令和8年度(2026年度)薬価算定基準改正における「オーソライズド・ジェネリック(AG)」の薬価算定ルール変更を解説します。
中医協総会は13日、2026年度の薬価算定基準案を了承しました。
1. エグゼクティブ・サマリー
これまでAGは、一般的な後発品と同様に先発品の薬価の50%(または40%)で算定されていました。しかし今回の改正により、AGは原則として先発品と同額の薬価が算定されることになります。
適用は令和8年(2026年)10月以降に新規薬価収載される品目からです。2026年6月収載分までは従来ルールが適用される経過措置が設けられています。
2. 「先発品と同一の後発品」の定義(公式資料より)
厚生労働省は、対象となるAGを以下のように明確に定義しています。
- 先発品と同一の後発品:組成、剤形及び製法が新薬として薬価収載された既収載品(先発品)と同一の後発品(有効成分・原薬・添加物・製法等が同一)
- 先発品と同一のバイオ後発品(バイオAG):組成が新薬として薬価収載された既収載品(先発品)と同一のバイオ医薬品である後発品
これらを総称して「先発品と同一の後発品等」と位置づけ、特例ルールを適用します。
3. 算定ルールの変更前後比較
| 項目 | 変更前(現行) | 変更後(2026年10月以降の新規収載品) |
|---|---|---|
| 一般的な後発品 | 先発品薬価 × 0.5(または0.4) | 変更なし |
| AG | 先発品薬価 × 0.5(または0.4) | 先発品薬価と同額(掛け目なし) |
| バイオAG | 先行品薬価 × 0.7 | 先行品薬価と同額 |
| 算定方式 | 類似薬効比較方式(Ⅰ)+掛け目 | 類似薬効比較方式(Ⅰ)で比較薬と同額 |
※公式文言:「新薬として薬価収載された既収載品の中の当該新規後発品の最類似薬を比較薬として、類似薬効比較方式(Ⅰ)によって算定される額を当該新規後発品の薬価とする。」
4. 適用時期と重要な経過措置
- 本適用:2026年10月以降に薬価収載される品目
- 経過措置:2026年6月収載までは従来ルール(先発品より安価設定)を適用
→ 業界団体からの強い要望を受けて設けられた配慮です。
5. 業界への影響
- AGの市場優位性は大幅低下
「中身が同じ+安い」という二重の魅力が失われるため、患者・医療機関がAGを選ぶインセンティブが激減します。他の一般ジェネリックに対する競争優位性がほぼなくなります。 - 先発メーカーの「囲い込み戦略」が崩れる
価格が同じなら、特許切れ後にAGを投入してシェアを維持する意味が薄れます。先発品とAGの差別化が難しくなるため、従来型の市場防衛策は事実上困難に。 - バイオシミラー市場の活性化可能性
バイオAGが同額になると、開発コストの高いバイオシミラーが価格競争で優位に立てる可能性が高まります。バイオAGによる市場独占が抑制され、健全な競争環境が促進される見込みです。
(参考資料:【保発0213第3号】薬価算定の基準について.pdf)