2014年11月28日金曜日

バイオシミラー バイオ後続品



バイオ医薬品のジェネリック医薬品
と、考えてもらっていいです。
厳密には違いますが。


バイオ医薬品とは
有効成分がタンパク質由来(成長ホルモン、インスリン、抗体など)、
生物由来の物質(細胞,ウイルス,バクテリアなど)により産生される医薬品です。
これらはアスピリンなどの化学合成の低分子医薬品に比べて分子が大きく、
構造が複雑であり、その特性や性質は一般に製造工程そのものに依存します。


バイオ医薬品は遺伝子組換え技術、細胞融合や細胞培養などの
バイオテクノロジーを用いて作られた医薬品です。

代表的なものには、
  • インスリン製剤
  • インフリキシマブ(レミケード)
  • エポエチンアルファ(エスポー)
  • ソマトロピン(ジェノトロピン)
  • フィルグラスチム(グラン)
などがあります。

これらは、2001年ごろから特許期限を迎えてきました。
そして、次々と後発医薬品の開発が行われています。


日本におけるバイオ医薬品開発 -アンケート調査に基づく分析(医薬産業政策研究所)


しかし、バイオ医薬品は化学合成の低分子医薬品とはちがって
既存薬との有効成分の同一性を実証することが困難なのです。


そこで、
後発医薬品の承認申請における新たな区分として「バイオ後続品」が追加されました。
バイオ後続品とは以下のように定義され、
新有効成分含有医薬品や後発医薬品とは区分して取り扱われています。
「国内で既に新有効成分含有医薬品として承認されたバイオテクノロジー応用医薬品(先行バイオ医薬品)と同等/同質の品質、安全性、有効性を有する医薬品として、異なる製造販売業者により開発される医薬品」


バイオ後続品の品質・安全性・有効性確保のための指針
 http://www.nihs.go.jp/dbcb/TEXT/yakusyokushinsahatu-0304007.pdf



これらのバイオ後続品の開発にあたっては、
品質特性評価データに加えて、
非臨床試験及び臨床試験データも含め、
同等/同質であることを示す必要があるとされています。


バイオ後続品に関する同等性/同質性評価の目標は、
先行バイオ医薬品と品質特性が全く同一であるということを意味するものでないのです。


品質特性において非常に似ている、かつ、
何かちがいがあったとしても、最終製品の安全性や有効性に
有害な影響を及ぼさないことを示されればいいのです。


さらに、安全性に関わる製造販売後調査も重要とされています。
製造販売後調査期間においては、有害事象のトレーサビリティーを確保することが重要です。
先行バイオ医薬品や同種・同効医薬品とバイオ後続品を、
一連の治療期間内に切替えたりすることは
基本的に避ける必要があります。


バイオシミラーとジェネリック医薬品の違い
 https://mink.nipponkayaku.co.jp/biosimilar/chigai.html

分子量
バイオシミラー
大きい

ジェネリック医薬品
小さい

開発要件
バイオシミラー
  • 独自のセルライン・セルバンクを研究開発
  • 品質特性(有効成分・不純物等)の同等性/同質性の比較
  • 非臨床試験で薬理作用の比較及び安全性を確認
  • 臨床試験で同等性/同質性の比較及び安全性の確認
  • 製造販売後調査(免疫原性の問題等に留意する)

ジェネリック医薬品
  • 生物学的同等性試験(静脈内投与は免除)




バイオ後続品に係る一般的名称及び販売名の取扱いについて

バイオ後続品の一般的名称及び販売名は、
バイオ後続品であることを明示するため、先行バイオ医薬品及び
その他のバイオ後続品の名称とは容易に区別できるものとされています。

一般的名称:●●●●●●(遺伝子組換え)[□□□□□□後続 1]
販売名:□□□□□□ BS 注射液 含量 会社名

例:レミケード後続品
一般的名称:インフリキシマブ(遺伝子組換え)[インフリキシマブ後続 1]
販売名:インフリキシマブBS  点滴静注用 100mg「NK」




日本で承認されたバイオ医薬品( 国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部 )

日本で承認された組換え医薬品・細胞培養医薬品の一覧が掲載されています。
分類欄等に後続品の記載もあります。




2014年11月27日木曜日

フッ素でうがい 知っておきたいこと


2014年11月26日
厚生労働省の薬事・食品衛生審議会要指導・一般用医薬品部会は、
サンスターの虫歯予防剤(有効成分=フッ化ナトリウム)
「エフコート」
「エフウォッシュ」
「バトラーエフウォッシュ」
を要指導薬に指定することを了承しました。
1物多名称の申請で、3品目とも同一製品です。
承認条件として、3年間の安全性に関する製造販売後調査が課されます。
「虫歯の予防」を効能とする初のスイッチとなる予定です。



虫歯は、歯垢の中の口腔細菌によって作り出された酸によって起こります。
この酸は、あまい食品にふくまれる、糖分を原料に作り出されます。

酸が歯の硬い組織を壊すことで、歯が溶けていきます。

虫歯の予防方法としては、フッ素を使った方法が有効とされています。
歯の表面が溶けかかっている、虫歯になる手前の状態に、
フッ素を塗ると、歯の補修が促されます。
これを再石灰化といわれます。

このフッ素を使って行う虫歯予防には、
フッ素うがい(フッ化物洗口法)や
フッ素歯磨き(フッ化物配合歯磨剤の使用)、
フッ素スプレー、
フッ化物歯面塗布法があります。


なかでもフッ化物洗口法は、ぶくぶくうがいのできる子供からお年寄りまで
行うことができる簡単な方法で、
虫歯予防効果に優れ、
安全性が高く費用対効果も高いなど、メリットが有ります。

フッ素を使った予防法のうち最も公衆衛生的特性に優れた方法とされています。
平成15年1月、厚生労働省は「健康日本21」における歯科保健目標達成のために、
フッ化物洗口が有効であると認め「フッ化物洗口ガイドライン」を各都道府県に通知しています。

厚生労働省フッ化物洗口ガイドライン(PDF)

そのため健康増進事業として自治体主導で行っているところもあるようです。


埼玉県:「埼玉県におけるフッ化物洗口の実務マニュアル」について

鳥取県:むし歯予防フッ化物洗口事業

秋田県大仙市:虫歯予防とフッ化物洗口事業

長崎県:長崎県フッ化物洗口剤普及指針

愛知県:フッ化物洗口実践集~学校現場の取組みと工夫&事業評価~

宮崎市:フッ化物洗口事業について


フッ素うがい方法
フッ化ナトリウムとして0.05~0.1%溶液を用意します。
これを1回5~10mLを口に含んで、ぶくぶくうがいをします。
目安は、幼稚園児で5mL、小学生以上で7mL~10mLです。
多く含めば効果が上がるものではありません。適量を心がけましょう。
時間は約30秒くらいです。
1日1回食後または寝る前に行うのが効果的です。
終わったら、十分に薬液を吐き出します。


フッ化物洗口の安全性:1回の洗口での口腔内フッ化物残留量
園児のうがいの後に薬液が残っている割合は約10%です。

普通の生活で、飲んでいるお茶にもフッ化物は含まれています。
過度に心配する必要はありません。
お茶をコップ1~1.5杯飲んだときに摂取するフッ化物の量は約0.2mgです。
(この量はフッ化物錠剤の投与基準量の0.5mg/日(3-6歳児)の半分以下です。)

また体重20kgのお子さんが1回分の薬液を全部誤って飲んだとしても、急性中毒の心配はありません。


もし、フッ化物を飲んでしまったら!応急処置の方法?

もし多量のフッ化物を誤飲してしまったら、
牛乳を飲ませてあげてください。
牛乳のカルシウムイオンとフッ化物イオンがくっついて、
無害のフッ化カルシウムになります。 
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2014年11月20日木曜日

アセトアミノフェンの過量摂取に注意しましょう


アセトアミノフェン含有製剤は、アセトアミノフェンを含む他の製剤(一般用医薬品を含む)との併用を避けることが注意喚起されております。


カロナールとアセトアミノフェンを含む他の製剤との併用及び併用による過量投与についてhttp://www.jshp.or.jp/cont/14/1030-5-2.pdf

総合感冒薬や解熱鎮痛剤等の配合剤には、アセトアミノフェンを含む製剤がたくさんあります。


商品名だけでは、中にアセトアミノフェンが含まれているかどうか判断できず、意図せず偶然にも併用していまい、アセトアミノフェンの過量投与となってしまう恐れがあります。


最悪の場合、重篤な肝障害が発現するおそれがあります。



調剤する際にはアセトアミノフェンを含む製剤同士の併用及び併用による過量投与を避けるために、アセトアミノフェンが含まれる製剤が併用(処方)されていないか確認しましょう。


一般用医薬品にも含まれているものがたくさんあるので普段愛用されているものを、持参していただき確認するなど、アセトアミノフェンを含む製剤と併用しないよう患者さんに伝えましょう。



アセトアミノフェン含有製剤

2014年11月19日水曜日

日本薬局方乾燥甲状腺 チラーヂン末 販売中止




2014年10月「チラーヂン末」販売中止の案内が出されました。
あすか製薬「チラーヂン末」販売中止予定のお知らせ

2016年3月末をもって経過措置期間満了しました。
2016年4月から『チラーヂン末』という商品名での保険請求はできません。


1950年から65年以上使われたお薬。
東日本大震災のとき、品薄になってテンヤワンヤしたのを思い出します。


甲状腺ホルモン製剤には
乾燥甲状腺末「チラーヂン末」と
レボチロキシン(T4)「チラーヂンS」
リオチロニン(T3)「チロナミン」
の3種類があります。

T4は体の中で脱ヨウ素化されてT3となり効力を発揮します。

T4製剤は最高血中濃度6~7時間、半減期が7日間ととても長くゆっくりじっくり効果を示し、甲状腺ホルモン血中濃度も維持しやすいのが特徴です。

T3製剤はT4製剤に比べて腸管からの吸収がよく、とてもはやく効果を示すのですが、半減期が短く効果が長続きせず、副作用が出やすいとされています。

乾燥甲状腺末は動物の甲状腺をすり潰して粉末にしたもので、T4/T3含有比が 3~5 と一定ではありません。

そのため、現在では殆ど使われていません。


現在、甲状腺機能低下症治療ではT4製剤が用いられることが多いです。


販売中止の理由は明らかにはされていませんが、上記のように、使用量が減ってきた。また、原料の調達が困難になってきた、ということが考えられます。


T4で効果がイマイチな人が、チラーヂン末に替えみたら、調子が良くなったという方もいらっしゃいます。

いまだに、チラージン末の処方箋も見ますし、販売中止は残念です。



代替薬には・・・
T4製剤のチラーヂンS錠、チラージンS散か
T3製剤のチロナミン錠
があります。

慢性甲状腺炎の適応はT4になく、甲状腺機能障害による習慣性流産及び不妊症の適応はT4,T3にありません。

しかし、臨床上は甲状腺機能低下症の治療の範疇に含まれますので、甲状腺ホルモン補充療法としてT4製剤およびT3製剤は代替可能と考えられます。


切替え時の投与量の目安
一律に換算量を定めることはできません。
臨床症状・検査値をみながら患者ごとの対応が必要です。
目安は以下のとおりです。

一般名  乾燥甲状腺    レボチロキシン(T4)  リオチロニン(T3)
商品名  チラーヂン末   チラーヂンS錠/散    チロナミン錠  
     40mg~60mg     100μg         25μg





4種混合ワクチン スクエアキッズとテトラビック、クアトロバックの違い




4種混合ワクチンとは、ジフテリア、百日せき、破傷風、ポリオを予防するためのワクチンです。
4種類のウイルスまたは毒素が混合されています。

日本では2014年時点で、3製品が承認されています。
  • スクエアキッズ(ジャパンワクチン)
  • テトラビック(阪大微生物病研究会)
  • クアトロバック(化学及血清療法研究所)


この3つのワクチンの大きな違いは、ポリオウイルスの株が違うことです。
スクエアキッズに含まれるポリオワクチンは野生株由来ソークワクチンと呼ばれるものです。
テトラビックとクアトロバックに含まれるポリオワクチンはセービン株と呼ばれるものです。


野生株由来ソークワクチンとセービン株
ソークワクチンは病原性を持つ野生のポリオワクチンを大量に培養したものを
殺して不活化させたウイルスです。
1955年にアメリカで使用され、全世界に拡がっています。60年近い使用実績があります。

一方、セービン株は、病原性を持つ野生株の毒性を弱め、それを大量に培養します。
これは2012年まで接種されていた経口ポリオワクチンです。
これをさらに、不活化させたものが、テトラビックやクアトロバックに含まれる
セービン株由来のワクチンです。
これは、日本で開発されたもので、まだ使用経験が浅いものです。

世界的にはソークワクチンがスタンダードです。







包装が違う
スクエアキッズはシリンジに0.5mL薬液が充填されたものが1本入っています。
針はついていません。別で購入する必要があります。

テトラビックはシリンジに0.5mL薬液が充填されたものが1本入っています。
針は26G、5/8inchのものがシリンジにセットされた状態で付いています。

クアトロバックはシリンジに0.5mL薬液が充填されたものが2本入っています。
針は27G、1/2inchのものが付いています。シリンジにはセットされていません。



【2015年10月追記】(11月訂正)
スクエアキッズの発売日は2015年12月9日です。
https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/52390/Default.aspx



【2015年11月追記】
クアトロバックが品薄、欠品しているようです。

クアトロバック皮下注シリンジ 弊社在庫欠品のお詫び(化血研)
http://www.kaketsuken.or.jp/images/stories/Release_med_V1510_2.pdf


代替品はテトラビックです。

四種混合ワクチンは合計4回接種しますが、クアトロバックで接種していたものを、スケジュールの途中でテトラビックへ変更してもよいのでしょうか。

答えは、問題ありません。

上記にあるように、クアトロバックとテトラビックは製造方法、中身は同じものです。
引っ越しなどで、かかりつけの小児科が変わる場合など使用するワクチンを変更する例はよくあることです。




ビームゲンとヘプタバックスⅡの違い

大きな画像はこちら


※2016年10月からB型肝炎の予防接種は定期接種になりました。
B型肝炎ワクチンの定期接種化について - 厚生労働省
定期接種実施要領(平成28年6月22日改訂)

B型肝炎ワクチンは1982年以降、世界で10億回以上接種されている、とても安全なワクチンです。

日本でB型肝炎ワクチンとして発売されているものには2種類あることをご存知でしょうか。

ビームゲンヘプタバックスⅡです。

両者の違いは何なのでしょうか。


B型肝炎ウイルス


B型肝炎にはAからJまでの9つの遺伝子型(ジェノタイプ)があります。
日本は今までジェノタイプCの感染者が多くみられていました。
しかし近年欧米に多いジェノタイプAの感染者が日本でも増加していると報告されています。

Kobayashi M et al,(2008)Change of hepatitis B virus genotypes in acute and chronic infections in Japan. J Med Virol.;80:1880-1884
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/jmv.21309/pdf


ワクチンの原料となるウイルスの型が違う


ヘプタバックスはジェノタイプA(adw)、
ビームゲンはジェノタイプC(adr)のみを抗原に含みます。


このように書くと、

「ヘプタバックスはジェノタイプAしか予防できないのか」

「2種類接種しなければ予防できないのではないか」

と、思われるかもしれませんが大丈夫です。

どちらのワクチンも抗原性に普遍性があり、1種類の抗原で他の種類もカバーすることが出来るのです。


接種の途中でワクチンの種類を変えてもいいのか?


「1回目、2回目はヘプタバックスだったのに3回目はビームゲンで接種したのだけれど問題ないのでしょうか?」よく耳にする質問です。

世界には数多くのB型肝炎ワクチンがあります。
接種の途中でワクチンの種類が変わっても、免疫反応には全く問題がないと言われています。

Hepatitis B Vaccination. Who should be vaccinated against Hepatitis B?(CDC)
http://www.cdc.gov/hepatitis/HBV/HBVfaq.htm#vaccFAQ

ワクチン類はいずれも国立感染症研究所にて国家検定を受ける医薬品であり、ウイルス培養の特別な試験を除けば、一般的な試験項目は同じであり、一定水準の有効性・安全性を有していると判断されます。
一般社団法人日本ワクチン産業協会:ワクチンの基礎:29,2013.
http://wakutin.or.jp/medical/index.html


予防接種に関するQ&A集2013年(一般社団法人日本ワクチン産業協会)にも、
「B型肝炎ワクチンは複数回の接種が必要となっており、各製品の製造元では他社製品との互換性に関する臨床試験は行われていませんが、用法・用量が同一であり、同一の基準による国家検定に合格した製品であることから互換性があると考えられています。」
と記載されています。

したがって、ビームゲンとヘプタバックスを接種しても、想定される支障は現時点ではありません。

第16回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会(平成28年9月16日)において「1歳未満児を対象とした「組換え沈降B型肝炎ワクチン(酵母由来)」の互換性に関する臨床研究」報告書が示されました。

その報告書によると『「ビームゲン」と「ヘプタバックス-Ⅱ」のいずれの組み合わせにおいても、3回接種後には感染制御に必要な抗体価を獲得でき、重篤な副反応も認めなかったことから、これら2種類の組み換え沈降B型肝炎ワクチンでの互換性が確認された』と結論付けられました。

【2016.9追記】

抗体獲得率


ヘプタバックスが92~100%、
ビームゲンは96~100%。


添加物の違い


ヘプタバックスは防腐剤のチメロサールを含有していません。
ビームゲンはチメロサールを含有しています。

チメロサール含有製剤の接種により、過敏症(発熱、発疹、蕁麻疹、紅斑、そう痒等)があらわれたとの報告がありますので、接種後は観察を十分に行い様子をみましょう。

バイアルのゴム栓の素材の違い


ヘプタバックスのバイアルのゴム栓は乾燥天然ゴム(ラテックス)を含んでいます。
ビームゲンは合成ゴムです。

ラテックス過敏症のあるヒトがヘプタバックスを接種されると、アレルギー反応があらわれる可能性があるので十分注意が必要です。

2018年5月30日付で組換え沈降B型肝炎ワクチン(酵母由来)「ヘプタバックス®-Ⅱ 水性懸濁注シリンジ0.25mL」および「ヘプタバックス®-Ⅱ水性懸濁注シリンジ0.5mL」が薬価基準に収載されました。(発売は8月頃を予定)
https://www.msdconnect.jp/products/heptavax/benefit.xhtml
シリンジ製剤には天然ゴムは使用されていませんので、ラッテクス過敏症の方でにも使用可能です。

包装の違い


ヘプタバックスは1バイアル0.5mLのものしかありません。
ビームゲンは1バイアル0.5mLと0.25mLの2種類あります。

10歳未満のお子様には1回0.25mLを接種するので、ビームゲンのほうが無駄がでないですね。

※ヘプタバックスも0.25mL製剤を発売予定とのことです(2016年6月時点発売時期未定)
2018年5月30日付で組換え沈降B型肝炎ワクチン(酵母由来)「ヘプタバックス®-Ⅱ 水性懸濁注シリンジ0.25mL」および「ヘプタバックス®-Ⅱ水性懸濁注シリンジ0.5mL」が薬価基準に収載されました。(発売は2018年8月27日を予定)
https://www.msdconnect.jp/products/heptavax/benefit.xhtml

ヘプタバックスにはバイアル(0.5mL)とプレフィルドシリンジ(0.25mL/0.5mL)があります。
ビームゲンにはバイアル製剤(0.25mL/0.5mL)しかありません。

医療ニーズに対応するB型肝炎ワクチン製剤



【2017年3月追記】
2017年3月21日、10歳未満への誤接種による過量投与の報告があり、ビームゲン及びヘプタバックスⅡ製造の各社が「適正使用のお願い」を発出しました。

http://www.pmda.go.jp/files/000216940.pdf

http://www.pmda.go.jp/files/000216941.pdf











チアシードではやせない

チアシードはチアというシソ科植物の種です。


チアは中央アメリカ原産の1年草で、高さ約1 mに生長し、白または紫色の小さな花をつけます。


チアシードは直径約1 mm、黒または灰色の卵型をしています。


古代アステカで食用として用いられていたといわれています。


俗に「ダイエットによい」「抗酸化によい」「血圧によい」などと言われています。


しかし、ヒトにおける有効性についてはデータはありません。


一方、肥満には効果が無いというデータが報告されています。


過体重または肥満の閉経後女性56名 を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、粉砕または全粒のチアシード1日25 gを10週間摂取させました。


けれども、BMI、体脂肪率、血糖値、血清コレステロール、C反応性蛋白、血漿中炎症マーカー (IL-6、TNF-α、IL-8、IL-10) 、収縮期血圧、脈波増大係数に影響は認められませんでした。


Nieman DC et al,(2012)Chia seed supplementation and disease risk factors in overweight women: a metabolomics investigation.J Altern Complement Med. ;18(7):700-8.
http://online.liebertpub.com/doi/abs/10.1089/acm.2011.0443


過体重または肥満の成人67名を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、1日500 kcalの減量とともに1日量として以下を含む食品を2ヶ月間摂取しました。

チアシード4 g、
大豆たんぱく質32 g、
乾燥ノパル7 g、
オートムギ22 g

血清トリグリセリド、C反応性蛋白濃度、インスリンAUCの低下が認められました。


しかし、その他の血中脂質や体格 (体重、BMI、腹囲、体脂肪率) 、血圧に影響は認められませんでした。

Guevara-Cruz M et al,(2012)A dietary pattern including nopal, chia seed, soy protein, and oat reduces serum triglycerides and glucose intolerance in patients with metabolic syndrome.J Nutr. ;142(1):64-9.
http://jn.nutrition.org/content/142/1/64.long



チアシードの安全性


短期間、適切に摂取した場合は安全だろうと考えられています。


しかし、妊娠中・授乳中に摂取した場合の安全性は、信頼できるデータが見当たりません。


したがって食べるのはやめたほうがよいでしょう。


胃腸疾患または低血圧の患者さんの摂取は危険性があるといわれています 。


サルビア属の植物(セージ)にアレルギーのある人や、ゴマやカラシナ種子にアレルギーのある人では、おそらく危険と思われます。



ワルファリンの血中濃度に影響するかもしれません


チアと同属のタンジン (Salvia miltiorrhiza) の根がワルファリンの血中濃度に影響することが報告されています。

チアの根もワルファリンやシトクロムP450で代謝される医薬品の作用に影響を与える可能性があります。

ワルファリンを服用されている方は相互作用に注意が必要です。


“Chia.” Natural Medicines Comprehensive Database. Therapeutic Research Faculty, 2013. 8 November 2013.



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2014年11月18日火曜日

膵・消化管神経内分泌腫瘍治療剤 ストレプトゾシン(ザノサー)




ストレプトゾシン(商品名:ザノサー)は、アメリカで開発されたニトロソウレア系抗悪性腫瘍剤です。


ストレプトゾシンの作用機序
ストレプトゾシンは、
ニトロソウレア系のアルキル化剤に分類されます。
DNAをアルキル化することで、DNA合成、DNAの正常な二本鎖構造の形成等を阻害します。
そして、細胞周期はG2/M期で停止してしまい細胞は死んでしまいます。
これにより腫瘍の増殖を抑制すると考えられています。


用法・用量
下記用法・用量のいずれかを選択する。
① 5日間連日投与法(Daily投与法):
 通常、成人にはストレプトゾシンとして 1 回 500mg/m2(体表面積)を 
 1 日 1 回 30 分以上かけて 5 日間連日点滴静脈内投与し、37 日間休薬する。
 この 6 週間を 1 コースとして繰り返す。

② 1週間間隔投与法(Weekly投与法):
 通常、成人にはストレプトゾシンとして 1 回 1,000mg/m2(体表面積)を
  1 週間ごとに 1 日 1 回 30 分以上かけて点滴静脈内投与する。
 なお、年齢、症状により適宜増減し、1 回の投与量は 1,500mg/m2(体表面積)を超えないこと。


Daily投与法とWeekly投与法の使い分け
Daily投与法及びWeekly投与法のいずれもアメリカ及びフランスにおいて承認されています。
海外の各種診療ガイドラインにおいてもいずれかの投与法に限定される旨の記載はありません。

臨床試験では、Daily投与法とWeekly投与法の2通りの用法・用量を設定し、
その結果、いずれの投与法においても奏効例が認められています。

両投与法の使い分けについては、
両投与法において悪心及び嘔吐の発現時期が異なる旨の論文が報告されています。
しかし、明確な使い分けの基準はなく、
いずれかの投与法を個々の患者ごとに選択することが適切だと考えられます。

Weiss RB(1982)Streptozocin: a review of its pharmacology, efficacy, and toxicity.Cancer Treat Rep.;66(3):427-38.



膵・消化管神経内分泌腫瘍
神経内分泌腫瘍(NET:neuroendocrine tumors)のうち膵臓を原発とするものを
膵神経内分泌腫瘍(pNET)といいます。

NETは人体に広く分布する神経内分泌細胞からできる腫瘍です。
種々のホルモンを産生することができます。
神経内分泌細胞は、全身のさまざまな臓器に存在しているので
その腫瘍であるNETも膵臓をはじめとして
下垂体、上皮小体、副腎、甲状腺、消化管、胸腺、肺などに生じます。
また遺伝性の多発性内分泌腫瘍1型(MEN1)に伴い発生することも知られています。

病理学的には2010年のWHO分類において、
増殖能を示す指標(核分裂像数とKi-67)を用い、
高分化型のNETG1、NETG2と
低分化型のNEC(神経内分泌がん:Neuroendocrine carcinoma)
の3つに分類されました。

NETは、低~中悪性度の高分化型の腫瘍でホルモンの産生・分泌を伴うこともあります。
一方、NECは小細胞がんや大細胞がんを含み化学療法の対象になると言われています。

NETを発症しているヒトは、実際にはかなり多く、
アメリカでは全消化器がんの中で大腸がんに次いで2番目だという報告もあります。


NETの治療法は切除手術が基本です。
しかし、進行した状態で診断されると完全な切除はできません。
薬を使用して腫瘍を抑えこむ必要があります。
エベロリムス(アフィニトール®)やスニチニブ(スーテント)が使用されます。


ストレプトゾシンは既存治療薬(エベロリムス、スニチニブ等)との
臨床的位置付けは明確ではないものの、
国内外の代表的な診療ガイドラインに掲載され、一定の評価を得ている薬剤です。
ストレプトゾシンは膵・消化管神経内分泌腫瘍に対する新たな治療選択肢の一つとして位置付けられます。



ストレプトゾシンのエビデンス

以下の膵神経内分泌腫瘍に対して
  1. 切除不能で症状を有する、
  2. 著明な腫瘍量を有する、
  3. 臨床的に疾患進行が速い
エベロリムス、スニチニブ又はストレプトゾシンを含む化学療法が推奨されます。
また、ストレプトゾシンとドキソルビシンとの併用投与は、
ストレプトゾシンと 5-FU との併用投与と比較して、奏効率が高く、
全生存期間が延長したという報告があります。

Moertel CG et al,(1992)N Engl J Med.;326(8):519-23.


切除不能な膵神経内分泌腫瘍に対して、細胞傷害性の抗悪性腫瘍剤
(ストレプトゾシン、ドキソルビシン、5-FU、ダカルバジン等)は
治療選択肢ですが、全生存期間への寄与に関するエビデンスは乏しいです。

National Cancer Institute Physician Data Query(NCI-PDQ)

膵神経内分泌腫瘍(膵島細胞腫瘍)の治療(PDQ®)



切除不能な肝転移を有する非機能性の膵神経内分泌腫瘍に対して、
ストレプトゾシンと5-FUの併用投与並びに
ストレプトゾシン、5-FU 及びドキソルビシンの3剤併用投与の奏効率は35~40%でした。
ヨーロッパでは1980年代からこれらの併用投与がなされていました。
また、エベロリムス及びスニチニブは、
ストレプトゾシンを含む化学療法後に増悪した患者に対する治療選択肢とされています。

切除不能な肝転移を有する機能性膵神経内分泌腫瘍に対して、
ストレプトゾシンと5-FU併用投与及び
ストレプトゾシン、5-FU及びドキソルビシンの3剤併用投与の奏効率は35~40%程度でした。

また、進行及び多発性の遠隔転移を有する、又は症状を有する消化管神経内分泌腫瘍に対して、
ストレプトゾシン、5-FU及びドキソルビシンの3剤併用投与が推奨されています。


European Neuroendocrine Tumor Society Consensus Guidelines(ENETSガイドライン)(2012)



以上のように海外では、
ストレプトゾシンを含む化学療法を中心とした治療が行われています。
なお、ストレプトゾシンは、アメリカでは1982年に膵島細胞癌、
フランスでは1985年に遠隔転移を有する膵島細胞癌及びカルチノイド腫瘍に関する
効能・効果で承認され、30 年以上の使用経験が蓄積されています。
すなわち、有効性及び安全性が確立された標準的な治療薬であると考えられます。

この薬が、今後日本でも使用可能になりました。


悪心嘔吐の対応
臨床試験において、悪心及び嘔吐は、それぞれ54.5%及び22.7%に認められました。
悪心・嘔吐により投与中止に至った患者は認められませんでした。

悪心は Daily 投与群46.7%だったのに比較して、Weekly 投与群71.4%で発現率が高くなりました。
一方、嘔吐は Daily 投与群で33.3%に認められ、Weekly 投与群では認められませんでした。

5HT3受容体拮抗剤及びデキサメタゾンの予防的投与により、
ストレプトゾシンと5-FUとの併用投与による悪心、嘔吐軽減できたことが報告されています。

Dahan L et al,(2009)Phase III trial of chemotherapy using 5-fluorouracil and streptozotocin compared with interferon alpha for advanced carcinoid tumors: FNCLCC-FFCD 9710.Endocr Relat Cancer.;16(4):1351-61.



また他の臨床試験においては、全例で制吐剤の予防的投与が行われました。
制吐剤として5HT3受容体拮抗剤及びデキサメタゾンの併用投与が20例で行われ、
さらに Weekly投与群の2例のみに選択的ニューロキニン1型(NK1)受容体拮抗剤が投与されました。
選択的NK1受容体拮抗剤(イメンドカプセル)を投与された患者では悪心が50.0%で認められ、
嘔吐は認められませんでした。
悪心・嘔吐の発現頻度及び重症度が海外報告と比較して低かったと考えられることから、
制吐剤ガイドラインに準じ、ストレプトゾシンの前投薬として
選択的NK1受容体拮抗剤と5HT3受容体拮抗剤及びデキサメタゾンの併用投与が推奨されると考えられます。



骨髄抑制
臨床試験において Grade 3 の好中球数減少等が認められています。
海外臨床試験において他の抗悪性腫瘍剤との併用投与により白血球数減少を発現し、
死亡に至った症例が報告されています。

Broder LE, Carter SK (1973) Pancreatic islet cell carcinoma. II. Results of therapy with streptozotocin in 52 patients.Ann Intern Med.;79(1):108-18.


ストレプトゾシンの投与中は定期的に血液検査を行い、
患者の状態を十分に観察する必要があります。



新臨床腫瘍学―がん薬物療法専門医のために
日本臨床腫瘍学会
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膵・消化管神経内分泌腫瘍に対して、
ストレプトゾシンは欧米で使用経験があり、膵原発神経内分 泌腫瘍に対してストレプトゾシンとドキソルビシン投与は良好な成績を示した。

解毒剤 ホメピゾール静注1.5g




ホメピゾール静注1.5gは
エチレングリコール中毒やメタノール中毒に対する解毒剤です。


日本では
エチレングリコールは保冷剤や自動車のラジエター液に利用されています。
メタノールはアルコールランプや自動車のウインドウォッシャー液に利用されています。

エチレングリコールやメタノール中毒に関して、
日本中毒情報センターには年間平均25件程度相談が寄せられています。

中には、誤飲や自殺企図等による摂取例も報告されています。

財団法人 日本中毒情報センター編:財団法人 日本中毒情報センター 医師向け中毒情報 エチレングリコール(O18800), 2008, Ver.2.03 
http://www.j-poison-ic.or.jp/homepage.nsf
財団法人 日本中毒情報センター編:財団法人 日本中毒情報センター 医師向け中毒情報 メチルアルコール(O15400), 2008, Ver.2.02
http://www.j-poison-ic.or.jp/homepage.nsf


エチレングリコール中毒
エチレングリコールはそれ自体の毒性は低いです。
しかし、からだの中に取り込まれると
アルコール脱水素酵素やアルデヒド脱水素酵素により
グリコール酸、シュウ酸そしてギ酸がつくられます。
これら、毒性代謝物により代謝性アシドーシス、急性腎不全が引き起こされます。


メタノール中毒
メタノールはそれ自体の毒性は低いです。
しかし、からだの中に取り込まれると
アルコール脱水素酵素やアルデヒド脱水素酵素により
ホルムアルデヒドやギ酸がつくられます。
これら、毒性代謝物により代謝性アシドーシス、中枢神経障害、失明することがあります。


エチレングリコール中毒、メタノール中毒ともに、重篤な場合は死に至ることもあります。


ホメピゾールの作用機序
ホメピゾールには肝臓のアルコール脱水素酵素のはたらきを邪魔する作用があります。
エチレングリコールやメタノールが血液中にある状態で、
ホメピゾールを投与することで、エチレングリコールやメタノールから
グリコール酸やギ酸等の毒性代謝物がつくられないようにします。

エチレングリコールやメタノールはそのまま、おしっこの中に排泄され
毒性代謝物による中毒症状の発生を抑えることが期待されます。


注意するポイントは、作用機序からも分かる通り
この薬は、あくまでもエチレングリコールやメタノールっからの毒性代謝物が
作られるのを抑えるものであり、
エチレングリコールやメタノール自体の毒性や、既につくられてしまっている
毒性代謝物による中毒症状を軽減する効果はありません。


つまり、エチレングリコールやメタノールを摂取して
できるだけ早く、投与する必要があります。


海外ではスタンダードな解毒剤
2014年の時点で、エチレングリコール中毒、メタノール中毒の治療薬として
アメリカやカナダで承認されています。
ヨーロッパの11カ国ではエチレングリコール中毒の治療薬として承認されています。

米国臨床中毒学会(American Academy of Clinical Toxicology)

エチレングリコール中毒について
Barceloux DG, Krenzelok EO, Olson K, Watson W (1999) American Academy of Clinical Toxicology practice guidelines on the treatment of ethylene glycol poisoning. J Toxicol Clin Toxicol 37:537–560

ホメピゾールとエタノールの使い分けは、
褒めピゾールが使用できない場合、あるいはホメピゾールに過敏症がある場合には
エタノールが選択されます。
上記以外、基本的にエタノールよりホメピゾールが選択されます。

ホメピゾールとエタノールの有効性を直接比較した臨床試験はありません。
ホメピゾールはエタノールに比べ、血中濃度が予測可能なためモニタリングが不要です。
安全性プロファイル、投与方法が標準化されている点や
集中治療や透析の治療を抑えられる点から経済性についても優れています。



メタノール中毒について
Barceloux DG et al,(2002)American Academy of Clinical Toxicology practice guidelines on the treatment of methanol poisoning.J Toxicol Clin Toxicol.;40(4):415-46.

ホメピゾールがエタノールより優れることを確認した臨床試験はありません。
ホメピゾールはエタノールと比べて高価ではありますが
投与方法が簡便で集中治療下でなくても投与することができること、
効果が持続すること、
中枢神経を抑制しないこと、
エタノールのような血中濃度モニタリングが不要であること
など、多くの点で優れています。




WHO Model List of Essential Medicines, 18th ed (April2013)

WHO Model List of Essential Medicines for Children, 4th ed (April2013)

WHO必須医薬品モデル・リストにホメピゾールは掲載されています。




【用法用量】
通常、ホメピゾールとして初回は15mg/kg、
2回目から5回目は10mg/kg、
6回目以降は15mg/kgを、
12時間ごとに30分間以上かけて点滴静注する。

なお、血液透析を併用する場合は、別に定める投与スケジュールに従い投与する。

[透析開始時]
直前の本剤投与から6時間未満の場合は、透析直前には投与しない。
直前の本剤投与から6時間異常経過している場合は、透析直前に投与する。

[透析中]
直前の本剤投与から1時間未満の場合は、透析終了時には投与しない。
直前の本剤投与から1時間異常3時間以内の場合は、通常用量の1/2量を透析終了直後に投与する。
超然の本剤投与から3時間超経過している場合は、透析終了直後に投与する。

[透析終了後]
直前の本剤投与から12時間ごとに投与する。






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2014年11月15日土曜日

錠剤やカプセルを楽に飲み込む2つの方法

お薬が上手に飲めない方必見


病院でもらったり、ドラッグストアで買った
錠剤やカプセル剤がうまく飲み込めないと感じたことはありませんか。


ドイツの大学の研究によると
錠剤やカプセル剤をより簡単に飲み込む2通りの方法を見出したと
報告しました。

錠剤ではペットボトル法、カプセルでは前屈み法

ペットボトル法のやり方
①水や炭酸飲料のペットボトルに水をいれます

②錠剤を舌の上に乗せます。
 ふたを外したペットボトルを唇でくわえる

③ボトルをくわえたまま水を飲み込みます。

これで、簡単に錠剤を流し込めるそうです。
水⽔を飲み込む際にはボトルに空気を入れないようにするのがポイントです。


















前屈み法
①カプセルを舌の上に乗せます

②水を一口含みます(まだ飲み込まない)

③顎を胸に向けるように下にうつむき、前傾姿勢をとります。
 そうすると同時にカプセルと水を一緒に飲み込みます。



















ぜひ、試してみてください。

Julia T. Schiele, et al,(2014)Two Techniques to Make Swallowing Pills Easier. Ann FamMed; 12: 550-552
http://annfammed.org/content/12/6/550.full.pdf+html

2014年10月30日木曜日

薬事法から薬機法へかわります


薬事法等の一部を改正する法律について(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000045726.htm


医薬品医療機器等法関連のページ(東京都健康安全研究センター)
http://www.tokyo-eiken.go.jp/k_iryou/k_iyakukikihou/



2013年11月27日に「薬事法の一部を改正する法律」が公布されました。

今回の改正で、法律の名称が「薬事法」から「医薬品、医療機器等の品質、有効性および安全性の確保等に関する法律」に改称されます。



とても長い名称の法律になります。

言いにくいので通称「医薬品医療機器等法」と呼ぶそうです。



これでも、少し長いし語呂も悪いので「薬機法(やっきほう)」がいいと思います。


法律の中身も若干変更があります。

3つのポイントが有ります。
  • 医薬品、医療機器等の安全対策強化  
  • 医療機器の特性を踏まえた規制の構築  
  • 再生医療等の製品の特性を踏まえた規制の構築


施行日は2014年11月25日です。


薬機法の概要

1.医薬品、医療機器等の安全対策強化

医薬品、医療機器等の実用化を促進するにあたっては、併せて、安全対策を強化することが重要です。
安全対策強化のために、薬害防止の理念および関係者の責務の明記、添付文書の位置づけ等の見直しが行われました。



①第一条(目的)の見直し

薬機法では目的に、
 「保健衛生上の危害の発生および拡大の防止のための必要な規制を行う」という文言が
追記されました。


(目的)第一条この法律は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品(以下「医薬品等」という。)の品質、有効性および安全性の確保並びにこれらの使用による保健衛生上の危害の発生および拡大の防止のための必要な規制を行うとともに、指定薬物の規制に関する措置を講ずる他、医療上特にその必要性が高い医薬品、医療機器及び再生医療等製品の研究開発の促進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生の向上を図ることを目的とする。


②医薬品を取り扱う関係者の責務・役割の明確化

医薬品等の品質、有効性及び安全性の確保のため、国、都道府県等、医薬品関連事業者等、医薬関係者、国民それぞれの役割が明示されるなど、従来の薬事法に比べ、医薬品や医療機器に係る安全対策の強化が図られています。


 (国の責務)第一条の二 
国は、この法律の目的を達成するため、医薬品等の品質、有効性及び安全性の確保、これらの使用による保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止その他の必要な施策を策定し、及び実施しなければならない。 
 (都道府県等の責務)第一条の三 
都道府県、地域保健法第五条第一項の政令で定める市及び特別区は、前条の施策に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、当該地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施しなければならない。 

(医薬品等関連事業者等の責務)第一条の四 
医薬品等の製造販売、製造、販売、貸与若しくは修理を業として行う者、薬局開設者又は病院、診療所若しくは飼育動物診療施設の開設者は、その相互間の情報交換を行うことその他の必要な措置を講ずることにより、医薬品等の品質、有効性及び安全性の確保並びにこれらの使用による保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止に努めなければならない。  

(医薬関係者の責務)第一条の五
医師、歯科医師、薬剤師、獣医師その他の医薬関係者は、医薬品等の有効性及び安全性その他これらの適正な使用に関する知識と理解を深めると ともに、これらの使用の対象者及びこれらを購入し、又は譲り受けようとする者に対し、これらの適正な使用に関する事項に関する 正確かつ適切な情報の提供に努めなければならない。 

(国民の役割)第一条の六 
国民は、医薬品等を適正に使用するとともに、これらの有効性及び安全性に関する知識と理解を深めるよう努めなければならない。


③添付文書の位置づけ等の見直し

 添付文書は、医薬品等の製造業者が、最新の知見に基づき作成し、厚生労働大臣に届け出ることが義務付けられました。

 併せて、迅速な情報提供を行う観点から、届け出た添付文書については、直ちにWebサイトに掲載されることとなります。


  1. 常に最新の論文その他により得られた知見に基づき、添付文書記載事項等を作成することが明記
  2. 厚生労働大臣の指定する医薬品及び医療機器並びにすべての再生医療等製品について、製造販売業者は、製造販売開始時及び変更の際に次の事項を義務付ける。
  • あらかじめ添付文書等記載事項ののうち名称並びに使用及び取扱い上の必要な注意を厚生労働大臣に届け出ること。
  • 届け出た添付文書等については、医薬品医療機器総合機構(PMDA)のホームページへ記載することにより公表すること。


2.医療機器の特性を踏まえた規制の構築

医療機器については、これまで、製造販売承認や製造許可など、医薬品に準ずる規制がされていました。

しかし、パソコンなどの他の機械製品と同様に短いサイクルで改善・改良が行われた製品が市場に供給される場合が多いことなど、医薬品と異なる性質を有しています。

また、医療機器の審査を迅速にするため医療機器の特性を踏まえた制度が新たに設けられました。

※ 医療機器の主な特性
  • 臨床現場での実際の使用を通じて、実用化されること
  • 絶えず改良・改善が行われ、一製品あたりの寿命が短いこと
  • 有効性・安全性は、医師等の技能に依る部分が大きく、かつ、臨床現場では少量多品目が使用されていること



①医療機器等の製造販売業・製造業等の章の新設

 薬機法では医療機器については医薬品等とは別に章が分けられました。

 民間の第三者機関を活用した認証制度が、厚生労働大臣が基準を定めて指定する高度管理医療機器にも拡大されより新たな医療機器の開発の重点化および迅速化が図れます。

②単体プログラムの位置づけが明確化
 医療機器の国際展開を進めるためには、国際整合性に配慮する必要があります。
 単体プログラム(ソフトウェア)について、
 欧米では既に医療機器として位置付けられています。
 ソフトウェアも医療機器の範囲に加えられ、法律の規制対象となります。

 (例)MRI等で撮影された画像データの処理、保存、表示等を行うプログラム


 医薬品医療機器等法における医療機器プログラムの取り扱い(JAAME 医療機器センター)


3.再生医療製品等の特性を踏まえた規制の構築

iPS細胞等による再生医療は、革新的な医療として実用化に向けた国民の期待が高のですが
安全面などの課題が存在しています。
このため、再生医療等製品については、安全性を確保しつつ、迅速な実用化が図られるよう、
その特性を踏まえ法律で規定されました。
※ 再生医療等製品の主な特性・人の細胞等を用いることから個人差などを反映し、品質が不均一となること

なお、再生医療等の安全性確保及び迅速かつ円滑な提供を図るため、
「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」(再生医療等安全法)が薬機法と同日に施行されます。

①医薬品・医療機器と別個の定義付け
 (1) 医薬品や医療機器とは別に「再生医療等製品」を新たに定義し、
  再生医療等製品の「章」が設けられました。

(定義)第二条第9項 この法律で「再生医療等製品」とは、次に掲げる物(医薬部外品及び化粧品を除く。)であつて、政令で定めるものをいう。 
 一 、次に掲げる医療又は獣医療に使用されることが目的とされている物のうち、人又は動物の細胞に培養その他の加工を施したもの 
イ 人又は動物の身体の構造又は機能の再建、修復又は形成 
ロ 人又は動物の疾病の治療又は予防 
二 人又は動物の疾病の治療に使用されることが目的とされている物のうち、人又は動物の細胞に導入され、これらの体内で発現する遺伝子を含有させたもの

②条件及び期限付き承認制度の導入
 再生医療等製品は、品質が不均一であり、有効性の予測が困難な場合があるという特性から、
 有効性を確保するためのデータの収集・評価に長時間を要します。
 早期実用化に対応するため、有効性が推定され、安全性が認められれば、
 条件及び期限を付けて製造販売承認が可能となります。


早わかり 改正薬事法のポイント(じほう)