2020年4月28日火曜日

アビガンは薬局やドラッグストアにはありません

(2020年4月28日更新)
新型コロナウイルス感染症の治療に関する知見は現時点では限られているため、厚生労働科学研究費補助金等による研究班において、既存の抗ウイルス薬のCOVID-19に対する効果を検証しているところです。「アビガン錠」(一般名:ファビピラビル)は、研究班による観察研究に参加している医療機関に供給されています。


新型コロナウイルスに対して効果が期待されている抗ウイルス薬の「アビガン錠」(一般名:ファビピラビル)ですが、2020年4月時点では薬局やドラッグストアなどで一般の方が入手することはできません。

アビガンは薬として承認されるための条件として以下を満たす必要があるとされています。

2.本剤の使用実態下における有効性及び安全性について十分な検討が必要であることから、適切な製造販売後調査等を実施すること
4.製造販売する際には、通常のインフルエンザウイルス感染症に使用されることのないよう厳格な流通管理及び十分な安全対策を実施すること。
(添付文書より抜粋)


また、新型インフルエンザ等対策ガイドラインには
・発生後速やかに、安全性及び有効性の知見・情報を集積する体制(臨床試験等)を整備
・国が備蓄・管理したアビガンに関しては、国の指示に基づき指定された医療機関へ放出する
との記載がされています。

アビガンの流通に関してはすべて国が管理しているため、薬局が医薬品を仕入れる問屋にも在庫がなく、薬局は取り寄せることすらできませ


アビガンの流通体制

アビガンの流通について規定されているものは、平成30年に出された通知「新型インフルエンザ発生時の国が備蓄しているファビピラビルの放出方法について」(平成30年3月1日、健感発0313第1号、薬生薬審発0313第1号、薬生安発0313第1号)があります。

新型コロナウイルスにではなく新型インフルエンザ発生を想定して決められたものですが、2020年4月時点ではこれに従うものと考えられます。(今後変更される可能性はあります)

アビガンについては、胎児における催奇形性が懸念される薬剤であることから、厳格な流通管理がとられています。
さらに必要時には迅速に供給できるよう、国が備蓄・管理を行うとともに、速やかに、感染力、病原性、耐性・感受性に関する疫学情報、ウイルス学的情報、臨床医学的情報を収集し、総合的なリスク分析に努め、新型コロナウイルス感染症発生に対してアビガンを使用するか否か判断する必要があります。
国が備蓄・管理したアビガンに関しては、国の指示に基づき指定された医療機関へ放出することとし、詳細は別途定められる予定です。


参考までに、新型インフルエンザ発生時の流通体制について記載しておきます。

●アビガンは「安全性及び有効性の知見が限られていることを踏まえて、新型インフルエンザ発生初期は、感染症指定医療機関に入院した患者に限定する」とされていることから、国が備蓄・管理したアビガンは特定及び第1種感染症指定医療機関(※)に放出することとする。
安全性及び有効性の知見が得られ、患者の発生状況に応じて使用できる医療機関を拡大する。

●厳格に流通管理し、安全性、有効性の知見・情報を集積するため、アビガン使用に当たっては、厚生労働省が感染症指定医療機関からに供給依頼を受け、保管業者、富山化学に出庫、配送指示を出す。

●流通管理を厳格かつ迅速に行うため、アビガンの流通を行う医薬品等販売業者は都道府県幹事卸とし、富山化学は都道府県幹事卸に十分な情報提供を行う。



アビガンと新型コロナウイルス

アビガンは、国内では抗新型インフルエンザウイルス薬として製造販売承認を取得している薬剤です。ウイルスのRNAポリメラーゼを選択的に阻害することでウイルスの増殖を防ぐというメカニズムを有しています。インフルエンザウイルスと同種のRNAウイルスである新型コロナウイルスに対しても同様に効果があるかもしれないと期待されている薬剤です。

現在その有効性に関しては臨床試験中であり、通常の診療下では処方することはできません。

ただ、その使用方法について日本感染症学会の
に記載があります。

投与方法(用法用量):
1日目 3600 mg (1800 mg 1日2回)
2日目以降 1600 mg (800 mg 1日2回)
最長14日間投与。

1.ファビピラビルの有効性に関し、適切な重症度や投与開始のタイミングに関しては不明である。

2. 併用注意
1) ピラジナミド
2) レパグリニド
3) テオフィリン
4) ファムシクロビル
5) スリンダク

3. 簡易懸濁法による経鼻投与も可能。
被験者に経鼻胃管を挿入し,経鼻胃管が胃の中に入っていることを胸部 X 線検査で確認した後, ピストンを用いて懸濁液をゆっくりと注入する。
その後,5mLの水で経鼻胃管を洗浄する。

4.動物実験において、本剤は初期胚の致死及び催奇形性が確認されていることから、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。

5. 妊娠する可能性のある婦人に投与する場合は、投与開始前に妊娠検査を行い、陰性 であることを確認した上で、投与を開始すること。
また、その危険性について十分に説明した上で、投与期間中及び投与終了後7日間はパートナーと共に極めて有効な避妊法の実施を徹底するよう指導すること。
なお、本剤の投与期間中に妊娠が疑われる場合には、直ちに投与を中止し、医師等に連絡するよう患者を指導すること。

6. 本剤は精液中へ移行することから、男性患者に投与する際は、その危険性について十分に説明した上で、投与期間中及び投与終了後7日間まで、性交渉を行う場合 は極めて有効な避妊法の実施を徹底(男性は必ずコンドームを着用)するよう指導すること。また、この期間中は妊婦との性交渉を行わせないこと。

7. 治療開始に先立ち、患者又はその家族等に有効性及び危険性(胎児への曝露の危険性を含む)を十分に文書にて説明し、文書で同意を得てから投与を開始すること。

8. 本剤の投与にあたっては、本剤の必要性を慎重に検討すること。


アビガンはどこで投与されているのか

アビガンは新型コロナウイルスに関する有効性安全性を明らかにするため治験が行われています。
また、特定臨床研究や観察研究も行われています。

これら研究実施施設では入院されたコロナウイルス陽性患者さんを対象にアビガンが投与されることもあるようです。


コロナウイルス感染症に対するアビガンの使用については、医療機関が研究班による観察研究(※)に参加し、患者本人の同意があり、医師の判断によって使用が必要となった場合に限り可能となっています。
アビガンを利用するためには、この研究班に参加している必要があります。

※ 観察研究とは、医療機関内の倫理委員会等の手続を経て患者の同意を得た上で、本来の適応とは異なる投与等を行った治療について、治療結果等を集積し、分析する研究です。

研究班に参加するための要件
(1)患者の要件
患者の同意を取得した上で、医療機関の医師の医学的判断に基づき、アビガンを使用できます。
ただし、妊娠可能な女性、妊娠させる可能性のある男性への投与は、慎重な検討が必要となっています。
(参考) 一般社団法人日本感染症学会「COVID-19 に対する抗ウイルス薬による治療の考え方 第1版」   
  1. 概ね 50 歳以上の患者で、低酸素血症を呈し酸素投与が必要となった例 
  2. 糖尿病・心血管疾患・慢性肺疾患、喫煙による慢性閉塞性肺疾患、免疫抑制状態等のある患者で低酸素血症を呈し酸素投与が必要となった例 
  3. 年齢にかかわらず、酸素投与と対症療法だけでは呼吸不全が悪化傾向にある例

(2)医療機関の要件
  • アビガン投与をご希望される施設については、医師の管理下で、確実な服薬管理・残薬管理ができること。
  • 患者さんご本人の同意を取得した上で、実際に使用頂くこと。
  • 観察研究について、倫理審査委員会の承認を受けること。
  • 薬剤を適応外で使用することについて、医療機関として通常必要な手続きを実施すること。
  • アビガンの投与に至った症例について、必要な情報を、情報をとりまとめている窓口(藤田医科大学及び国立国際医療センター)に提供可能であること。

アビガン観察研究の問い合わせ先
投与の希望が生じた場合には、必要なアビガンが速やかに納入できるよう、富士フイルム富山化学株式会社、厚生労働省等関係者により、必要な体制が整備されています。
  • 研究に関すること
    藤田医科大研究事務局 
     covid-19(at) fujita-hu.ac.jp
    NCGM レジストリ研究事務局
     registry.covid(at) hosp.ncgm.go.jp
  • 副作用等の薬剤の情報に関すること 富士フイルム富山化学株式会社
     fftc-avigan(at) fujifilm.com
  • その他、薬剤の提供等に関すること 厚生労働省医政局研究開発振興課治験推進室
     chikensuishin(at) mhlw.go.jp
※ (at) は @ に置き換えて下さい.

アビガン(ファビピラビル)観察研究に関する Q&A
「コロナウイルス感染症に対するアビガン(一般名:ファビピラビル)に係る観察研究の概要及び同研究に使用するための医薬品の提供について」(令和2年4月27日 厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部)より抜粋
https://www.mhlw.go.jp/content/000625757.pdf

(問1) 観察研究への参加を審議するための倫理審査委員会が、医療機関にない場合はどのようにしたらよいですか。
観察研究を行う代表研究機関の倫理審査委員会による中央審査を採用してください。
詳細は、代表研究機関の国立国際医療研究センター、藤田医科大学にご相談ください。 
藤田医科大研究事務局
 covid-19(at)fujita-hu.ac.jp
NCGMレジストリ研究事務局
  egistry.covid(at)hosp.ncgm.go.jp
(問2) アビガンを投与する前に、実施しなければならない医療機関内の手続きを教えてください。
各医療機関において医療安全の観点から求められている、医薬品の適用外使用に係る手続き(通常実施しているもの)を実施してください。 
〔参考〕 医療法においては、未承認新規医薬品等を用いた医療の提供の実施の適否を確認する部門の設置等の措置を講ずることが定められています(特定機能病院及 び臨床研究中核病院については義務、それ以外の病院については努力義務。医療法施行規則第9条の20の2第1項第8号等)
(問3) アビガンの供給に関する希望を窓口に依頼する際、伝達しなければならない事項を教えてください。
患者への投与前までに、問2で示した医療機関内手続きが終了する見込みがあること、また、患者への同意が確実に得られる見込みがあることについて明記してください。 このほか、投与を予定する患者数についても、併せて伝達ください。
(問4) アビガンには、どのような副作用がありますか。
動物実験において、初期胚の致死及び催奇形性が確認されていますので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないようお願いします。 また、精液中に移行することも確認されており、妊娠させる可能性のある男性への投与についても慎重な検討が必要です。あわせて、医師の管理下で、確実な服薬管理・残薬管理をお願いします。
(なお、妊娠する可能性のある女性、妊娠させる可能性のある男性へ投与する際には、催奇形性に関する危険性について十分に説明した上で、投与期間中及び投与終了後7日間はパートナーとともに、極めて有効な避妊法の実施を徹底するよう指導してください。) 
また、これまでの観察研究において、アビガン投与と因果関係が疑われる有害事象は、肝機能障害、高尿酸血症、腎機能障害、嘔気、皮疹、発熱、高ビリルビン血症が報告されています。
(問5)アビガン使用に関する患者同意文書はどうすれば良いですか。
代表研究機関である国立国際医療研究センターの国際感染症センターのホームページでひな形を公開しています
 http://dcc.ncgm.go.jp/information/index.html
(問6) アビガン以外で、どのような薬剤で観察研究が行われていますか?
現在、アビガン以外には、主に、オルベスコ(一般名:シクレソニド)、フサン(一般名:ナファモスタット)の観察研究が行われています。 
オルベスコ: 吸入ステロイド薬で、抗炎症作用があり、気管支喘息が適応となっています。 基礎研究において、コロナウイルスに対する抗ウイルス活性が確認されています。 
フサン :プロテアーゼ阻害薬であり、急性膵炎等が適応となっています。 基礎研究において、ウイルスが細胞に接着する分子との結合を阻害し、ウイル スの増殖抑制効果が期待される可能性があるとの報告があります。
(問7) アビガン以外の観察研究に参加したいのですがどのようにしたらよいですか?
参加を希望される医療機関は、藤田医科大研究事務局 ( covid-19(at)fujitahu.ac.jp)へ連絡してください。
患者同意の取得や、使用にあたっての医療機関内手続き等については、基本的にアビガンの場合と同様です。
(問8) オルベスコ(一般名:シクレソニド)は、添付文書上、「有効な抗菌剤が存在し ない感染症」が禁忌となっていますが、使用してもよいのでしょうか。
オルベスコは、基礎研究において、コロナウイルス感染症に対する抗ウイルス作用が示唆された薬です。
一方で、ステロイドであるため、「有効な抗菌剤が存在しない感染症」が禁忌となっていますので、観察研究にあたっては、主治医が、期待される 効果と副作用とを勘案し、患者の同意を得て、慎重に投与すべきかを検討してください。
(問9) 介護老人保健施設(老健)、重症心身障害児施設、精神科単科の病院において(転院が困難な)患者さんに対してアビガンによる治療を行いたいのですがどのようにしたらよいですか。
転院が困難な症例は、医師の経過観察下で、各施設でのアビガン投与をお願いしております。患者要件は感染症学会ガイドラインを目安にしてください。 http://www.kansensho.or.jp/uploads/files/topics/2019ncov/covid19_antiviral_drug_200227.pdf 
また他の医療機関と同様にアビガン観察研究への参加をお願いしております。
 アビガン投与、観察研究に関する手続きは(問1)から(問5)を参照してください。
(問10) アビガンの投与を希望する場合、どこに問い合わせればよいですか。
■研究に関すること
 藤田医科大研究事務局
 covid-19(at)fujita-hu.ac.jp

 NCGMレジストリ研究事務局
registry.covid(at)hosp.ncgm.go.jp 
■副作用等の薬剤の情報に関すること
 富士フイルム富山化学株式会社
 fftc-avigan(at)fujifilm.com 
■その他、薬剤の提供等に関すること
 厚生労働省医政局研究開発振興課治験推進室
 chikensuishin(at)mhlw.go.jp

参考:
・抗インフルエンザウイルス備蓄薬の流通について
・【通知】新型インフルエンザ発生時の国が備蓄しているファビピラビルの放出方法について
(平成30年3月1日、健感発0313第1号、薬生薬審発0313第1号、薬生安発0313第1号)
・新型コロナウイルス感染症に対する厚生労働科学研究班への協力依頼について
・新型コロナウイルス感染症に対するファビピラビルに係る観察研究の概要及び同研究に使用するための医薬品の提供に関する周知依頼について
(令和2年4月27日 厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部)
https://www.mhlw.go.jp/content/000625756.pdf