2012年1月25日水曜日

咳止めの使い方


風邪のあとで咳が続くことはよくあることです。


慢性の咳が強く出ている場合、安易に咳止めとしてコデインが処方されているのを目にすることがあります。


L-カルボシステイン、アンブロキソールと一緒に処方されていたりします。


しかし、中枢性麻薬鎮咳薬のコデインは痰の排出を悪くするので、結果的に咳の改善を遅くするように思うのですがどうなのでしょうか。


咳の基本的なことをまず確認してみましょう。


咳は身体の防御反射です。

つまり、咳は気道に入ってきた異物を排除し、気道感染の広がりを抑制するはたらきをします。

咳には痰が出るもの(湿性咳嗽)と出ないもの(乾性咳嗽)があります。

痰は、気道の粘液が多く分泌されたもので感染の徴候と考えられます。


正常な場合の気道粘液の量は、約10~100mL/日です。

気道粘液はⅡ型肺上皮細胞、クララ細胞、杯細胞、気管支腺などの分泌物からなります。

気道上皮の線毛運動によって分泌物は絶えず上気道の方へ送り出されます。

そして、無意識に食道に飲み込まれてしまいます。

分泌物が過剰になると、咳が出て痰として排出されます。


咳の原因には2つあるといわれています。


咳受容体感受性亢進と気管支平滑筋の収縮です。

つまり、咳を抑えるには、咳受容体感受性亢進を抑制する薬物、気管支平滑筋の収縮を抑制する薬物そして、咳中枢を抑える薬物(中枢性鎮咳薬)を用います。

咳受容体に影響して鎮咳作用を発揮するのは漢方薬の麦門冬湯、ヒスタミンH1受容体拮抗薬があります。


ステロイドは気管支炎症を抑制して鎮咳効果を発揮します。

気管支喘息に伴う咳では、気管支拡張薬により咳が軽減します。


中枢性鎮咳薬は咳反射を抑えます。

麻薬性と非麻薬性に分かれます。

中枢性鎮咳薬の咳抑制効果は強力ですが、痰の排泄も抑えてしまうことになり、肺炎を悪化させる場合もあります。

そのため、かぜによる咳には中枢性鎮咳薬の使用は控えたほうが良いでしょう。

かぜの9割は上気道のウイルス感染です。

咳はウイルスが肺の中に広がらないようにする生体防御反応です。

これを抑制するとかえって病態を悪化させてしまうしまうことになるのです。


湿性咳嗽では、咳を止めることよりも、その原因に対する治療が重要です。


肺がんでは、手術療法、放射線療法、化学療法を単独または組み合わせて行います。

細菌感染を合併する場合には、抗菌薬を使用します。


気管支拡張症による咳や痰には、細菌感染の合併症を考え、抗菌薬を使用する。

少量の14員環マクロライドも併せて使用します。


副鼻腔気管支症候群では、少量の14員環マクロライドの長期投与が有効と考えられています。


肺炎、肺化膿症では抗菌薬を使用します。


肺結核では抗結核薬を使用します。


急性気管支炎による咳には細菌性の場合は抗菌薬を、ウイルス性では対処療法を考えます。



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