令和8年度診療報酬改定における「バイオ後続品使用体制加算」の見直しについて、解説します。

政府は「2029年度末までにバイオ後続品(BS)への置き換え率80%以上」という目標を掲げており、今回の改定はこれを強力に後押しする内容です。中小規模病院にとっては、施設基準の緩和により新規届出のハードルが大幅に下がり、●(改定告示で確定)の加算を獲得する絶好の機会となっています。一方で、対象品目拡大と要件の厳格化により、運用管理の強化が不可欠です。

1. 算定タイミングの変更:取りこぼし防止へ

  • 改定前:入院初日に算定
  • 改定案退院日に1回に限り算定(入院期間中の実績に基づく)


入院初日ではBS使用が未確定なケースが多く、算定を諦めざるを得ませんでした。退院時算定へ移行することで、実績を確実に反映でき、収益取りこぼしを防げます。電子カルテの使用履歴自動集計を導入し、退院チェックをルーチン化すれば、算定率向上と事務負担軽減が同時に実現。中小病院でも年間数十万円〜数百万円の収益増が見込めます。

2. 施設基準(使用実績)の大幅緩和:中小病院の参入障壁低下

要件が「全体回数」から「成分単位の規格数量」へシフトし、柔軟化。

  • 改定前:対象先発BS+BSの使用回数合計が「100回」超
  • 改定案:対象バイオ医薬品のうち少なくとも1成分で、直近1年間の規格単位数量合計が「50」以上


従来の「年間100回」は中小病院にとって高すぎる壁でしたが、改定後は「1成分で50単位以上」で届出可能に。特定の診療科(腫瘍・腎臓・リウマチなど)に特化した施設で特に有利です。まずは院内データを分析し、該当成分の使用量を増やす医師教育・薬剤師連携を強化しましょう。届出後の維持が鍵なので、薬剤管理システムの活用をおすすめします。

3. 対象品目の大幅拡充:置き換え目標の多段階化

計算対象成分が追加され、80%目標と50%目標の2カテゴリーに。

A. 80%以上の置き換えが必要な品目(主な追加・移行分)

  • エポエチン
  • リツキシマブ
  • トラスツズマブ
  • テリパラチド
  • ラニビズマブ(旧50%から移行)
  • インスリングラルギン(新規)
  • ダルベポエチン(新規)
  • フィルグラスチム(新規)

B. 50%以上の置き換えが必要な品目(主な追加分)

  • ソマトロピン
  • エタネルセプト
  • ベバシズマブ
  • インスリンアスパルト
  • インフリキシマブ
  • アガルシダーゼベータ
  • インスリンリスプロ
  • アダリムマブ
  • アフリベルセプト(新規)
  • ウステキヌマブ(新規)
  • ペグフィルグラスチム(新規)
  • トシリズマブ(新規)

経過措置
新規追加品目については、既届出施設に令和9年(2027年)5月31日までの経過措置あり。以降は厳格適用なので、早期切り替え計画が必須。


対象拡大で大病院有利ですが、中小病院も特定成分に集中すれば対応可能。BSは先発品の60〜80%価格のため、置き換えで薬剤費削減+加算収入のダブル効果。供給不安定品目(フィルグラスチムなど)は複数卸契約と在庫回転最適化を急ぎましょう。

4. 個別成分達成が厳格化の可能性

要件文言の変更で、解釈が厳しくなる懸念大。

  • 改定前:成分全体の割合が基準超
  • 改定案:「それぞれの成分について」BS割合が基準(80%または50%)以上


「それぞれの成分」が「全成分個別クリア(オール・オア・ナッシング)」と解釈されると、算定継続が困難に。3月告示・通知を注視しつつ、安全策として全対象成分の置き換えを目指す運用を推奨。未達成成分の使用を最小限に抑えるシミュレーションを実施し、算定喪失リスク(年間数百万円規模)を回避しましょう。

5. 掲示要件の強化:患者周知の必須化

  • 改定案:入院・外来で「バイオ後続品の使用に積極的に取り組んでいる旨」を見やすい場所に掲示(ウェブサイト掲載も推奨)


コンプライアンス強化ですが、患者信頼向上のチャンス。掲示に「有効性・安全性説明実施」を明記し、スタッフ教育を連動。マーケティングとして活用すれば、バイオ後続品採用施設としての差別化・患者流入増につながります。

まとめ

今回の改定は、国が「バイオ後続品への聖域なき置き換え」を本気で推進する姿勢の表れです。
ポイントは3つ:

  1. 算定日変更 → 確実な収益化(取りこぼしゼロへ)
  2. 要件緩和 → 新規届出のチャンス(中小病院の参入促進)
  3. 対象拡大+厳格化 → 個別成分管理の徹底が必要

中小病院にとっては、加算獲得で年間収益を大幅アップさせる好機です。まずは直近データを確認し、「年間50単位以上の使用成分」があるかをチェック。次に置き換え計画を立て、医師・薬剤師チーム体制を構築。在庫・供給リスク対策として複数卸連携も忘れずに。