2022年1月27日木曜日

バイナス錠 販売中止と代替品

バイナス錠が販売中止となるようです。

販売中止のお知らせ(バイエル薬品)
https://pharma-navi.bayer.jp/sites/g/files/vrxlpx9646/files/2021-11/BNS_PNS_202111080.pdf

経過措置(予定):2023年3月末
中止理由:需要減少のため

バイナス錠はラマトロバンを成分とするアレルギー性鼻炎の適応をもつ唯一のプロスタグランジンD2(PGD2)・トロンボキサンA2(TXA2) 受容体拮抗剤です。

TXA2は、1969年PiperとVaneによりウサギ大動脈を収縮させる物質として発見されたアラキドン酸代謝産物です。そして1975年 Hambergらにより同定、命名されました。
アラキドン酸の代謝経路については、生体内において肥満細胞、好酸球、好塩基球、好中球、血小板などの炎症性細胞が抗原刺激を含む種々の刺激を受けると、細胞膜のリン脂質からホスホリパーゼの作用でアラキドン酸が産生され、さらにアラキドン酸からPG類、ロイコトリエン(LT)類、TX類のような種々の生理活性物質が産生されるといういわゆるアラキドン酸カスケードが知られています。
それらのうちTXA2が血管透過性亢進作用などを示し、アレルギー性鼻炎の病態に関与していることが明らかになりました。

このTXA2を標的に開発された薬剤がバイナス錠です。日本では2000年にバイエル薬品から発売されました。
バイナス錠は鼻閉症状を改善するとして、鼻閉型のアレルギー性鼻炎への使用がガイドラインで推奨されていました。


バイナス錠の代替品

バイナス錠はラマトロバンを成分とするアレルギー性鼻炎の適応をもつ唯一のプロスタグランジンD2(PGD2)・トロンボキサンA2(TXA2) 受容体拮抗剤です。
バイナス錠は鼻アレルギーガイドラインでは鼻閉型のアレルギー性鼻炎への使用が推奨されていました。
同様に、鼻閉型のアレルギー性鼻炎への使用が推奨されているものに第2世代抗ヒスタミン薬・血管収縮薬配合剤の『ディレグラ配合錠』がありますので、こちらが代替候補となります。



鼻アレルギーと気管支喘息の合併率は高く、喘息患者のPGD2曝露に伴う気道狭窄を抑制する目的でバイナス錠が使用されることがあります。

抗PGD2 ・TXA2 薬は喘息症状改善にある程度有用である考えられており、気管支喘息の治療薬としてTXA2合成酵素薬(オザグレル塩酸塩)やTXA2受容体拮抗薬(セラトロダスト)が適応を取得しています。