2026年2月13日金曜日

2026年調剤報酬改定:食品類似薬(経腸栄養剤)の保険適用範囲見直し

「食品に類似した医薬品(食品類似薬)」の保険適用範囲の見直しについて詳しく解説します

今回の見直しは、医療保険財政の持続可能性と給付適正化を目的としたもので、2026年6月施行予定です。エンシュア・リキッドやラコールなどの経腸栄養剤が主な対象となりレセプト対応に大きな変更が生じます。原則算定不可の方向性が固まっています。

1. 対象となる医薬品(食品類似薬)

対象は、薬効分類325「たん白アミノ酸製剤」に属する医薬品のうち、手術後の栄養保持を主な効能・効果とし、特定の疾患制限なく使用可能な品目です。これらは経管栄養が原則ですが、実際には経口投与が多く、市販食品と同等の栄養成分(熱量・たんぱく質・脂質など)を持つ代替品が存在することが問題視されています。

具体的な対象品目(6成分6品目):

  • エンシュア・リキッド
  • ツインラインNF配合経腸用液
  • ラコールNF配合経腸用液
  • エネーボ配合経腸用液
  • イノラス配合経腸用液
  • エンシュア・H

これらの品目は、栄養保持目的での経口使用が保険給付の主な焦点です。

2. 保険給付見直しの基本方針

2025年12月24日の大臣折衝事項および中医協議論で決定された基本方針:

「経口による通常の食事から栄養補給可能な患者に対する使用は保険給付外とする」

市販食品の代替可能性を踏まえ、通常の食事で栄養摂取可能な患者への追加補給は、医療保険(医薬品)ではなく食品で対応すべきという考え方です。漫然とした経口処方を抑制し、保険財政の適正化を図ります。

3. 保険給付が継続されるケース(例外規定)

全患者が適用外になるわけではなく、以下のいずれかに該当する場合、引き続き保険給付対象です。

  1. 手術後の患者(添付文書上の効能・効果に準拠)
  2. 経管により栄養補給を行っている患者(経管投与が原則の場合)
  3. 医師が特に医療上の必要性を認めた患者
    - 疾病の治療のために必要で、他の食事では代替できないと医師が判断した場合(例: 低栄養状態で通常食代替不可の慢性疾患患者など)

例外適用には厳格な記載要件が課されます(後述)。

4. 現場実務における変更点(処方・レセプト対応)

診療報酬上の取り扱い(第5部 投薬 通則)が改正され、入院外患者(主に外来)への処方が厳格化されます。2026年6月施行予定のため、システム更新・スタッフ教育を急ぎましょう。

① 保険算定の制限

原則として、栄養保持目的の医薬品を投与した場合、以下の点数は算定不可となります:

  • 調剤料
  • 処方料
  • 薬剤料
  • 処方箋料
  • 調剤技術基本料

これにより、保険給付外(全額自費)扱いとなる可能性が高いです。

② 算定可能となる要件と記載義務

例外規定(上記3.)に該当する場合のみ算定可能ですが、処方箋およびレセプトへの理由記載が必須です。記載漏れは査定・返戻リスク大。

  • 手術後の患者・経管栄養の患者の場合
    「その旨」(手術後であること、または経管栄養を行っていること)を記載。
  • 医師が必要と判断した患者の場合(食事による栄養摂取が困難な場合など):
    「その理由」を具体的に記載(例: 「低栄養状態で通常食代替不可」など)。

5. まとめ

この変更は、医師の安易な栄養剤処方を抑制するものですが、この内容ではコメントさえ書けば処方は可能なので、強い抑制には働かないと推測されます。とはいえ、薬局では処方目的の確認業務(疑義照会含む)が大幅に増加すると予想できます。特に「食欲不振」などの曖昧理由は査定リスクが高く、処方元との連携強化が不可欠です。

  • 物販強化:対象品目の処方代替として、市販栄養食品の推奨販売を強化(在庫拡充・患者説明スキル向上)。
  • 業務負担増:疑義照会増加で効率化必須。電子処方箋活用・スタッフ研修を推進。
  • 機会創出:患者への「食品代替」説明をチャンスに。栄養相談サービスを展開し、薬局の付加価値を高める。
  • 全体改定との連動:OTC類似薬の見直し(77成分、薬剤費の1/4特別負担)も並行。セルフメディケーション推進の流れを捉え、薬局の役割を再定義。