2018年11月12日月曜日

バキソ坐剤、フェルデン坐剤 販売中止と代替品

ピロキシカム坐剤が販売中止となるようです。
後発品含めすべてのピロキシカム坐剤が販売中止となります。

バキソ坐剤:販売中止予定時期2019年1月
販売中止予定品目のお知らせバキソ®坐剤 20mg(大正富山)

フェルデン坐剤:販売中止予定時期 不明
フェルデン坐剤20mg 販売中止予定のご案内(ファイザー)

ピロキシカム坐剤「JG」:販売中止予定時期2019年1月

経過措置期間
2020年3月31日まで(予定) 

ピロキシカムは 1967 年ファイザー社で開発されたオキシカム系の非ステロイド性鎮痛抗炎症剤で、1日1回の投与で関節リウマチ、変形性関節症及び腰痛症などの炎症性疼痛疾患に対し臨床効果と安全性を有することが明らかにされています。

経口投与が難しくで非ステロイド性抗炎症薬の投与を必要とする患者への適応を意図して、 ピロキシカム坐剤の開発が行われました。1989年に関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群、外傷後・手術後の鎮痛・炎症に対し、有用性が認められ承認、発売されました。ファイザー社は「フェルデン坐剤」、大正富山は「バキソ坐剤」のブランド名で一物二名称として発売されていました。

ピロキシカム坐剤は抗炎症・鎮痛作用がロングアクティングであることから、1日1回投与を可能にした日本で「はじめての24時間坐剤」として登場しました。 

2007年6月に「ピロキシカム製剤に対する使用制限」が欧州規制当局(EMEA)から発表されたのを踏まえ、 2008年4月、「外傷後、手術後の鎮痛、消炎」の効能又は効果が削除されています。

この「ピロキシカム製剤に対する使用制限」は消化管副作用と重篤な皮膚反応を考慮して、その使用を制限するよう強く勧告するものだったため、日本でも少なからず影響がありその使用量が減ってきていたものと推測されます。

需要の減少や、グローバルの薬剤選択の傾向の変化からこの度、30年の歴史に幕を下ろしました。
ピロキシカム製剤の経口薬及び軟膏は販売継続されます。


バキソ坐剤、フェルデン坐剤の代替品


後発品のピロキシカム坐剤「JG」も販売中止ですので、類似薬から代替品を探すことになります。

NSAIDsの坐剤は種類も少なく、候補となるのは
  • インドメタシン坐剤
  • ジクロフェナクナトリウム坐剤
です。

製剤学的な特徴をみていくと、ピロキシカムの坐剤は油脂性基剤です。
インテバン坐剤などのインドメタシン坐剤は水溶性基剤、ボルタレン坐剤などのジクロフェナク坐剤は油脂性基剤を採用しています。

基剤の種類によって、坐薬を使用する順番も決まります。同じ種類の基剤の坐薬を併用する場合は、最初の坐薬の挿入後、5分を目安に次の坐薬を挿入することが可能です。一方、基剤の異なる坐薬を併用する場合は、水溶性基剤の坐薬を先に挿入し、30分以上経過したあと、油脂性基剤の坐薬を挿入します。
また、油脂性基剤の坐薬は、体温以上の温度になると溶けてしまうので冷蔵庫で保存します。一方、水溶性基剤で作られた坐薬は、直腸内の水分を吸収して溶け、主薬を放出します。温度に影響を受けないため、室温保存が可能です。

インドメタシンもジクロフェナクも有効性に差はないと考えられますから、基剤の変わらないため保管や使い方が類似しているジクロフェナク坐剤が代替として適当かもしれませんね。

NSAIDs坐薬・直腸製剤一覧表