2016年6月15日水曜日

ベゲタミン販売中止


ベゲタミンが2016年12月31日出荷を最後に販売中止となるようです。
経過措置期限は2018年3月末日です。
https://www.shionogi.co.jp/med/download.php?h=62fda1e0b2918498edb453f29f879db0

ベゲタミンはもともと統合失調症の薬、いわゆる精神安定剤として開発された薬です。
しかし「飲む拘束衣」と呼ばれるくらい最強の睡眠薬として知られ、一部のコアなファンに親しまれている薬です。
精神科領域では最後の切り札的鎮静安定剤として使われていました。


抗精神病薬のクロルプロマジンと開発当時は中枢抑制効果を期待されていた抗ヒスタミン薬のプロメタジンや中枢抑制効果を強化する薬として知られていたフェノバルビタールを配合した錠剤です。
組み合わされている成分の量によって『A配合錠』と『B配合錠』の2種類あります。

クロルプロマジンはドパミンD2受容体遮断、プロメタジンはヒスタミンH1受容体遮断、フェノバルビタールはGABA受容体の機能亢進にはたらきます。3つの成分はそれぞれ異なる部位に作用しそれぞれの相乗効果で強力な鎮静を得られるのです。

この絶妙な組み合わせは広島県の精神病院である広島静養院(現、府中みくまり病院)によって開発されたのはあまり知られていません。


強力な鎮静作用のベゲタミンですが、強力故か安全性に懸念があり、かつ依存の問題もあります。

ベゲタミンを長期に服用し続けると、フェノバルビタールの副作用である代謝酵素の誘導が起こり体内で薬が分解されやすくなります。そのため、ベゲタミンの効果が落ちるばかりか他の薬の治療効果まで落ちてしまいます。

このようなことから、他の薬で睡眠がとれない、衝動性の高い症例などでたまに見かけるくらいで、最近では使用量が減っていました。


販売中止理由


公益社団法人日本精神神経学会から「薬物乱用防止の観点からの販売中止」要望が提示されていたようで、それを製薬メーカーが呑んだ形で販売中止となったようです。

珍しいケースですね。


代替品


最強の睡眠薬なので代わりは難しいですね。
配合剤ですから、単味で処方するとかでしょうか。
ウインタミン+ピレチア+フェノバール

あとは、ヒルナミンやロヒプノールくらいでしょうか。

最適解はわかりません。