2020年3月13日金曜日

2020年度診療報酬改定 婦人科特定疾患治療管理料【特定疾患治療管理料】

2020年度診療報酬改定において、器質性月経困難症を有する患者に対しホルモン剤を投与する場合、婦人科医又は産婦人科医が、治療計画を作成し、継続的な医学管理を行った場合の評価として婦人科特定疾患治療管理料が新設されました。

ホルモン剤を投与されている器質性月経困難症と診断されている患者に、適切な研修を受けた常勤の婦人科の専門医が計画的に患者さん同意を得て、治療計画を作成し病気に関する管理・指導を行い、診療録にその内容を記録として残した場合に算定できます。

治療計画」については患者への交付並びに診療録保管用の診療計画書の1例を日本産科婦人科学会が示しています。
日本産科婦人科学会
ただし、算定するには必要な研修を受けた婦人科の常勤の医師がいることを厚生局へ届け出る必要があります。
しかし、この研修については該当するものが存在しません。日本産科婦人科学会および日本産婦人科医会が、算定要件を満たす適切な研修を制作されるようです。(2020年9月30日までには受講できるようになる予定)
それまでの間は暫定期間として、施設基準の届出用紙に受講予定者を記入したうえで厚生局に届出をし、他の基準を満たしていれば算定可能となります。

疑義解釈資料の送付について(その1)厚生労働省保険局医療課 事務連絡令和2年3月31日
【婦人科特定疾患治療管理料】
問 70 区分番号「B001」の「30」婦人科特定疾患治療管理料の施設基準について、
1 器質性月経困難症の治療に係る適切な研修とは何を指すのか。
2 施設基準通知において、「(1)に掲げる医師は、器質性月経困難症の治療に係る適切な研修を修了していること。ただし、研修を受講していない場合にあっては、令和2年9月30日までに受講予定であれば、差し支えないものとする。」とあるが、受講予定で届出た場合は、令和2年9月30日までに再届出が必要か。

(答)それぞれ以下のとおり。
1 現時点では、以下のいずれかの研修である。
① 日本産科婦人科学会の主催する器質性月経困難症に対する適正なホルモン療法等に係る研修
② 日本産婦人科医会の主催する器質性月経困難症に対する適正なホルモン療法等に係る研修
2 必要。なお、施設基準を満たさなくなった場合は、速やかに届出を取り下げること。


B001 特定疾患治療管理料
30 婦人科特定疾患治療管理料 250点

注1  別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、入院中の患者以外の器質性月経困難症の患者であって、ホルモン剤(器質性月経困難症に対して投与されたものに限る。)を投与している患者に対して、婦人科又は産婦人科を担当する医師が、患者の同意を得て、計画的な医学管理を継続して行い、かつ、療養上必要な指導を行った場合に、3月に1回に限り算定する。

注2  区分番号A000に掲げる初診料を算定する初診の日に行った指導又は当該初診の日の同月内に行った指導の費用は、初診料に含まれるものとする。


女性特有の疾患である「月経障害」「月経困難症」「子宮内膜症」などについて、多くの女性が「症状はあるが、それほど重大な病気ではない」と考え、医療機関受診を先延ばしにしている実態があります。

しかし、こうした受診先延ばしによる病気の放置が「月経困難症」から「子宮内膜症」へ、「子宮内膜症」から「子宮内膜がんなどの続発性疾患」へと症状が進んでいくことも分かっており早期発見・早期治療・重症化予防の重要性が叫ばれています。

こうした状況を踏まえ「月経困難症や子宮内膜症等の継続的・定期的な医学管理を行った場合の評価」として婦人科特定疾患治療管理料が新設されました。


月経困難症には、機能性と器質性があり、機能性は若年者に、器質性は30歳以上に起こりやすく加齢と共に悪化しやすいとされています。器質性月経困難症の原因疾患には、子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣嚢腫、子宮腺筋症などがあります。

参考:
産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2017(公益社団法人 日本産科婦人科学会)
http://www.jsog.or.jp/modules/about/index.php?content_id=16

[留意事項 保医発0305第1号
30 婦人科特定疾患治療管理料
(1) 婦人科又は産婦人科を標榜する保険医療機関において、入院中の患者以外の器質性月経困難症の患者であって、ホルモン剤(器質性月経困難症に対して投与されたものに限る。)を投与しているものに対して、婦人科又は産婦人科を担当する医師が、患者の同意を得て、計画的な医学管理を継続して行い、かつ、療養上必要な指導を行った場合に、3月に1回に限り算定すること。
(2) 治療計画を作成し、患者に説明して同意を得るとともに、毎回の指導内容の要点を診療録に記載すること。なお、治療計画の策定に当たっては、患者の病態、社会的要因、薬物療法の副作用や合併症のリスク等を考慮すること。
(3) 治療に当たっては、関連学会等から示されているガイドラインを踏まえ、薬物療法等の治療方針について適切に検討すること。

[施設基準:告示第59号]
(18)婦人科特定疾患治療管理料の施設基準
イ 婦人科又は産婦人科を標榜する保険医療機関であること。
ロ 当該保険医療機関内に婦人科疾患の診療を行うにつき十分な経験を有する医師が配置されていること。

[施設基準の留意事項 保医発0305第3号]
第4の9 婦人科特定疾患治療管理料
1  婦人科特定疾患治療管理料に関する施設基準
(1) 当該保険医療機関内に婦人科疾患の診療を行うにつき十分な経験を有する常勤の医師が1名以上配置されていること。
(2) (1)に掲げる医師は、器質性月経困難症の治療に係る適切な研修を修了していること。
ただし、研修を受講していない場合にあっては、令和2年9月 30 日までに受講予定であれば、差し支えないものとする。
なお、ここでいう適切な研修とは次のものをいうこと。
ア 国又は医療関係団体等が主催する研修であること。
イ 器質性月経困難症の病態、診断、治療及び予防の内容が含まれるものであること。
ウ 通算して6時間以上のものであること。
2  届出に関する事項
婦人科特定疾患治療管理料の施設基準に係る届出は、様式5の 10 を用いること。
様式5の 10
婦人科特定疾患治療管理料の施設基準に係る届出書添付書類
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000615889.pdf#page=133


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