1. 薬剤総合評価調整加算とは? なぜ今、大改定されたのか
入院中に6種類以上の内服薬(精神病棟では抗精神病薬4種類以上)を服用していた患者さんに対して、
- 処方内容の総合評価
- 副作用・相互作用・服薬過誤リスクを減らすための処方変更
- 療養上必要な服薬指導
を行ったことを評価する加算です。
さらに退院時に内服薬を2種類以上減少させた場合には、追加で「薬剤調整加算150点」が算定できます。
2016年に新設されたこの加算ですが、2023年6月時点の全国算定件数はわずか約7,000件と低調でした。最大のボトルネックは「退院・転院時の情報途切れ」。病院でせっかく減薬しても、地域の薬局や診療所にその理由や経過が伝わらず、ポリファーマシーが再燃してしまうケースが非常に多かったのです。
2. 2026年度改定のポイント比較表
| 項目 | 改定前 | 改定後(2026年~) |
|---|---|---|
| 点数 | 100点(退院時1回限り) | 160点(退院時1回限り) |
| 算定要件 | ①総合評価・変更 ②療養上必要な指導 |
①+②+ ③転院先医療機関または薬局への文書による薬剤情報連携(必須) |
| 対象患者 | 入院前6種類以上内服薬 または精神病棟・抗精神病薬4種類以上(変更なし) |
|
| 退院時薬剤情報連携加算 | 60点(別途算定可) | 廃止(本加算に統合) |
※中央社会保険医療協議会2026年1月答申・整理案に基づく
3. 病院薬剤師に訪れる歴史的転換点
今回の改定で最もインパクトが大きいのは病棟薬剤業務実施加算1の施設基準厳格化です。
- 新設の上位区分「病棟薬剤業務実施加算1」:週1回300点(従来の加算2は120点相当に格下げ)
- 新基準追加:「薬剤総合評価調整業務及び退院時薬剤情報管理指導につき十分な実績を有していること」
500床規模の急性期病院の場合、この加算を取れるだけで年間約4,000万円の増収が見込めます。
→ ほぼ全ての急性期病院が「薬剤総合評価調整加算160点の大量算定+実績作り」に全力投球します。
病院薬剤師に新たに求められる業務
- 詳細な退院時薬剤サマリの作成・送信(変更理由・入院中経過・最新服薬状況を明記)
- 地域薬局への積極的な情報提供(FAX・電子連携・地域連携パス活用)
- AIツールやテンプレート活用による業務効率化(時間確保が最優先課題に)
4. 調剤薬局にとっては攻めの薬薬連携のチャンス
病院が施設基準をクリアするために薬剤総合評価調整加算を積極算定すれば、地域の薬局に届く薬剤サマリの量と質が劇的に向上します。
薬局にとってのメリット(大きい順)
- 退院直後のポリファーマシー対策が途切れなくなる
- 処方変更の意図・背景が明確にわかる → 服薬指導の精度と説得力が爆上がり
- 患者の再入院リスク低下 → 信頼獲得 → かかりつけ薬局化が加速
考えておきたい3つの実務対応
- 病院サマリ受入・一元管理体制の構築(薬歴システムに専用フォルダ・タグ設定)
- サマリ到着後48時間以内の患者フォローアップルール化
- 病院への「ありがとうフィードバック」+定期薬薬連携会議の提案(特に大病院・回復期)
まとめ:2026年は「連携しないと稼げない」時代へ
今回の改定は、単なる点数アップではなく「病院と薬局が本気で連携しないと算定できない」仕組みに変わりました。
薬局側にとっては受け身の時代が終わり、攻めの薬薬連携で差別化できる絶好の機会です。