2018年4月9日月曜日

トランサミン経口の同効品


トランサミンの成分であるトラネキサム酸は、プラスミン(線維素溶解酵素)によるフィブリン溶解を阻害する作用が特に強いことが知られていました。
第一製薬株式会社(現:第一三共株式会社)はその作用に着目し開発を進め、1965年にトラネキサム酸カプセルを発売しました。

プラスミンは血管の内でフィブリンの分解により血栓を生じにくくし血流を維持しています。また組織では炎症を引き起こす起炎物質であるキニンなどの遊離を促進するなど、血管透過性の亢進、アレルギーや炎症性病変等にも関与しています。
そのため、トランサミンは、このプラスミンの働きを阻止することにより臨床的に抗出血・抗アレルギー・抗炎症と幅広い効果と適応を示します。

トランサミンの国内で承認された適応は以下のとおりです。

効能又は効果/用法及び用量
○全身性線溶亢進が関与すると考えられる出血傾向
(白血病、再生不良性貧血、紫斑病等、及び手術中・術後の異常出血)
○局所線溶亢進が関与すると考えられる異常出血
(肺出血、鼻出血、性器出血、腎出血、前立腺手術中・術後の異常出血)
○下記疾患における紅斑・腫脹・そう痒等の症状
湿疹及びその類症、蕁麻疹、薬疹・中毒疹
○下記疾患における咽頭痛・発赤・充血・腫脹等の症状
扁桃炎、咽喉頭炎
○口内炎における口内痛及び口内粘膜アフター


トランサミン(経口)の適応と同じようなものをもつ薬をまとめてみました。
※トランサミンが品薄みたいですね。代替品の参考になるかな。

●全身性線溶亢進が関与すると考えられる出血傾向
  (白血病、再生不良性貧血、紫斑病等、及び手術中・術後の異常出血)

●局所線溶亢進が関与すると考えられる異常出血
  (肺出血、鼻出血、性器出血、腎出血、前立腺手術中・術後の異常出血)


抗出血、いわゆる止血剤としての効果です。
経口剤で線溶系を阻害するものはありませんので、『線溶亢進が関与する』ような出血に使える薬剤はありません。

経口の止血剤といえばアドナ錠(カルバゾクロムスルホン酸ナトリウム水和物)がありますが、こちらは『毛細血管抵抗性の減弱』による出血に適応を持っています。ただ、アドナ錠の止血に関する文献が殆ど見つかりません。あっても1970年台ころのもので見ることができません。鼻血を止める程度には使えるのではないでしょうか。ただし、過度な効果の期待はしないほうが良いでしょう。

http://www.jsth.org/publications/pdf/tokusyu/20_3.285.2009.pdf


●下記疾患における紅斑・腫脹・そう痒等の症状
湿疹及びその類症、蕁麻疹、薬疹・中毒疹


抗アレルギー作用を持つ薬剤としては、抗ヒスタミン薬やステロイドの内服もしくはある種の漢方製剤が該当します。
【蕁麻疹に適応を持つ内服薬】

  • dl−メチルエフェドリン製剤
  • クロルフェニラミンマレイン酸塩製剤
  • ポララミン
  • アタラックス−P
  • アタラックス
  • アゼプチン
  • ピレチア
  • エバステル
  • レミカット
  • セルテクト
  • タベジール
  • ザジテン
  • アレロック
  • ジルテック
  • デザレックス
  • ビラノア
  • アレグラ
  • アレジオン
  • タリオン
  • ルパフィン
  • ザイザル
  • クラリチン
  • コートン
  • デカドロン
  • レダコート
  • コートリル
  • プレドニン
  • セレスタミン
  • リンデロン
  • メドロール
  • 葛根湯
  • 桂枝茯苓丸
  • 十味敗毒湯
  • 消風散
  • 大黄牡丹皮湯
  • 茵ちん蒿湯


【薬疹に適応を持つ内服薬】

  • ポララミン
  • クロルフェニラミンマレイン酸塩製剤
  • ペリアクチン
  • ヒベルナ
  • ピレチア
  • ホモクロミン
  • コートン
  • デカドロン
  • レダコート
  • コートリル
  • プレドニン
  • セレスタミン
  • リンデロン
  • メドロール


【中毒疹に適応を持つ内服薬】

  • アリメジン
  • ヒベルナ
  • ピレチア
  • ホモクロミン
  • コートン
  • デカドロン
  • レダコート
  • コートリル
  • プレドニン
  • リンデロン
  • メドロール



●下記疾患における咽頭痛・発赤・充血・腫脹等の症状
扁桃炎、咽喉頭炎


かぜなどの喉の腫れや痛みにトランサミンが処方されることがあります。
喉の炎症を起こしている原因がカゼによるウイルスではなく溶連菌などの細菌によるものであれば、抗生物質が適応になります。
ただのカゼであれば、抗生物質は効果がありませんので漢方製剤の抗炎症作用に僅かな期待を寄せることになります。

【扁桃炎に適応を持つ内服薬】

  • アジスロマイシン
  • アモキシシリン
  • アンピシリン
  • エリスロマイシン
  • オフロキサシン
  • クラブラン酸カリウム・アモキシシリン水和物
  • クラリスロマイシン
  • クリンダマイシン塩酸塩
  • クロラムフェニコール
  • シタフロキサシン水和物
  • シプロフロキサシン塩酸塩
  • ジョサマイシンプロピオン酸エステル
  • スピラマイシン酢酸エステル
  • スルタミシリントシル酸塩
  • セファクロル
  • セファレキシン
  • セフォチアム ヘキセチル塩酸塩
  • セフカペン ピボキシル塩酸塩
  • セフジトレン ピボキシル
  • セフテラム ピボキシル
  • セフポドキシム プロキセチル
  • セフロキサジン
  • セフロキシム アキセチル
  • テトラサイクリン塩酸塩
  • デメチルクロルテトラサイクリン塩酸塩
  • ドキシサイクリン塩酸塩
  • トスフロキサシントシル酸塩
  • ノルフロキサシン
  • バカンピシリン塩酸塩
  • ファロペネムナトリウム
  • プルリフロキサシン
  • ベンジルペニシリンベンザチン水和物
  • ミノサイクリン塩酸塩
  • メシル酸ガレノキサシン水和物
  • モキシフロキサシン塩酸塩
  • リンコマイシン塩酸塩水和物
  • レボフロキサシン
  • ロキシスロマイシン
  • 桔梗湯
  • 荊芥連翹湯
  • 小柴胡湯加桔梗石膏



●口内炎における口内痛及び口内粘膜アフター


【口内炎に適応を持つ内服薬】

  • ニチファーゲン
  • グリチロン
  • ネオファーゲンC
  • コートン
  • デカドロン
  • レダコート
  • コートリル
  • プレドニン
  • リンデロン
  • メドロール
  • アクロマイシン
  • ニコチン酸アミド
  • ナイクリン
  • ピドキサール
  • フラビタン
  • アデロキザール
  • ビフロキシン
  • ミノマイシン
  • 黄連湯
  • 半夏瀉心湯
  • 平胃散
  • 茵ちん蒿湯


●おまけ トラネキサム酸を含むOTC


トラネキサム酸は単味はありませんが一般用医薬品にも配合されています。
喉の腫れや痛みの緩和を目的にかぜ薬や鎮痛薬や咳止めに含まれています。
また、ほほの両側に広がるしみ「肝斑(かんぱん)」の治療薬として有名なトランシーノにも含まれています。

商品名 薬効
カイゲン感冒カプセルDX かぜ薬(内用)  
カイゲンLTカプセル かぜ薬(内用)  
コルゲンコーワIB錠TX かぜ薬(内用)  
コルゲンコーワIB錠TXα かぜ薬(内用)  
新ユアEXゴールド かぜ薬(内用)  
新ルルAゴールドDX かぜ薬(内用)  
新ルルAゴールドDX細粒 かぜ薬(内用)  
ストナアイビージェルS かぜ薬(内用)  
パラローンかぜEXゴールド かぜ薬(内用)  
ビタクール錠ハイプラス かぜ薬(内用)  
ベンザエースA かぜ薬(内用)  
ベンザエースA錠 かぜ薬(内用)  
ベンザブロックS かぜ薬(内用)  
ベンザブロックS錠 かぜ薬(内用)  
ベンザブロックSプラス かぜ薬(内用)  
ベンザブロックSプラス錠 かぜ薬(内用)  
ペラックコールドTD錠 かぜ薬(内用)  
ルキノンエースα かぜ薬(内用)  
ルルアタックEX かぜ薬(内用)  
ルルアタックEX顆粒 かぜ薬(内用)  
ルルアタックIBエース かぜ薬(内用)  
トランシーノⅡ ビタミンC主薬製剤  
イントウェル 解熱鎮痛薬  
イヴウェル解熱鎮痛錠 解熱鎮痛薬  
コルゲンコーワ鎮痛解熱LXα 解熱鎮痛薬  
ルッケル解熱鎮痛錠 解熱鎮痛薬  
アスゲンT錠 口腔咽喉薬(せき,たんを標榜しないトローチ剤を含む)  
オラキュア錠 口腔咽喉薬(せき,たんを標榜しないトローチ剤を含む)  
オロファニックTX錠 口腔咽喉薬(せき,たんを標榜しないトローチ剤を含む)  
トラフル錠 口腔咽喉薬(せき,たんを標榜しないトローチ剤を含む)  
ハレナース 口腔咽喉薬(せき,たんを標榜しないトローチ剤を含む)  
ペラックT錠 口腔咽喉薬(せき,たんを標榜しないトローチ剤を含む)  
ノスポール咳止め液Z 鎮咳去痰薬  
ベンザブロックせき止め液 鎮咳去痰薬  
ベンザブロックせき止め液1回量のみ切りタイプ 鎮咳去痰薬  
ベンザブロックせき止め錠 鎮咳去痰薬  
ベンザ鼻炎薬α〈1日2回タイプ〉 鼻炎用内服薬  



【第3類医薬品】ペラックT錠 36錠
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