2020年5月16日土曜日

ガストロゼピン錠25mg 販売中止(経過措置期限2020年3月31日)

胃炎・消化性潰瘍治療剤のガストロゼピン錠25mgは販売中止されており、経過措置期間も2020年3月31日に終了したようです。
http://www.bij-kusuri.jp/information/attach/pdf/ga_t_info_202002.pdf

ガストロゼピン細粒10%も以前は販売されていましたがすでに販売中止しています(経過措置期間:2011年3月31日終了)

ガストロゼピンの成分であるピレンゼピン塩酸塩水和物は、ドイツのDr.カール・トーメ社(現ベーリンガー・インゲルハイム)で開発された胃炎・消化性潰瘍治療剤です。

ピレンゼピンは、はじめから潰瘍治療薬として開発されたものではありませんでした。
もともとは新規の向精神薬を開発する目的で候補化合物※を合成していたところ、それらの中に、優れた抗潰瘍作用を示すものがあるということがわかり、詳細な薬理試験、臨床試験などが実施された結果、ピレンゼピンが潰瘍治療薬として見出されました。
※5,11-dihydro-6H-pyrido[2,3-b][1,4]benzodiazepin-6-one

日本においては胃十二指腸潰瘍治療剤ガストロゼピン錠として、1981年6月2月に承認を受け、1981年9月に発売されました。
発売から40年近く日本人の胃を守ってきたお薬です。


ガストロゼピンは、酸分泌に関連していると思われる副交感神経節のムスカリン受容体(M1)に対して、選択的に拮抗しAchの分泌を抑えて、攻撃因子を抑制する薬です。さらに胃粘膜微小循環改善、胃粘液産生亢進などにより防御因子を増強するとされています。
効果はH2受容体拮抗薬と同程度かそれより弱く、抗コリン作用による安全性の懸念から現在は、ほとんど使われなくなっていたようです。


ガストロゼピンの代替品


後発品があります。
・ピレンゼピン塩酸塩錠25mg「サワイ」
・ピレンゼピン塩酸塩錠25mg「日医工」

需要も少なく薬価も安いのでいつまでメーカーが製造してくれるかわかりません。

ピレンゼピンの他に潰瘍治療に使われるムスカリンM1受容体拮抗薬はありません。
攻撃因子を抑制する薬としてはPPIやH2受容体拮抗薬が候補となります。
PPIやH2受容体拮抗薬を使う程度ではないのでガストロゼピンが使われていたような場合では、使わない(中止する)というのも選択肢になりえるでしょう。

OTCにはピレンゼピンを配合した胃薬があります。
ガストール細粒
ガストール錠剤

速効性制酸剤(炭酸水素ナトリウム)と持続性制酸剤(メタケイ酸アルミン酸マグネシウム)が出過ぎる胃酸を効果的に中和し、M1ブロッカー(ピレンゼピン塩酸塩水和物)が出過ぎる胃酸分泌を元からおさえることで、胸やけや胃痛をおさえるとともに、荒れた胃粘膜を保護します。さらに消化酵素が働き食後の胃の負担を軽くしてくれます。

パンシロンキュアSP
パンシロンキュアSP錠
「パンシロンキュアSP」は胃酸をコントロールし,胃酸から胃を守りながら痛み・胸やけを和らげる胃腸薬です。