2024年1月27日土曜日

2024年度診療報酬改定 ⻑期収載品の選定療養

2024年度診療報酬改定において、長期収載品について、保険給付の在り方の見直しを行うこととなり、選定療養の仕組みが導入されます。

厚生労働省ホームページに「後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養に関するページが掲載されています。関係通知や対象医薬品リスト等、必要な情報はこちらで確認しください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39830.html


長期収載品の保険給付の在り方の見直しとして、選定療養の仕組みが導入されます。
対象となる長期収載品は、後発医薬品の上市後5年以上経過した長期収載品又は後発医薬品の置換率が50%以上となった長期収載品です。
長期収載品は、準先発品を含みます。
保険給付の対象は、後発医薬品の最高価格帯との価格差の4分の3までです(後発医薬品の最高価格帯との価格差の4分の1は患者自己負担)。


患者負担額計算式
例)3割負担の場合
患者負担額=(長期収載品薬価-後発品最高価格)×1/4×消費税+{後発品最高価格+(長期収載品薬価-後発品最高価格× 3/4}×0.3

対象医薬品の考え方について

長期収載品の処方等又は調剤に係る選定療養において、対象とする医薬品については、
次の(1)から(3)までを全て満たすものとする。
(1) 後発医薬品のある先発医薬品(いわゆる「準先発品」を含む。)であること(バイオ医薬品を除く)
(2) 後発医薬品が収載された年数及び後発品置換え率の観点から、組成及び剤形区分が同一であって、次のいずれかに該当する品目であること。
① 後発医薬品が初めて薬価基準に収載されてから5年を経過した品目(後発品置換え率が1%未満のものは除く。)
② 後発医薬品が初めて薬価基準に収載されてから5年を経過しない品目のうち、後発品置換え率が 50%以上のもの
(3) 長期収載品の薬価が、後発医薬品のうち最も薬価が高いものの薬価を超えていること。この薬価の比較にあたっては、組成、規格及び剤形ごとに判断するものであること。


選定療養とはならない場合

医療上の必要性があると認められる場合(例:医療上の必要性により医師が銘柄名処方(後発品への変更不可)をした場合)や、後発医薬品を提供することが困難な場合(例:薬局に後発医薬品の在庫が無い場合)については、選定療養とはならず、保険給付の対象となります。
バイオ医薬品は対象外です。
また、後発医薬品への置換率が極めて低い場合(置換率が1%未満)である長期収載品は、上市後5年以上経過したものであっても、後発医薬品を提供することが困難な場合に該当することから、対象外となります。

適応は2024年10月1日

2024年10月1日までに、長期収載品の投与に係る特別の料金その他必要な事項を当該保険医療機関及び当該保険薬局内の見やすい場所に掲示しなければいけません。

処方箋様式の改正

医療上の必要性があると認められる場合や患者希望で先発品を処方する場合について、処方等の段階で明確になるように様式が改正されます。
変更不可欄に「医療上必要」の文言が追記され、「患者希望欄」が追加されました。

薬担規則の改正

選定療養の取り組みが始まるにあたり、薬担規則が改正されます。
薬担規則はすべての保険薬局が従わなければならないルールです。
長期収載品の選定療養について、患者さんに周知し、実際にかかる費用について説明するために薬局内への掲示やウェブサイトへの掲載が求められています。

(保険外併用療養費に係る療養の基準等)
第四条の三
保険薬局は、評価療養、患者申出療養又は選定療養に関して第四条第二項の規定による支払を受けようとする場合において、当該療養を行うに当たり、その種類及び内容に応じて厚生労働大臣の定める基準に従わなければならないほか、あらかじめ、患者に対しその内容及び費用に関して説明を行い、その同意を得なければならない。

2 保険薬局は、その薬局内の見やすい場所に、前項の療養の内容及び費用に関する事項を掲示しなければならない。
3 保険薬局は、原則として、前項の療養の内容及び費用に関する事項をウェブサイトに掲載しなければならない。