2024年1月15日月曜日

ベナパスタ軟膏4% 販売中止と代替品

ベナパスタ軟膏4%が販売中止となるようです。詳細は以下のリンクから確認できます。

https://medical.mt-pharma.co.jp/di/file/info/ifn_5507_P20406.pdf

経過措置期間満了日は2024年3月31日
(2024年4月1日以降の投薬分につきましては、保険請求ができなくなります。)

https://medical.mt-pharma.co.jp/di/file/info/ifn_5524_P20423.pdf


ベナパスタ軟膏4%はエタノールアミン系のヒスタミンH1受容体拮抗薬ジフェンヒドラミン製剤の1つで、ジフェンヒドラミンラウリル硫酸塩を成分とする外用抗ヒスタミン剤の半固形パスタ製剤です。蕁麻疹,湿疹,小児ストロフルス、皮膚瘙痒症、虫刺されに塗布します。1950年に発売された歴史のある薬です。70年以上も使われていた薬が販売中止になるのは感慨深いものがあります。


ベナパスタ軟膏4%の代替品

蕁麻疹に対する抗ヒスタミン外用薬は多少痒みを軽減する程度であまり大きな効果は期待できません。(日本皮膚科学会|https://www.dermatol.or.jp/qa/qa9/q13.html
ジフェンヒドラミンは局所麻酔作用もあるとして使用を考慮されることもありますが、接触性皮膚炎などのリスクを鑑みると、ワセリンなどの保湿剤で十分です。

ベナパスタ軟膏4%と同じくヒスタミン(H1)受容体拮抗薬に分類される外用薬として、レスタミンクリーム1%、強力レスタミンコーチゾン軟膏があります。
レスタミンクリーム1%は、1g中ジフェンヒドラミン10mgを含有しています。効能・効果はベナパスタ軟膏4%と同じです。
強力レスタミンコーチゾン軟膏は、成分・含量として、1g中にヒドロコルチゾン酢酸エステル10mg、フラジオマイシン硫酸塩3.5mg(力価)、ジフェンヒドラミン塩酸塩1mgを含有し、効能・効果として蕁麻疹は含まれていないので注意が必要です。



2024年1月9日火曜日

貼り薬を貼ったままお風呂にはいってもいいですか?(2024年1月更新)

(2024年1月更新)
貼り薬、いわゆる経皮吸収型製剤は薬剤を展延したテープを皮膚に貼ることで、皮下の血管から血液に取り込まれせ皮膚やその近くの組織ではなく全身への作用を期待する薬剤です。

経皮吸収型製剤は、経口剤とは違い、

  1. 薬物成分は皮膚からゆっくり吸収されて持続的に効果を発揮する
  2. 薬物のバイオアベイラビリティ(生物学的利用率)が高められる
  3. 安定的な有効血中濃度領域を長時間維持できる
  4. 効果の変動が起きにくく副作用の軽減が期待できる
  5. 注射剤のような専門的手技を必要としないので使用が簡便
  6. 目で見て服薬を確認できる

などといった様々な利点があります。

そのため現在では、心臓病用薬・喘息用薬などを中心に、高血圧用、ホルモン補充用、泌尿生殖器用、中枢神経用、癌性疼痛用、禁煙補助薬など幅広い領域で活躍しており40品目近く存在しています。

そんな経皮吸収型製剤で多く寄せられる質問がこれです。
「貼ったままお風呂にはいっていいですか?」

使用方法に関しては医薬品毎に異なります。

そこで代表的な製剤についてまとめてみました。


  • ノルスパンテープ
  • ニュープロパッチ
  • イクセロンパッチ
  • リバスタッチパッチ
  • ビソノテープ
  • フランドルテープ
  • ニトロダームTTS
  • バソレーターテープ
  • ミニトロテープ
  • メディトランステープ
  • ミリステープ
  • ホクナリンテープ
  • エストラーナテープ
  • メノエイドコンビパッチ
  • ネオキシテープ
  • ニコチネルTTS
  • デュロテップパッチ
  • フェントステープ
  • ハルロピテープ
  • ロナセンテープ
  • アレサガテープ
  • ジクトルテープ
  • アリドネパッチ


ノルスパンテープ

https://norspantape.jp/pdf/tp.pdf

熱いお湯で入浴することあるいは長時間入浴することは控えてください。
テープを貼ったまま、シャワーを浴びる、入浴する、泳ぐことが可能ですが、熱い温度あるいは長時間の入浴により、体の中に吸収されるお薬の量が過剰になる可能性があります。

ニュープロパッチ

http://www.otsuka-elibrary.jp/library/support/dlc/124/download?t=1464838270

パッチを貼ったままでもシャワーやお風呂に入れますが、水泳などはパッチがはがれやすくなることがあります。
お薬を貼った場所が、過度の直射日光、アンカ、カイロ、湯たんぽ、サウナなどで熱くならないようにしてください。

イクセロンパッチ

https://drs-net.novartis.co.jp/dr/products/product/exelon_patch/faq/06/

貼ったまま入浴やプールの利用は可能です。ただし、発汗や皮膚のふやけによるはがれなど、湯温や入浴時間などに配慮する必要があります。また、普段の貼り替え時期を入浴前後のタイミングにする方法もあります。

リバスタッチパッチ

http://www.kwn-di.com/ono_pharmaceutical/html/info.html?medicine_cd=23&seq=1713&dt=product_files/23/qa/html/RVT_FAQ8.htm

入浴、プールの入水は可能です。ただし、発汗や皮膚のふやけによるはがれなど、湯温や入浴時間に配慮する必要があります。また、普段の貼り替え時期を入浴前後のタイミング(例:入浴前にパッチを剥がし、入浴後に皮膚を十分に乾かしてから以前に貼っていた箇所とは違う箇所に新しいパッチを貼付する)にする方法もあります。

ビソノテープ

http://med.toaeiyo.co.jp/contents/btp-faq/btp-qa08/index.html

貼付したままで入浴可能です。
入浴中に貼付部位をタオル等でこすったりすると、はがれやすくなりますのでご注意ください。また、はがれそうになった場合には絆創膏等で固定してください。ビソノテープ開発時の臨床試験では貼付したまま入浴可としていましたが、入浴の影響による副作用は認められませんでした。
※皮膚温の上昇による薬物動態への影響は検討しておりません。

フランドルテープ

http://med.toaeiyo.co.jp/contents/ftp-faq/ftp-qa09/index.html

貼ったまま入浴することも可能です。ただし、入浴によって血管拡張作用が増強し、血圧低下作用が強くあらわれる恐れがありますので、一時的な“ふらつき”などにご注意下さい。
また、テープを剥がしても有効成分(硝酸イソソルビド)の血中濃度は比較的緩やかに下降しますので、剥がして入浴することも可能です。
入浴後に汗をよく拭いてから、入浴前に剥がしたテープを貼り直すか、新しいテープに貼りかえて下さい。
公衆浴場などで「心臓病貼り薬」と知られたくない時などは、入浴前に剥がし、入浴後に貼り直すことをおすすめします。
入浴前に剥がしたテープを入浴後に貼り直す場合は、清潔なペットボトルやプラスチック用品などに一時貼っておき、入浴後に粘着面の水分を取り除いて貼ると便利です。


ニトロダームTTS
バソレーターテープ
ミニトロテープ
メディトランステープ
ミリステープ

皮膚障害防止のため剥がして入浴してもよいが、剥がした後1時間で血中から消失するため、長湯はせず入浴後すぐ新品を貼付すること。
貼ったまま入浴することも可能。ただし、入浴によって血管拡張作用が増強し、血圧低下作用が強くあらわれる恐れがあり一時的な“ふらつき”などに注意。

ホクナリンテープ

http://hokunalin.jp/doctor/faq/faq4.html

ホクナリンテープの支持体はポリ工ステルの被膜が張ってあるため水を通さず、薬剤が溶け出すことはないので、入浴時の経皮吸収に影響はないと考えられます。
お風呂に入る前にホクナリンテープの縁が一部めくれている時などは、剥がれる可能性が高くなりますので、入浴後に貼り替えて頂くことをお勧めします。貼ったまま入浴される際は、あらかじめ絆創膏などで補強して頂くことも可能です。

エストラーナテープ

http://www.hisamitsu.co.jp/medical/pdf/iet_001.pdf

入浴時は貼ったままお入りください。
※一度はがすと粘着性が落ちます。
薬を貼ったまま入浴できますが、上から強く洗ったり、こすったりしないでください。
お風呂からあがってすぐは汗などで剥がれやすいので、肌が乾くのを待って貼ってください。

メノエイドコンビパッチ

http://www.aska-pharma.co.jp/iryouiyaku/upload/save_file/pd_usage_menoaid_patch_201508_201508.pdf

お風呂からあがってすぐに貼ると汗などで肌が湿っていてはがれやすくなるので、十分に乾いてから貼ってください。
薬を貼ったままで入浴してください。ただし、薬の上から強く洗ったり、こすったりしないでください。

ネオキシテープ

http://www.hisamitsu.co.jp/medical/pdf/int_002.pdf

貼ったまま入浴すると、はがれてしまうことがありますので、入浴前にはがし、入浴後に新しいお薬を貼ることをおすすめします。

ニコチネルTTS

https://drs-net.novartis.co.jp/siteassets/common/pdf/nic/pi/pi_nic.pdf

貼付部位の皮膚を拭い、清潔にしてから本剤を貼付すること。なお、入浴後に貼付する場合は、水分を十分に取り除き、乾燥させてから貼付すること。

デュロテップパッチ(フェンタニル3日用テープ)


パッチを使用している最中でもぬるめのお風呂(40℃程度)に入ったり、シャワーを浴びることはできます。ただし、汗をかくほどの熱いお風呂に入らないで下さい。また、貼付部位を上腕部あるいは前胸部にするなどして、なるべくパッチを直接湯船につけないように入浴させたり、なるべく貼付部位を避けてシャワーを浴びるよう指導してください。

<添付文書抜粋>
【警告】(抜粋)
本剤貼付部位の温度が上昇するとフェンタニルの吸収量が増加し、過量投与になり、死に至るおそれがある。本剤貼付中は、外部熱源への接触、熱い温度での入浴等を避けること。発熱時には患者の状態を十分に観察し、副作用の発現に注意すること。[「重要な基本的注意」の項参照]
使用上の注意(抜粋)
2.重要な基本的注意(抜粋)
10)本剤貼付中に発熱又は激しい運動により体温が上昇した場合、本剤貼付部位の温度が上昇しフェンタニル吸収量が増加するため、過量投与になり、死に至るおそれがあるので、患者の状態に注意すること。また、本剤貼付後、貼付部位が電気パッド、電気毛布、加温ウォーターベッド、赤外線灯、集中的な日光浴、サウナ、湯たんぽ等の熱源に接しないようにすること。本剤を貼付中に入浴する場合は、熱い温度での入浴は避けさせるようにすること。

フェントステープ(フェンタニル1日用テープ)

入浴する場合は長時間あるいは、熱い温度を避けてください
体内に吸収されるくすりの量が増え過ぎることがあります。

<添付文書抜粋>
【警告】(抜粋)
本剤貼付部位の温度が上昇するとフェンタニルの吸収量が増加し、過量投与になり、死に至るおそれがある。本剤貼付中は、外部熱源への接触、熱い温度での入浴等を避けること。発熱時には患者の状態を十分に観察し、副作用の発現に注意すること

ハルロピテープ

https://medical.kyowakirin.co.jp/site/drugpdf/toriatsukai/hrp_tori.pdf

本剤は 1 日毎に貼り替えるため、貼付開始時刻の設定にあたっては入浴等の時間を考慮することが望ましい。 ※臨床試験時には入浴時刻を入りかえのタイミングとしていました。
お薬を貼った場所が、過度の直射日光、アンカ、カイロ、湯たんぽ、サウナなどで熱くならないようにしてください。

ロナセンテープ

https://ds-pharma.jp/medical_content/instruction/mi/pdf/LOT-008-1-shidosen.pdf

1日の中で、毎日貼りかえやすい時間を決めてください。 
例:入浴前にはがし入浴後に貼る、朝起きて着がえる時に貼りかえる、など

アレサガテープ

https://www.hisamitsu.co.jp/medical/pdf/iat_001.pdf

本剤は1日毎に貼り替えるため、貼付開始時刻の設定にあたっては入浴等の時間を考慮することが望ましい。 
このお薬は一度はがしたら、再び貼り直すことはできません。
このお薬は1日1回、例えば入浴後の汗が引いた後などに時間帯を決めて貼り替えて下さい。

 

ジクトルテープ

https://www.hisamitsu-pharm.jp/medicalsupport/guidance/zicthoru/sizai01.pdf

本剤は1日毎に貼り替えるため、貼付開始時刻の設定にあたっては入浴等の時間を考慮することが望ましい。 (添付文書)
本剤が途中ではがれ落ちた場合は、直ちに新たな本剤を貼付する。また、次の貼り替え予定時間には新たな本剤に貼り替えること。(添付文書) 
治験薬は原則として入浴前に剥離し、入浴後に投与した。また、治験期間を通して可能な限り同じ時間帯に貼り替えを行った。(インタビューフォーム)

 

アリドネパッチ

https://www.hisamitsu-pharm.jp/medicalsupport/guidance/zicthoru/sizai01.pdf

お薬を貼った場所が、過度の直射日光、あんか、サウナなどで熱くならないようにしてください。
貼付部位を外部熱(過度の直射日光、あんか、サウナ等のその他の熱源)に曝露させないこと。貼付部位の温度が上昇すると本剤からのドネペジルの吸収量が増加し、血中濃度が上昇するおそれがある。(添付文書) 
治験薬は原則として入浴前に剥離し、入浴後に投与した。また、治験期間を通して可能な限り同じ時間帯に貼り替えを行った。(インタビューフォーム)

 

2024年度 新規後発医薬品の薬価算定ルール

2023年12月20日に行われた中医協総会において、2024年度の薬価制度改革の骨子が了承されました。新規収載される後発品の薬価に関するルールの変更が予定されています。
(2024年3月上旬に官報告示され、4月1日に改正施行される予定です。)

(2)後発品の新規収載時の価格【基準改正】

○ 後発品(バイオ後続品を除く。)の新規収載時の薬価算定における、同時に収載される内用薬が 10 品目を超える場合に先発品の 0.4 掛けとする規定について、最近の新規後発品の収載時の品目数や収載直後の乖離率の状況を踏まえ、同時に収載される内用薬が7品目を超える場合に先発品の 0.4 掛けとすることとする。

中医協総会2023.12.20
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001180539.pdf#page=8


0.4掛けの基準が10品目から7品目に

れまでの収載基準では、同時に収載される内用薬が10品目以上の場合、後発品の薬価は先発品の薬価の0.4倍となるルールが適用されていました。しかし、これが7品目以上に厳格化されることになります(除くバイオ後続品)。

2023年度、初めて後発品が収載された16成分ありました。この中で10品目以上(0.4掛けルールが適応)だったのはアジルバの1成分のみでした。後発品メーカーが確実に供給できる品目を選んで薬事承認や薬価収載を申請していることが背景にあるようですが、このような品目数減少を見込んでの今回のルール変更だと思われます。

なお、それ以外の品目数の原則「0.5掛け」、「バイオ後続品」、「後発医薬品が既に収載されている場合は既収載品の最低薬価と同額とするルール」に変更はありません。


参考:

中央社会保険医療協議会 薬価専門部会(令和5年11月29日)
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001172361.pdf


2024年1月5日金曜日

医療従事者のための災害対策リンク集(学会等) 2024年1月更新

1. 厚生労働省情報

2. 災害対策マニュアル

3. 感染症関連

  • 日本環境感染学会 - 大規模自然災害の被災地における感染制御マネージメントの手引き。
  • 日本環境感染学会 - 「感染症予防について」 被災地・避難所での感染症予防や復旧復興活動に関する文書を作成。
  • 日本感染症学会 - 東日本大震災後に問題となる感染症に関する情報。

4. その他の情報



2023年12月7日木曜日

「後発医薬品がある先発医薬品」に変わるタイミング  2023年12月収載後発品関連

  2023年12月8日に後発品の薬価収載がありました。


各先発医薬品の後発医薬品の有無に関する情報が更新され、後発医薬品の数量シェア(置換え率)に影響があります。


「後発医薬品がない先発医薬品」が後発品の登場により「後発医薬品がある先発医薬品」に変わるタイミングは、品目によって違ってきます。

(基本的には発売月の翌月1日から)

切り替わるタイミングに関しては、厚生労働省ホームページの「薬価基準収載品目リスト及び後発医薬品に関する情報」5.その他(各先発医薬品の後発医薬品の有無に関する情報)の備考欄に記載されています。

https://www.mhlw.go.jp/topics/2023/04/tp20230401-01.html


2024年1月1日から「後発医薬品がある先発医薬品」に変更

・レブラミドカプセル2.5mg
・レブラミドカプセル5mg


2024年4月1日から「後発医薬品がある先発医薬品」に変更

・トレリーフOD錠25mg
・トレリーフOD錠50mg

・ベプリコール錠50mg
・ベプリコール錠100mg

・オノアクト点滴静注用50mg
・オノアクト点滴静注用150mg

・ジクアス点眼液3%
・ジクアスLX点眼液3%


2023年11月10日金曜日

乳糖水和物の形状と特徴 粉末と結晶のちがい

 散剤を調製するとき、1包あたりの量が少ない場合には、調剤しやすくするためや服用しやすくするために、それ自身薬理作用をもたない散剤(賦形剤)が加えられます。

調剤に使用される賦形剤は通常、乳糖(乳糖水和物)またはデンプン、あるいは乳糖とデンプンの混合物です。

乳糖は使用頻度の高い賦形剤です。

その性状は日本薬局方で「本品は白色の結晶、粉末又は造粒した粉末である。」と定められています。

散剤の形状には粉末、微細粒(VFG:Very Fine Granule)、細粒(FG:Fine Granule)、顆粒(G:Granule)、微結晶(EFC:Extra Fine Crystal)、結晶(CF:Crystal Form)など 粒子径の大きさ(粒度分布)が様々であるため散剤の粒度分布にできるだけ類似した乳糖を1種類または組み合わせて使用します。


乳糖水和物の粉末と結晶のちがい

乳糖では、粒子が粗いほど流動性をもたらし、粒子が細かくなると混和した主薬の分離防止効果をもたらします。
乳糖は各社、異なる形状のものを販売しています。「粉末」「末」「粒状」「結晶」「倍散用結晶」「細粒」様々あります。
大きな違いは、粒度分布です。粉末は小さい粒子が多く、粒状や結晶、細粒は大きい粒子が多くなります。
注意が必要なのは、「粉末」や「結晶」には明確な粒度分布の定義がありません。メーカーごとに「粉末」や「結晶」の粒度分布が異なります。

一般的な形状の特徴

  • 粉末
    ・・・ 飛び散りやすい。粒子が細かく取り扱いが少し大変(付着しやすい、ダマになる)。ロートエキス散のように飛散性と滑沢性のある散剤には適しています。
  • 結晶(大きめ)
    ・・・ 流動性が高い。器具などに付着しない、分包機の清掃用に適しています。
  • 結晶(小さめ)
    ・・・ 調剤しやすい。「結晶」と謳われている乳糖の殆どがコレ。
  • 倍散用結晶
    ・・・中心粒子径150~250μmと75μm以下のダブルピークの粒度分布をもっています。大小の粒子の両方の性質をもっているので、調剤の際に多くの主剤となじみやすく混ざりやすいです。

※日医工の乳糖水和物は2023年12月販売中止予定


2023年11月9日木曜日

タミフルドライシロップ3%が入手困難な場合の 脱力プセル対応について

タミフルドライシロップ3%が入手困難な場合

  • 5歳以上のインフルエンザ患者においては吸入できる吸入薬で対応します。
  • タミフルカプセル75を脱カプセルし、賦形剤を加えるなどの調剤上の工夫をおこなった上でタミフルドライシロップの用法用量したがって投与します。

タミフルカプセルを脱カプセルした場合、オセルタミビルはとても苦いので小さな子供に飲ませるには一工夫必要です。
乳糖や砂糖を加える、あるいはジュースにとかして飲ませるなどの説明を充分に保護者などにする必要があります。
ジュースなどへ用事懸濁させて飲ませることに関しては、オセルタミビルは、薬物の代謝酵素であるチトクロームP450(CYP)で代謝されず、またCYPの活性にも影響を与えないので可能です。
個人的には「おくすり飲めたね」のチョコレート味と混ぜるのが飲みやすかったです。

脱カプセル調整例

タミフルドライシロップ3%は1g中にオセルタミビルとして30mg含有する散剤です。

30mg/gの散剤10gを予製する場合(15kgの幼児[3~4歳]の5日分に相当)
タミフルカプセル75、4カプセルを脱カプセルします。
カプセル中身に全量が10gとなるよう乳糖で賦形します。
この散剤を1gづつ分包します。

インフルエンザ治療における用法用量
オセルタミビルとして以下の1回用量を1日2回、5日間、用時懸濁して経口投与する。
ただし、1回最高用量はオセルタミビルとして75mgとする。

幼小児の場合:2mg/kg
新生児、乳児の場合:3mg/kg



脱カプセルの保険算定について


2009年の新型インフルエンザ流行時にタミフルドライシロップが入手困難だったときには、厚生労働省がタミフルカプセルを脱カプセルしタミフルドライシロップの用法用量に従って投与した場合に限り薬剤料も算定可能という事務連絡を出していました。

また、タミフルカプセル75mgを脱カプセルし、賦形剤を加えて調剤した上で交付した場合、タミフルドライシロップ3%が入手困難な場合であれば、保険薬局は自家製剤加算を算定できるという事務連絡も出されていました。

2023年においてもインフルエンザが流行している状況下で、オセルタミビルリン酸塩の
ドライシロップ製剤の供給が限定されているため、やむを得ず脱カプセルを行い賦形剤を加えるなどの対応をした場合自家製剤加算を算定できる旨の疑義解釈が示されました。このような場合には、レセプトの摘要欄に「オセルタミビルリン酸塩ドライシロップ製剤の不足のため」等のやむを得ない事情を記載することが必要です。




・「疑義解釈資料の送付について(その 60)」厚生労働省保険局医療課事務連絡(2023年11月8日)
https://ajhc.or.jp/siryo/20231108-60.pdf

・「新型インフルエンザに関連する診療報酬の取扱いについて」厚生労働省保険局医療課 事務連絡(2009年5月26日)
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/hourei/2009/05/dl/info0527-01.pdf

・「新型インフルエンザに係るタミフル等に関するQ&Aについて」厚生労働省新型インフルエンザ対策推進本部(2009年11月6日)
https://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/hourei/2009/11/dl/info1106-02.pdf

・「限定出荷に関するご案内 タミフルドライシロップ3%」中外製薬(2023年11月8日)
https://chugai-pharm.jp/content/dam/chugai/product/notice/2023/20231108_01.pdf


・「オセルタミビルリン酸塩ドライシロップの在庫逼迫に伴う協力依頼」厚生労働省医政局医薬産業振興・医療情報企画課 (2023年11月8日)
https://www.mhlw.go.jp/content/001165070.pdf

2023年11月6日月曜日

メンタックス外⽤液1% メンタックススプレー1% 販売中止と代替品

メンタックス外⽤液1%とスプレー1%が販売中止となるようです。

https://www.kaken.co.jp/wp/wp-content/uploads/medical_products3/2022/09/mentax_202310.pdf

抗⽩癬菌剤 ⽇本薬局⽅ ブテナフィン塩酸塩液 メンタックス外⽤液1%につきましては1992 年発売、抗⽩癬菌剤 ⽇本薬局⽅ ブテナフィン塩酸塩スプレー メンタックススプレー1%につきましては、2004 年発売以来皆様のご愛顧をいただいてまいりましたが、この度諸般の事情により在庫終了をもちまして販売を中⽌することにいたしました。

2025年3⽉末薬価基準削除(予定)です。


メンタックスは科研製薬において合成されたベンジルアミン誘導体、ブテナフィン塩酸塩を有効成分とする外用抗真菌剤です。

1990年代、表在性皮膚真菌症の治療薬はビホナゾール、ミコナゾール、クロトリマゾール等のイミダゾール系抗真菌剤が主流でした。この当時、国内外で強い抗菌活性を有するアリルアミン系化合物(テルビナフィン、ナフチフィン)が発売・開発され注目されていました。

ブテナフィン塩酸塩は骨格的にはアリルアミン系に類似した新しい骨格のベンジルアミン系化合物で、強い抗真菌活性を有し、イミダゾール系に代わるものとして開発され、1994年に承認されました。科研製薬からは「メンタックス」、久光製薬からは「ボレー」というブランド名で発売されました。

また、クリーム剤、ゲル剤、軟膏剤、液剤よりも簡単に塗ることができて、手を汚すことがないため使用感がよく、容器を患部に直接付けることがなく衛生的に投与できると考えられるスプレー剤が2008年2月に承認され発売されていました。


メンタックス外⽤液1%の代替品

併売品のボレー外用液が代替品となります。
最小発育阻止濃度の観点で白癬に効果が高いと考えられているのはルリコナゾール、ラノコナゾール、アモロルフィン、テルビナフィン、リラナフタートがあります。
このなかで、液剤が販売されているのは以下のとおりです。

<ルリコナゾール>
・ルリコン液

<ラノコナゾール>
・アスタット液

<テルビナフィン>
・ラミシール液 ほか後発品

<リラナフタート>
・ゼフナート液


メンタックススプレー1%の代替品

スプレー剤は比較的広範囲な部位に対してクリーム剤、ゲル剤、軟膏剤、液剤よりも簡単に塗ることができ、手を汚すことがないため使用感がよく、容器を患部に直接付けることがなく衛生的に投与できると考えられます。治療上のコンプライアンスの向上が期待できる製剤として選択されます。
ただ、スプレー剤(噴霧剤)が設定されている抗真菌薬はケトコナゾール、ブテナフィン塩酸塩の2つしかありません。
※テルビナフィン(ラミシール)のスプレーが存在していましたが2022年に販売中止となっています。

まず代替は併売品のボレースプレー(ブテナフィン塩酸塩)が挙げられます。
ほかは、以下のとおりです。
<ケトコナゾール>
・ケトコナゾール外用ポンプスプレー2%「日本臓器」
・ケトコナゾール外用ポンプスプレー2%「NR」




2023年10月27日金曜日

フェルビナクパップ70mg「タイホウ」 販売中止と代替品

フェルビナクパップ70mg「タイホウ」が販売中止となるようです。

フェルビナクパップ70mg「タイホウ」販売中止のご案内

経過措置期間は未定です。


フェルビナクパップ 70mg「タイホウ」は他のフェルビナク貼付剤の膏体をさらに少なくし貼付時の使用感に優れた薄型タイプのパップ剤として知られていました。フェルビナク貼付剤の中で唯一の温感タイプです。
フェルビナクパップ 70mg「タイホウ」は有効成分であるフェルビナクの放出性、持続的吸収性等に優れた経皮吸収型鎮痛消炎剤として開発され、2005年1月26 日に『フェルナビオン』として承認されました。また、2019年6月17日にフェルビナクパップ70mg「タイホウ」に販売名変更されました。



フェルビナクパップ 70mg「タイホウ」の代替品

フェルビナクパップ 70mg「タイホウ」は香料に、トウガラシエキスを添加剤として採用しています。トウガラシエキスは人によっては温かく感じる場合があり、フェルビナクパップ 70mg「タイホウ」は温感タイプのパップ剤として知られています。(ただ、カイロのように温度が上がるわけではなく、あくまでも温かく感じる気がするだけです)
温感成分としてトウガラシエキスの他にノニル酸ワニリルアミドが添加されている製剤も存在します。

代替品として、他の温感タイプの消炎鎮痛貼付剤をまとめてみました。

【パップ】
インドメタシン
・ラクティオンパップ

サリチル酸メチル/dl-カンフル/トウガラシエキス
・MS温シップ「タイホウ」
・MS温シップ「タカミツ」
・ラクール温シップ

【テープ】
ケトプロフェン
・ケトプロフェン「ラクール」

ロキソプロフェン
・ロキソプロフェンナトリウム「タイホウ」
・ロキソプロフェンNa「三友」

フルルビプロフェン
・フルルバンパップ(販売中止:2023年)



フルルバンパップ 40mg 販売中止と代替品

フルルバンパップ40mgが販売中止となるようです。

販売中止のお知らせ(科研製薬)
https://www.kaken.co.jp/wp/wp-content/uploads/medical_products3/2022/03/fulruban_202310.pdf

経過措置期間は2025年3月末満了(予定)です。

販売中止の理由は諸般の事情です。


フルルバンパップの有効成分フルルビプロフェンは、強力なプロスタグランジン生合成阻害作用を有する非ステロイド性鎮痛・消炎剤です。経口剤として各種炎症性疼痛疾患に幅広く使用されています。その有効性および安全性は高く評価されています。
貼付剤については、炎症局所への直接効果、非ステロイド性鎮痛・消炎剤特有の副作用の軽減化、さらに投薬管理の簡便化が検討され、臨床的にも有用性の高いことが認められています。

フルルビプロフェン 40mg 含有パップ剤アドフィードパップが1988年に承認・発売されました。フルルバンパップはその後、アドフィードパップと同様にフルルビプロフェン40mgを含有し、同一の効能効果を有するパップ剤として1992年に大協薬品工業が製造承認を取得し発売しました。
その後、途中から基材にノニル酸ワリニルアミドというカプサイシンに近いものを添加してフルルビプロフェンのパップ剤を売る三笠製薬、科研製薬、大正製薬の三社から再度発売されました。そして、大正製薬は2018年に三笠製薬は2019年に販売中止しました。


フルルバンパップ 40mgの代替品

フルルバンパップは安定性の向上を目的として、ノニル酸ワニリルアミドを添加剤として採用しています。ノニル酸ワニリルアミドは人によっては温かく感じる場合があり、フルルバンパップは温感タイプのパップ剤として知られています。(ただ、カイロのように温度が上がるわけではなく、あくまでも温かく感じる気がするだけです)
温感成分としてノニル酸ワニリルアミドの他にトウガラシエキスが添加されている製剤も存在します。

代替品として、他の温感タイプの消炎鎮痛貼付剤をまとめてみました。

【パップ】
インドメタシン
・ラクティオンパップ

サリチル酸メチル/dl-カンフル/トウガラシエキス
・MS温シップ「タイホウ」
・MS温シップ「タカミツ」
・ラクール温シップ

【テープ】
ケトプロフェン
・ケトプロフェン「ラクール」

ロキソプロフェン
・ロキソプロフェンナトリウム「タイホウ」
・ロキソプロフェンNa「三友」

フェルビナク
・フェルビナク「タイホウ」 (販売中止:2023年)



2023年10月26日木曜日

2024年3月末経過措置(予定) 消化酵素配合剤

消化酵素配合剤の多くが販売中止となり、2024年3月末に経過措置(予定)満了を迎えます。

少し、整理してみました。

販売中止の発表がなされ2024年3月末に経過措置期間満了となる消化酵素配合剤は以下のとおりです。

新薬の登場による消化器疾患の薬物治療の進展に伴い、消化酵素製剤としての本製品の臨床上の位置付けが変化し、販売数量は近年減少の一途を辿っております。また度重なる薬価改定により日本薬局方収載品の最低薬価(10.10円)をも下回る薬価(5.70円)まで下落し僅少な売上規模となっております。このような状況下では、品質確保のための老朽化した施設への設備投資、或いは新たな原薬+調達先・製造委託先の探索といった安定供給に向けた取り組みを行うことが非常に難しくなっております。今般あらゆる改善策を模索した結果、販売継続が困難と判断し、厚生労働省や関係学+術団体にご相談の上、本製品の販売を中止させていただくことになりました。

 

総合消化酵素製剤 ボルトミー配合錠につきまして、2021年12月に一時出荷停止の案内をさせていただいておりましたが、諸般の事情により販売を中止させて頂くことになりました。

 

諸般の事情により、甚だ勝手ではございますが、販売中止させて頂くことになりました。

成分の1つである医療用セルロシンA.P.の製造販売の終了に伴い、製造販売の継続が困難となって参りました。既に販売終了予定のご案内を実施いたしましたが、諸々の手続きが完了いたしましたので、在庫が無くなり次第販売を終了いたします。

残された消化酵素配合剤

販売を継続している消化酵素配合剤は4種類です。
  • ケイラーゼSA配合顆粒 
  • フェンラーゼ配合カプセル 
  • ベリチーム配合顆粒 
  • マックターゼ配合錠 


医療用消化酵素製剤の特徴やそれに応じた使い分けについてはこちらのレヴューがよくまとまっています。

2023年10月25日水曜日

ジフルカン静注液 販売中止と代替品

 

ジフルカン静注液が販売中止となるようです。

https://www.pfizermedicalinformation.jp/ja-jp/system/files/attachments/dsy27n001b.pdf?pmidf

販売中止時期は2024年7月を予定されています。


ジフルカンの成分であるフルコナゾールは、1978年にファイザー社(英国、サンドイッチ研究所)で開発されたトリアゾール系の抗真菌剤です。日本では、1989年3月カプセル剤と注射剤が承認されています。 

ジフルカンは、カンジダ属及びクリプトコッカス属に抗真菌活性を示し、これらによる真菌血症、呼吸器真菌症、消化管真菌症、尿路真菌症及び真菌髄膜炎に対し使用されます。また、2010年12月に日本小児血液学会・日本小児がん学会から開発要請がなされ、2011年11月には「造血幹細胞移植患者における深在性真菌症の予防」の適応拡大され使用されています。


ジフルカンの代替品

ジフルカン静注液のプロドラッグであるプロジフ(ホスフルコナゾール)が候補となります。プロジフは生体内で速やかにフルコナゾールに加水分解されます。フルコナゾールと比べ溶解性が高まったことにより、液量負担が軽減されています。また、負荷投与法を採用することによって、血中フルコナゾール濃度を投与3日目より定常状態として維持することが可能となっています。
しかし、「小児用法・用量」および「造血幹細胞移植患者における深在性真菌症の予防」の適応はありません。

小児適応をもつ抗真菌薬はミカファンギン、リポソーマルアムホテリシン B(L-AMB)、フルコナゾール、ボリコナゾール、カスポファンギンがあり、感受性や忍容性を考慮し選択されます。

造血幹細胞移植患者における深在性真菌症の予防適応をもつ薬剤にはボリコナゾール、ポサコナゾールとキャンディン系のミカファンギンがあります。こちらも患者ごとの真菌症リスクと抗真菌薬スペクトラムと忍容性を考慮して選択されます。



デジレル 販売中止と代替品


デジレルが販売中止となるようです。

https://www.pfizermedicalinformation.jp/ja-jp/system/files/attachments/dsy27n001b.pdf?pmidf

販売中止時期は2024年10月を予定されています。



デジレルの成分であるトラゾドン塩酸塩は、1971年にイタリアのアンジェリーニ社で開発されたトリアゾロピリジン誘導体の抗うつ薬です。開発当初は慢性疼痛の治療薬として考えられていましたが、抗うつ効果も見出され、抗うつ薬として使われ始めました。

1982年にはアメリカで、ブリストル・マイヤーズスクイブ社の子会社のメッドジョンソン社からDesyrelの名前で発売されました。

日本では1984年に鐘紡株式会社(現:オルガノン)が開発に着手し、1988年から阪急共栄物産株式会社(後の日本アップジョン)が開発に参加し1991年に共同で発売しました。

鐘紡の販売名がレスリン、日本アップジョンはアメリカのメッドジョンソン社の販売名をそのまま使ってデジレルとして販売しました。

デジレル(Desyrel)の名前の由来は「Depressive Symptom Releiver(うつ症候軽減薬)」の略です。



睡眠薬っぽい抗うつ薬トラゾドン

トラゾドンは5HT2a/c受容体に拮抗する作用と、SERTを阻害する作用を兼ね備えている薬です。

不安に関連するセロトニン5HT2a/c受容体の拮抗とセロトニン再取り込み阻害作用によりセロトニンが効率よく働くことで抗うつ作用を示します。

しかし、アドレナリンα1受容体及びヒスタミンH1受容体遮断作用をもつため眠気の副作用があります。

この強い眠気のため、睡眠薬っぽい抗うつ薬として認知され、それどころか睡眠薬として書籍で紹介されていたりします。

適応用量は75mg~200mgですが、酷い眠気とふらつきのためここまで増量されることはほとんど無く、多くは50mg程度を眠前に服用されています。

25~50mgではセロトニン再取り込み阻害作用はほとんど無く、H1受容体遮断とセロトニン5HT2a/c受容体拮抗作用のみ現れます。

睡眠では5HT2c活性の低下は徐波睡眠を増やして深い眠りを与えると考えられています。

ベンゾジアゼピン系睡眠薬の乱用が叫ばれる昨今、価値のある睡眠薬です。


デジレルの代替品

デジレルには併売品のレスリンがあります。

そのほか、デジレル・レスリンには後発品があります。