2017年12月15日金曜日

ライボミンS注射液 販売中止と代替品 



ライボミンS注射液が販売中止となるようです。
http://med.toaeiyo.co.jp/products/information/notice/sale1710.pdf

2018年4月販売中止。
経過措置期間満了日は2019年3月31日(予定)

ライボミンS注射液はフラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム(FAD)とピリドキサールリン酸エステル水和物を配合した注射剤です。
1966年から販売されていました。

FADはビタミンB2、ピリドキサールリン酸エステル水和物はビタミンB6として知られています。
ビタミンB2とビタミンB6を同時に投与できる薬剤でビタミン B2 及びビタミン B6 の欠乏又は代謝障害が関与すると推定される湿疹・皮膚炎群、口内炎等に対して使用されていました。


ライボミンS注射液の代替品


ライボミンS注射液と同じようなビタミンB2とビタミンB6を配合した注射剤は存在しなくなりました。

代替品としては
ビタミンB2単剤である
フラビタン注、

または

ビタミンB2およびビタミンB6のほか4種のビタミンを含む
シーパラ注
が考えられます。


強力ビスラーゼ末 販売中止と代替品



強力ビスラーゼ末1%が販売中止となるようです。
http://med.toaeiyo.co.jp/products/information/notice/sale1710.pdf

2018年4月販売中止。
経過措置期間満了日は2019年3月31日(予定)

強力ビスラーゼ末はリボフラビンを有効成分とする内服剤です。
1954年から販売されていました。

リボフラビンはビタミンB2として知られています。
リボフラビンは小腸・肝臓でリン酸化され FMN(Flavin mononucleotide・リン酸リボフラビン)となり、さらに大部分は ATP の作用により FAD(Flavin adenine dinucleotide)まで合成されます。体内ではこのFADの形で存在して栄養素の代謝に関わっています。
成長促進・皮膚や粘膜の保護といった働きもあり、不足すると成長障害・脂漏性皮膚炎・口内炎などを引き起こすことが知られています 。

強力ビスラーゼ末は以下の症状が見られるとき用いられます。
1.ビタミンB2欠乏症の予防及び治療
2.消耗性疾患、妊産婦、授乳婦、激しい肉体労働など、ビタミンB2の需要が増大し、食事からの摂取が不十分な際の補給
3.次の疾患のうち、ビタミンB2の欠乏又は代謝障害が関与すると推定される場合
・口角炎、口唇炎、舌炎 
・肛門周囲及び陰部びらん
・急性、慢性湿疹、脂漏性湿疹
・ペラグラ
・尋常性座瘡
・日光皮膚炎
・結膜炎
・びまん性表皮角膜炎

しかし、飽食の時代、簡単に食物から摂取できるため、必ずこの薬を必要とするケースはまずありません。


強力ビスラーゼ末の代替品


強力ビスラーゼ末と同一成分のリボフラビンを成分とする薬剤は存在しません。

代替品としては
フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム(FAD)の飲み薬である
フラビタンなどが考えられます。

リボフラビンは吸収されると、最終的にフラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム(FAD)となり体内で働くので同じことですね。
さらに、リボフラビンからFADへの生合成過程に障害が起こるとリボフラビンの投与では十分な効果が得られないことがありますが、FAD の投与ではそのような場合にも有用と考えられます。

フラビタンには錠剤以外にも
さわやかな甘味とオレンジの風味のシロップ剤もあります。



2017年12月14日木曜日

ナイクリン 販売中止と代替品



ナイクリン錠50mg/ナイクリン散10%が販売中止となるようです。
http://med.toaeiyo.co.jp/products/information/notice/sale1710.pdf

2018年4月販売中止。
経過措置期間満了日は2019年3月31日(予定)

ナイクリンはニコチン酸を有効成分とする内服剤です。
ニコチン酸は、ほとんどがニコチン酸アミドの形で、広く動植物に分布しています。また、その大部分は、細胞内でニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)に変換され、様々な酸化還元酵素の補酵素として機能しています。

ナイクリンはニコチン酸欠乏症の予防及び治療(ペラグラなど)、ニコチン酸の需要が増大し食事からの摂取が不十分な際の補給(消耗性疾患、妊産婦、授乳婦、はげしい肉体労働時など)や、ニコチン酸の欠乏又は代謝障害が関与すると推定される口角炎、口内炎、舌炎、接触皮膚炎、急・慢性湿疹、光線過敏性皮膚炎、メニエル症候群、末梢循環障害(レイノー病、四肢冷感、凍瘡、凍傷)、耳鳴、難聴に使用されます。

ニコチン酸はビタミンB3(ナイアシン)の一つです。
ナイアシンは食品からの摂取以外に、生体内で必須アミノ酸のトリプトファンから生合成することができ、この飽食の時代、不足するようなことはまずありません。
魚や肉、きのこ類に多く含まれています。


ナイクリンの代替品


ナイクリンと同一成分のニコチン酸を成分とする薬剤は存在しません。

代替品としては
ニコチン酸アミド散10%「ゾンネ」が
考えられます。

ニコチン酸は肝臓に取り込まれた後、ニコチン酸アミドに変換され、各組織に放出されるのですから、ニコチン酸アミドとして摂っても同じことですね。

卵アレルギーでもインフルエンザワクチンを接種できますか?



日本で接種されるインフルエンザワクチンはニワトリの卵を使って増殖させたインフルエンザウイルスを原材料として製造されています。
したがって、鶏卵アレルギーの人は接種を受ける際には注意が必要です。
近年はワクチンが高度に精製されているので、鶏卵由来成分の残存は極微量です。しかし、これによるアレルギー症状が稀に起こることがあります。

医師はインフルエンザに罹った場合のリスクと鶏卵アレルギーの程度によりワクチン接種に伴う副反応とのバランスを考慮し、接種を判断します。


卵を原料に使っていないインフルエンザワクチンはないのか?


日本で承認・製造されている季節性インフルエンザワクチンは鶏卵による培養で作成したワクチンしかありません。(2017年時点)

海外に目を向けてみると、卵を使わな季節性インフルエンザワクチンが使用されています。
その1例として、アメリカの『FLUCELVAX QUADRIVALENT』を紹介します。


FLUCELVAX QUADRIVALENTとは


FLUCELVAX QUADRIVALENTは鶏卵培養ではなくMDCK細胞(イヌの腎臓尿細管上皮細胞)等を用いた「細胞培養」技術によって作られた4価インフルエンザワクチンです。

もともとFLUCELVAXは製薬メーカーのノバルティスによって、アメリカ食品医薬品局 (FDA) の承認を受け、現在ではCSLベーリング傘下のSeqirusが販売しています。

このワクチンは4歳以上から接種可能です。
4歳から8歳までには1回0.5mLを1~2回投与します。2回投与する場合は1回目から4週間間隔をあけます。
9歳以上には0.5mLを1回投与します。

副作用としては接種部の痛み‐発赤・頭痛・疲労感があるようですが、鶏卵ワクチンと同程度です。

包装は0.5mLのシングルドーズシリンジと5mLのバイアルがあります。

FLUCELVAX QUADRIVALENT添付文書
https://www.fda.gov/downloads/BiologicsBloodVaccines/Vaccines/ApprovedProducts/UCM502899.pdf

FLUCELVAXを日本で接種するためには、個人輸入による方法しかありませんが、、医薬品等の個人輸入については、通常、メリットよりも危険性(リスク)のほうが大きい場合が多いと考えられます。
そうした外国製品によって不利益を被るのは、それを購入・使用するあなた自身や、あなたの家族であることに留意して下さい。

医薬品等を海外から購入しようとされる方へ(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/kojinyunyu/index.html
医師・歯科医師による医薬品等の個人輸入について(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/topics/0104/dl/tp0401-1c.pdf

2017年12月8日金曜日

「後発医薬品がある先発医薬品」に変わるタイミング2017年12月


2017年12月8日後発品の薬価収載がありました。

各先発医薬品の後発医薬品の有無に関する情報が更新され、後発医薬品の数量シェア(置換え率)に影響があります。

「後発医薬品がない先発医薬品」が後発品の登場により「後発医薬品がある先発医薬品」に変わるタイミングは、商品によって違ってきます。
(基本的には発売月の翌月1日から)

切り替わるタイミングに関しては、厚生労働省の
「薬価基準収載品目リスト及び後発医薬品に関する情報」5.その他(各先発医薬品の後発医薬品の有無に関する情報)の備考欄に記載されています。
http://www.mhlw.go.jp/topics/2016/04/tp20160401-01.html



2018年1月1日から「後発医薬品がある先発医薬品」に変更


ルプラック錠4mg
ルプラック錠8mg
アバプロ錠50mg
イルベタン錠50mg
アバプロ錠100mg
イルベタン錠100mg
アバプロ錠200mg
イルベタン錠200mg
ディフェリンゲル0.1%
テモダールカプセル20mg
テモダールカプセル100mg
シプロキサン注400mg
ファムビル錠250mg


2018年4月1日から「後発医薬品がある先発医薬品」に変更


レキップCR錠2mg
レキップCR錠8mg
タリオン錠5mg
タリオン錠10mg
タリオンOD錠5mg
タリオンOD錠10mg
グレースビット錠50mg


テラジアパスタの販売中止と代替品


テラジアパスタ5%が販売中止となるようです。
https://www.medicallibrary-dsc.info/announce/other/pdf-data/2017/1710stop_thr_oin5.pdf

販売中止時期2018年3月
経過措置期間2019年3月末まで(予定)

テラジアパスタはサルファ剤のスルファジアジン(sulfadiazine)を水溶性軟膏基剤マクロゴールに配合した皮膚疾患用外用剤です。
発売は1953年です。65年の節目に販売中止となります。

テラジアパスタは皮膚の表在性化膿性疾患や褥瘡の感染制御に用いられています。
皮膚表在性化膿性疾患の大部分は黄色ブドウ球菌が原因であるため、これに感受性の強いスルファジアジンを含むテラジアパスタが主流でした。

しかし、耐性菌の出現、過敏症の発現頻度が高いなどの理由で、最近では外用抗菌薬にその座を奪われてしまいました。このような使用頻度の低下が販売中止の理由と考えられます。


テラジアパスタの代替品


褥瘡の感染制御に使用している場合注意が必要です。
同じ感染制御に用いスルファジアジンを含む『ゲーベンクリーム』を選択しがちですが、基剤が異なるため創面の湿潤環境によっては不適切な場合があります。

吸水性基剤であるテラジアパスタは慢性潰瘍の初期で滲出液が多い場合に用いられます。一方、保水性基剤であるゲーベンクリームは水分含有率が高いため乾燥した創に適しています。

テラジアパスタを使用するような褥瘡であれば、吸水性基剤かつ感染制御に優れたものとして『カデックス軟膏』や『ユーパスタコーワ軟膏』が代替候補となります。

褥瘡治療に使う外用剤:目的と基剤
参考:褥瘡治療に使用する外用剤
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jshowaunivsoc/74/2/74_128/_pdf

皮膚の表在性化膿性疾患に使用している場合
外用抗菌薬が代替として考えられます。

テトラサイクリン系

  • アクロマイシン軟膏
  • テラマイシン軟膏


アミノグリコシド系

  • ゲンタシン軟膏
  • バラマイシン軟膏


クロラムフェニコール

  • クロロマイセチン軟膏


フシジン酸ナトリウム

  • フシジンレオ軟膏


ニューキノロン系

  • アクアチム軟膏1%/クリーム1%
  • ゼビアックスローション2%


ただし、上記抗菌薬も耐性菌の出現が問題になっています。
そのため抗菌薬は全身療法にとどめるべきで、外用に対しては否定的な意見もあります。

2017年12月7日木曜日

骨粗鬆症の薬でカルシウムが減るの?


骨粗鬆症の薬の副作用に『低カルシウム血症』があります。
骨を強くする薬なのになんでカルシウムが低くなるのか?と疑問に思われるかもしれません。

骨粗鬆症は骨がスカスカになって骨折しやすくなる病気です。

骨は絶えず古い骨から新しい骨に生まれ変わる新陳代謝をして、コツコツ作り変えられています。
新しい骨を作る細胞を骨芽細胞、古い骨を壊す細胞を破骨細胞といいます。
骨芽細胞は食べ物などから吸収されたカルシウムをもとに骨を作ります。
破骨細胞は古い骨を壊してカルシウムを血液中に供給しています。




骨粗鬆症の骨では骨を壊す破骨細胞が、骨を作る骨芽細胞より一生懸命働いてしまっているため、骨が壊されすぎている状態なのです。

骨粗鬆症の治療薬の多くはこの破骨細胞の働き過ぎを抑え、骨が壊されるのを防いでいます。

通常、血液中のカルシウムの量は減れば骨を壊して補っており、常に一定になるようにコントロールされています。
骨粗鬆症の薬を飲んでいると破骨細胞が働きにくい状態なので、骨からカルシウムを補いにくくなっています。
そのため『低カルシウム血症』になってしまう可能性があるのです。


骨粗鬆症の薬を飲む場合、低カルシウム血症を予防するために血液中のカルシウムを増やす働きのあるビタミンDを薬で補ったり、カルシウムの薬(デノタスチュアブル錠)などを処方されたりすることがあります。


低カルシウム血症の症状は以下のとおりです。
骨粗鬆症の薬を飲んでいる方でこれらの症状やいつもと違う症状を感じたときは薬剤師や医師にご相談ください。

  • 手足のふるえ
  • 筋肉の脱力感
  • けいれん
  • しびれ


2017年11月22日水曜日

サーカネッテン配合錠の販売中止と代替品


サーカネッテン配合錠が販売中止となるようです。

サーカネッテン配合錠 販売中止のご案内(日本新薬)
http://www.nippon-shinyaku.co.jp/official/medicine/news/20171120_sales_stop.pdf

経過措置期間2018年3月末日(見込)

サーカネッテン配合錠は飲む痔の薬です。
黒光りした錠剤が特徴的でした。

痔核の症状(出血、疼痛、腫れ、かゆみ)を和らげる成分のパラフレボンに便通をよくするための三種類の下剤(センナ末、イオウ、酒石酸水素カリウム)を少量ずつ配合した薬剤です。

1965年から50年以上日本人のお尻を守ってきました。

基本的に痔疾患の治療は坐剤や軟膏による局所療法であり、薬を減らそうという世の流れの中、内服の痔疾患治療薬は市場が縮小していくと考え販売中止の選択をとったのかもしれません。

NDBオープンデータ(平成27年度)では内服の痔疾用剤では第2位の使用量でした。
年間2千万錠近く処方されていた薬です。影響は小さくなさそうです。
ちなみに1位はヘモナーゼ配合錠でした。


サーカネッテン配合錠の代替品


サーカネッテン配合錠と同一の成分を配合した薬剤はありません。
つまり、サーカネッテンの特徴の、1錠で痔の炎症も抑えかつ便を柔らかくすることを期待できる薬は残念ながらなくなってしまいました。

サーカネッテン配合錠の代わりとなる肛門周囲の血流循環を改善し痔を小さくしたり炎症を抑えたりする飲み薬は以下のとおりです。

ヘモナーゼ配合錠
ブロメライン
トコフェロール酢酸エステル

ワルファリンなどの抗凝固剤の作用を増強することがあるためそれらと併用する際は注意が必要です。

タカベンス錠25mg
メリロートエキス
有効成分メリロートエキスは、マメ科の植物メリロート草の花、葉から抽出したエキスで毛細血管透過性亢進抑制作用、抗炎症作用があります。

ヘモクロンカプセル200mg
トリベノシド
循環障害改善作用、抗浮腫作用がります。
ワルファリン(クマリン系抗凝固剤)の作用を増強することがあるので注意が必要です。

ヘモリンガル舌下錠0.18mg
静脈血管叢エキス
有効成分は雑食動物の静脈叢を加水分解して得た乾燥エキスで、主成分はポリペプチド。
しかも舌下錠です。有効成分は口腔粘膜より吸収され、肝臓で代謝を受けずに直接痔疾患部へ到達するようです。

静脈血管叢エキスを成分とする一般用医薬品には
小林製薬の『ヘモリンド舌下錠』があります。


2017年11月7日火曜日

ケナログ口腔用軟膏 0.1%販売中止と代替品


ケナログ口腔用軟膏 0.1%が販売中止となるようです。

ケナログ口腔用軟膏 0.1% ケナログ A 口腔用軟膏 販売中止のご案内(ブリストル・マイヤーズ)
http://file.bmshealthcare.jp/bmshealthcare/pdf/info/News_KL1710.pdf

販売中止予定時期
2018 年 6 月
経過措置期間満了日(予定)
2019 年 3 月末日



ケナログ口腔用軟膏 0.1%はトリアムシノロンアセトニドを有効成分とする口内炎治療薬です。
トリアムシノロンアセトニドはプレドニゾロンの誘導体の一つで、9α位にフッ素、16α位に水酸基が置換された合成副腎皮質ホルモンです。
ケナログ口腔用軟膏とし1965年に輸入承認を得て翌年から発売開始されました。

ゼラチン、プルラン、カルメロースナトリウム、ゲル化炭化水素(ポリエチレン , 流動パラフィン)を混合した基剤を使用し、歯肉、口腔粘膜など湿潤創傷面を保護し、湿潤した粘膜面への優れた接着性を特徴としています。


2009年には一般用の「ケナログ A 口腔用軟膏」をスイッチOTCとして発売していました。

この度、医療用、一般用共に販売中止となりました。


ケナログ口腔用軟膏の代替品


同一成分では

  • オルテクサー口腔用軟膏0.1%

があります。

ステロイドの口腔用軟膏にはデキサメタゾン軟膏の

  • デキサルチン口腔用軟膏1mg/g
  • アフタゾロン口腔用軟膏0.1%
  • デルゾン口腔用軟膏0.1%

があります。


一般用医薬品で口内炎を効能効果とする
トリアムシノロンアセトニド製剤は以下のとおりです。

  • アフタガード
  • オノフェ口内炎軟膏
  • オルテクサー口腔用軟膏
  • オロファニック口腔用軟膏
  • クリアガード口腔用軟膏  
  • 口内炎軟膏大正クイックケア
  • トラフル軟膏PROクイック
  • ラウマー口内炎軟膏

厚労省「オンジ製剤は認知症の治療または予防に効果なし」



2017年10月31日厚生労働省はオンジ製剤について「認知症の予防や治療に対する効果は認められていない」と通知を出し注意喚起しました。

オンジ製剤には以下のような商品があります。

  • キオグッド(ロート製薬/森下仁丹)
  • 「クラシエ」オンジエキス顆粒(クラシエ)
  • ワスノン(小林製薬)
  • アレデル(クラシエ薬品)
  • キノウケア(日本薬師堂)
  • メモリーケア(大正製薬)


オンジ製剤の不適切広告事例の注意喚起


また、通知の中で、オンジ製剤の不適切広告事例について「厳に慎むこと」と注意喚起しています。

オンジ製剤「中年期以降の物忘れの改善」という効能効果は、これまでOTC漢方薬(イスクラ心脾顆粒、ウチダの帰脾湯)で認めてきた「健忘」と変わるものではなないということが明記されています。


以下の表現は効能・効果の範囲を超えると暗示させるため使用できません。

  • 「脳機能の活性化」
  • 「脳神経細胞の増加や再生」
  • 「脳全体が活性化する」
  • 「すでに忘れてしまった記憶をよみがえらせる」


インターネットや店頭POPなどで、このような表現を使用することは
医薬品医療機器等法第66条に抵触する恐れがありますので注意しましょう。

さらに
認知症の治療または予防に用いる医薬品ではない旨の記載の付記または標榜を必ず行うこと
と通知には明記されています。


【参考】
「一般用医薬品及び指定医薬部外品の広告基準等の見直し」について(平成29年6月22日
厚生労働省)
http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/meeting/wg/iryou/20170622/170622iryou05.pdf


2017年11月2日木曜日

フェナゾックスカプセル 50mg販売中止と代替品


フェナゾックスカプセル 50mgが販売中止となるようです。

フェナゾックスⓇカプセル 50mg製造販売中止のご案内
http://www.meiji-seika-pharma.co.jp/medical/news/pdf/fenazox_20171002.pdf

最終出荷予定は2018 年 8 月頃です。

フェナゾックスカプセルはフェニル酢酸系NSAIDsのアンフェナクナトリウムを成分とする消炎鎮痛剤です。

アンフェナクナトリウムは米国 A.H.Robins 社によって創生されました。
明治製菓株式会社(現 Meiji Seika ファルマ株式会社)が国内における開発権を取得し1985年8月フェナゾックスカプセルとして販売を開始しました。

フェナゾックスカプセルはジクロフェナクナトリウム、インドメタシンに比べ、消化管障害作用は比較的弱いことが売りでした。
また最高血中濃度到達時間は30分でありジクロフェナクナトリウムの120分と比べ吸収が速く連続投与でも蓄積性のないことが特徴でした。

薬理試験ではアンフェナクナトリウムはジクロフェナクナトリウムよりも強い鎮痛効果を有することが認められていましたが、臨床ではジクロフェナクと同程度の効果という実感でした。

薬価もジクロフェナクやインドメタシンより高く、メーカも販売に力入れていないようで、あまり使用されていませんでした。


ちなみに、アンフェナクといえば誘導体のネパフェナクが点眼薬として使用されています。


フェナゾックスカプセルの代替品


同じフェニル酢酸系NSAIDsのジクロフェナク代替となります。

同効薬としてインドメタシン、ロキソプロフェンナトリウムやナプロキセンがあります。

2017年11月1日水曜日

トクレス スパンスルーカプセル販売中止と代替品



トクレス スパンスルーカプセルが販売中止となるようです。

トクレス®スパンスールカプセル30mg  販売中止予定のご案内(大日本住友製薬)
https://ds-pharma.jp/product/kaitei/pdf/hanbaityuusi/2017/toclase_src_tyushi_201711.pdf

2018年2月頃出荷終了予定とされています。
経過措置期間は不明です(2017年11月時点)。


トクレスは咳反射を抑制することで咳を抑える鎮咳薬として使用されていました。
成分であるペントキシベリンクエン酸塩は 1956 年ベルギーUCB 社で開発された鎮咳剤です。
日本では住友製薬(現 大日本住友製薬)が導入し、1963 年に「トクレス散」を発売しましたが、長時間有効性が持続する製剤の開発が望まれ、1967 年に徐放性製剤「トクレススパンスールカプセル」を発売しました。

発売50年の節目に、販売中止となりました。

トクレススパンスールカプセルは
緑のクリアカプセルと中身のツブツブが、ポップでキュートな感じが特徴です。
ツブツブが徐放性の正体なのですが、この徐放システムを『スパンスル』といいます。

スパンスルはコーティング層の厚さを変えて放出時間に差をもたせた顆粒が充填されたカプセル剤のことをいいます。

インテバンSPやヒポカカプセルもスパンスル型です。

特徴のある薬がなくなるのは寂しいですね。


トクレス スパンスルーカプセルの代替品


トクレスと全く同じ効能の鎮咳薬はありませんが、メーカーはアスベリンとメジコンを代替品として案内しています。

ちなみに第二回NDBオープンデータによると日本で一番処方されている鎮咳薬は『メジコン15mg』でした。



カンジダ膣炎の治療に使う膣錠には何があるの?使い方は?

アデスタン膣錠 供給遅延(2018年10月)
https://pharma-navi.bayer.jp/omr/online/notice_info/ADG_PNS_201810020_1538024103.pdf
エンペシド腟錠が一時供給停止となったようです。(2017年11月)
http://pharma-navi.bayer.jp/omr/online/notice_info/EMP100mg_171018_1508466692.pdf


カンジダ腟炎は
カンジダという真菌(カビ)の仲間によっておきる腟炎のことです。
カンジダ自体は消化管や皮膚などにいつもいる菌なので、カンジダがいただけではカンジダ症とは診断できません。症状があってはじめてカンジダ症ということができます。

症状はカッテージチーズのような下り物や酒粕のような下り物がみられ、強いかゆみがあることです。人によっては痛痒いこともあります。


カンジダ膣炎の治療では抗真菌薬の腟錠を使用します。



1日に1錠挿入し6日間続ける腟錠と、
1週間に1錠挿入するタイプがあります。
1週間後効果の確認を行い症状が軽快していない場合にさらに追加できます。

基本的には1日1回タイプを使用しますが、通院困難な場合には週1回投与のものを使います。治療効果は1日1回タイプのほうが優れているとされています。

膣内にうまく挿入できないと途中で落下してしまうケースも有り、週1回投与の場合には十分な効果が発揮できないこともあります。


膣剤の正しい投与の方法


手をきれいに洗い、しゃがんで腟錠を指先で、膣のできるだけ奥の方に挿入します。
陰部も清潔で手もキレイになっている入浴後に投与するのがおすすめです。



挿入が浅いと落ちてきてしまうことがあるので、指の第二関節くらい挿入しましょう。
からだに力が入っていると挿入しづらくなることがあるのでリラックスした状態で行いましょう。