件:医療機関が所在する建物または敷地と、同一の建物内または敷地内に所在すること。

※重要:医療モールの抜け道対策として、同一建物・敷地内の複数の医療機関は「1つの医療機関」とみなして集中率や受付回数を計算する規定が盛り込まれています。これにより、複数クリニック分散の戦略が無効化されます。


4. 既存店への経過措置と今後

この減算は「新規開設」を強く抑制する意図があるため、既存店には経過措置が設けられています。

  • 経過措置:令和8年(2026年)5月31日において、現に指定を受けている保険薬局については、当面の間、この減算の対象外とされます。

どうする?どうなる

  1. 都市部出店戦略の転換:東京23区や政令指定都市での門前・医療モール出店は、基本料減算を前提とした厳しい収支計画が必要です。実質的に新規門前ビジネスは困難になります。代替策として、郊外部での在宅特化型薬局や、地域包括ケア連携モデルへのシフトが推奨されます。
  2. 既存店の価値上昇:経過措置により既存店は減算を免れるため、対象地域内の既存薬局のM&A価値(営業権)が相対的に高まる可能性が高いです。売却・買収の好機?


また、減算とは別に都市部(当該保険薬局が厚生労働大臣が定める地域に所在し、かつ、水平距離500メートル以内に他の保険薬局がある場合)に新規開設する保険薬局のうち、特定の保険医療機関からの処方箋受付割合が85%を超え、処方箋の受付回数が1月に600回を超えるものは、調剤基本料2を算定することになります。

今回の改定は「距離制限の復活」とも呼べる内容で、都市部の薬局配置に深く切り込んだ内容になっています。



2026年1月26日月曜日

2026年(令和8年)調剤報酬改定:地域支援体制加算が大幅再編!「地域支援・医薬品供給対応体制加算」へ名称変更&後発医薬品調剤体制加算廃止のポイント



 2026年6月施行予定の調剤報酬改定で、最も注目される変更の一つが地域支援体制加算の再編です。

名称が「地域支援・医薬品供給対応体制加算」に変わり、後発医薬品調剤体制加算が廃止・統合されることで、評価体系が大きく変わります。

目的は「地域での医薬品安定供給の確保」と「地域医療への貢献」の両立をより強く評価することです。

本記事では、中医協の個別改定項目(短冊)に基づき、変更の概要・新加算の区分・要件・経過措置を詳しく解説します。

1. 名称変更と再編の全体像

  • 新名称:地域支援・医薬品供給対応体制加算
  • 主な目的:地域における医薬品の安定供給拠点としての機能を強化しつつ、従来の地域医療貢献を継続評価。
  • 最大の変更点後発医薬品調剤体制加算(1~3)が廃止され、新加算(特に加算1)に後発使用割合の要件が統合されました。
    これにより、後発促進の評価は残りつつ、安定供給体制(在庫管理・供給 chain 対応など)が必須条件に。

区分は1~5の5段階に再編され、調剤基本料の種類(基本料1か否か)や地域貢献の実績で差がつく構造です。


2. 新加算の区分・点数・主な要件(表)

区分 点数
(受付1回につき)
主な要件の概要
加算1 27点 ・医薬品の安定供給確保に必要な体制を有すること
・後発医薬品の使用割合が85%以上(旧後発医薬品調剤体制加算の要素を統合)
加算2 59点 ・加算1の要件を満たす
調剤基本料1を算定していること
・地域医療への貢献に係る十分な体制を有すること
・地域医療への貢献に係る十分な実績を有すること
加算3 67点 ・加算1の要件を満たす
調剤基本料1を算定していること
・地域医療への貢献に係る十分な体制を有すること(加算2相当)
・地域医療への貢献に係る相当の実績(加算2より高い水準)を有すること
加算4 37点 ・加算1の要件を満たす
調剤基本料1以外(特別調剤基本料B以外)を算定していること
・地域医療への貢献に係る十分な体制を有すること
・地域医療への貢献に係る十分な実績(加算2相当)を有すること
加算5 59点 ・加算1の要件を満たす
調剤基本料1以外(特別調剤基本料B以外)を算定していること
・地域医療への貢献に係る十分な体制を有すること
・地域医療への貢献に係る相当の実績(加算3相当)を有すること

特記事項
・特別調剤基本料Aを算定する薬局は、所定点数の100分の10(10%)に相当する点数を算定。
・令和9年6月以降は一部で100分の200(200%)算定の可能性も議論されていますが未確定。


3. 体制要件・実績要件の見直し内容

体制要件(主な変更点)

  • 令和8年6月以降に開設・増改築する薬局は、調剤室面積16㎡以上を必須とする。
  • セルフメディケーション関連機器(血圧計、体組成計など)の設置を要件に追加。
  • 薬事未承認の研究用試薬・検査サービスの販売・提供を禁止(要件違反で算定不可)。

実績要件(主な変更点)

  • 調剤時の薬剤一元管理による疑義照会や残薬調整の実績を重視。
  • かかりつけ薬剤師による服薬指導の実績(服薬管理指導料1のイなど)。
  • 服用薬剤調整支援料」は要件項目から削除(同支援料自体の見直しに伴う)。

後発使用割合は加算1の前提条件となり、旧後発加算3相当の高い割合が基準になる見込みです(具体割合は告示待ち)。


4. 経過措置

  • 令和8年3月31日時点で後発医薬品調剤体制加算1・2・3の届出を行っている薬局は、
    令和9年5月31日までの間、新加算1の後発医薬品使用割合の基準を満たしているものとみなされます。

この猶予期間があるため、急激な算定不可を避けられますが、令和9年6月までに後発使用割合の維持・向上と地域貢献実績の積み上げが重要です。


まとめ:薬局が今から準備すべきこと

今回の再編は「安定供給+後発促進+地域貢献の実績」を一体的に評価する方向性です。
特に都市部・新規開設薬局は調剤室面積や機器設置でハードルが上がる可能性が高いため、早めの確認を。