2026年2月13日金曜日

2026年診療報酬改定:新設「地域支援・医薬品供給対応体制加算」および「地域支援・外来医薬品供給対応体制加算」

2026年診療報酬改定(令和8年度)で新設された「地域支援・医薬品供給対応体制加算」(入院向け)および「地域支援・外来医薬品供給対応体制加算」(外来向け)について、解説します。

今回の最大の特徴は、後発医薬品の使用促進から一歩進み、供給不安定な状況下でも医療を継続的に提供するための「医薬品供給対応体制の確保」に評価の軸足が移った点です。これにより、病院は在庫管理・流通改善への取り組みを強化せざるを得ず、経営的には追加コストが発生する一方、算定による収益安定化が期待されます。旧加算の廃止により、従来のジェネリック使用率だけで算定していた施設は、体制整備の遅れで減収リスクを抱える可能性が高いです。

1. 改定の全体像と背景

これまでの「後発医薬品使用体制加算」および「外来後発医薬品使用体制加算」は廃止されます。

後発医薬品を中心とした供給不安が常態化し、医療機関で在庫調整や処方変更などの追加業務が発生している現状を踏まえ、「医薬品流通改善ガイドライン」の遵守「供給不足時の対応体制」を要件とした新たな評価として再編されました。

経営的には、医薬品卸との取引慣行の見直しが必須となり、コスト最適化が進む可能性がありますが、ウェブサイト更新や体制整備の初期投資も必要です。供給不安が続く中、この加算の算定は病院の信頼性向上と差別化につながります。

2. 地域支援・医薬品供給対応体制加算(入院)

入院患者に対する評価で、入院初日に1回算定可能です。対象は入院基本料など。

点数設定

  • 加算1:87点
  • 加算2:82点
  • 加算3:77点

後発医薬品の使用割合(置換率)に応じて3段階。旧加算と同等の点数設定です。

算定要件・施設基準

使用割合の数字基準に加え、「行動変容」を促す定性的要件が強化。厚生局届出時に体制の証明が必要です。

① 後発医薬品の使用割合(置換率)
  • 加算1:90%以上
  • 加算2:85%以上
  • 加算3:75%以上

※重要:旧来の「全薬剤のうち後発医薬品のある薬剤が50%以上」などのカットオフ値(足切り基準)は廃止。

② ウェブサイトへの掲示(DX対応)

院内掲示に加え、原則として自院ウェブサイトへの掲載が必須(ホームページがない場合の例外あり)。内容は以下の通り:

  • 後発医薬品の使用に積極的に取り組んでいる旨
  • 医薬品供給不足時の治療計画見直し・適切対応体制
  • 供給状況による薬剤変更可能性と患者説明方針

経営的には、ウェブ更新で患者信頼を高め、集患に寄与しますが、中小病院ではIT投資負担が増えます。

③ 供給不足時の対応体制

供給不足発生時に治療計画の見直しや代替薬確保など、適切対応できる体制。患者説明の徹底も含みます。

④ 医薬品選定プロセス

薬剤部門で品質・安全性・安定供給情報を収集・評価し、薬事委員会で採用決定する体制。委員会の効率化で業務負担を抑えましょう。

3. 地域支援・外来医薬品供給対応体制加算(外来)

診療所や病院外来で投薬した場合の評価(1処方につき算定)。

点数設定

  • 加算1:8点
  • 加算2:7点
  • 加算3:5点

算定要件・施設基準

入院版と類似ですが、外来特有の柔軟性があります。

① 後発医薬品の使用割合

入院版と同一の計算式(75~90%以上)。

② 体制整備
  • 診療所の場合、薬剤師が情報を収集・評価し採用決定。
  • 供給不足時の処方変更対応体制、および院内・ウェブサイト掲示必須。

経営的には、外来中心の診療所で算定しやすく、処方箋枚数増加による収益アップが見込めますが、文書化が鍵です。

4. 流通改善ガイドラインの遵守

新加算の施設基準に、医薬品卸売業者との取引慣行が明記。非遵守で算定不可・指導リスクがあります。

具体的な行動指針:

  1. 単品単価交渉の徹底
    全ての品目で単品単価交渉を原則化。総価契約のような値引きは避け、流通コストを考慮。
  2. 配送・返品の適正化
    頻回配送、休日夜間配送、急配の過度依頼を慎む。温度管理品や在庫調整目的の返品を最小限に。在庫管理システム導入でコスト削減可能。
  3. 地域連携
    平時から地域医療機関・薬局・団体と連携し、採用品目の情報共有やフォーミュラリ作成を推奨。供給リスク分散と患者紹介増加のメリット。

これら遵守で、供給不安時の業務負荷を軽減し、全体収益を安定化できます。

5. まとめ

この加算算定には「ジェネリック使用率が高い」だけでは不十分。供給不安が続く中、算定は競争力強化につながりますが、非遵守は減収・信頼低下を招きます。

以下の3点を即時確認ください:

  1. 使用割合の確認:直近データで置換率(75%、85%、90%)の区分を確認。旧カットオフ廃止を活かし、達成可能な区分を目指す。
  2. ウェブサイト更新:供給対応・変更説明方針を明記。DX投資で患者教育ツールとしても活用。
  3. 購入交渉の見直し:卸に対し単品単価交渉を実施、無理な急配を避ける。内部監査でガイドライン遵守をルール化。