2025年9月17日水曜日

地域フォーミュラリを推進する16地域


地域フォーミュラリは、医療の質を保ちつつ医薬品の有効性・安全性・経済性を最適化する取り組みとして、日本各地で広がっています。2025年9月現在、16地域で推進されています。

政府の「経済財政運営と改革の基本方針2025」では、地域フォーミュラリの普及推進が明記されており、KPI設定を通じたさらなる拡大が期待されます。

地域フォーミュラリとは?

地域フォーミュラリは、医師会・薬剤師会・病院が連携し、科学的根拠に基づいた推奨医薬品リストを作成・運用する仕組みです。地域の医療資源を効率化し、患者の負担軽減や医療費抑制を目指します。

推進地域とフォーミュラリーリストの公開状況

地域ごとのフォーミュラリー取り組み
地域 概要 リスト公開状況 参考リンク
山形県 - 酒田地区(庄内地域) 国内初の地域フォーミュラリ事例(2018年開始)。薬局の在庫最適化や医療費抑制に成功。 非公開(医療従事者向け運用) 日本海総合病院フォーミュラリ資料
山形県 - 北庄内地区 酒田地区の成功を受け、近隣で展開。日本海ヘルスケアネットがカバー。 非公開 日本フォーミュラリ学会ガイドライン
大阪府 - 八尾市地区 地域医療連携によるフォーミュラリ推進。2020年委員会形成、2021年運用開始。 非公開(セミナーで議論あり) 広島県薬剤師会セミナー資料
茨城県 - つくば地区 研究都市ならではの医療連携で推進。2022年開始、2023年更新。 非公開 日本フォーミュラリ学会ガイドライン
北海道 - 札幌市手稲区(ていね地区) 地域医療の標準化を目指す。「ていね地域フォーミュラリ」として2023年完成。 非公開 日本フォーミュラリ学会
北海道 - 上川北部地区 広域エリアでの取り組み。上川北部医療連携推進機構が主導。 非公開 日本フォーミュラリ学会ガイドライン
広島県 - 三次市・庄原市(備北地区) 備北メディカルネットワークが中心となり推進。2023年からモデル事業。 非公開(モデル事業の振り返り資料あり) 広島県薬剤師会セミナー, 備北メディカルネットワーク
秋田県 - 潟上市・三種町地区 地域連携による医薬品適正使用。AFSSがカバー。 非公開 厚生労働省科学研究報告
宮城県 - 仙台市宮城野区 都市部でのフォーミュラリ実践。 非公開 日本フォーミュラリ学会ガイドライン
茨城県 - 古河市地区 地域医療の効率化を目的。 非公開 日本フォーミュラリ学会ガイドライン
沖縄県 - 中南地区 沖縄県全体の取り組みの一環。 非公開 沖縄県医療関連ページ
埼玉県 - 朝霞市地区 薬剤師会が主導。 非公開 日本フォーミュラリ学会ガイドライン
長野県 - 飯田市・下伊那地区 南信州地域での連携。(注: ガイドラインに明示されていないが、関連事例から補完) 非公開 飯田市HP
徳島県 - 県内複数地域(マニュアル推進基盤) 県全体でマニュアルを整備し、リスト作成を支援。災害時対応も考慮。 非公開だが、リスト作成テンプレートあり 徳島県フォーミュラリマニュアル
広島県 - 県内広域(研修推進) 県全体での研修を通じた推進。 非公開 広島県ジェネリック医薬品推進
沖縄県 - やんばる地区(北部地区) 北部地区薬剤師会が積極的に推進。スタチン系や鎮痛剤のリストを公開。 部分公開(特定領域のリストあり)。例: HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)、歯科用鎮痛剤、インフルエンザ治療薬。 北部地区薬剤師会フォーミュラリページ, スタチンリスト, 鎮痛剤リスト, インフルエンザリスト


フォーミュラリーリスト公開の現状と課題

院内フォーミュラリーの場合、多くの病院が地域の薬局向けに推奨薬リストをホームページ上で公開しているところは珍しくなくなってきました。しかし、ほとんどの地域でフォーミュラリーリストは地域の関係者のみに限定的に公開されており、公衆向けの完全公開は稀です。沖縄県やんばる地区のように、一部リストや啓発資材を公開する地域もありますが、全体としては内部運用が主流です。これは、リストが地域の医療ニーズや地域医師会へ忖度しているためと考えられます。

日本フォーミュラリ学会のモデルリスト(会員向け)が多くの地域で参考にされており、標準的なリスト作成の基盤となっています。徳島県のように、マニュアルを公開する動きは、他の地域への普及に役立つはずです。


今後の展望

地域フォーミュラリは、2025年現在も拡大中です。厚生労働省や学会の支援により、新たな地域での導入が進む可能性があります。最新情報は、各都府県の薬剤師会や公式HP、日本フォーミュラリ学会のガイドラインで確認することをおすすめします。