2023年3月7日火曜日

イソミタール原末 販売中止と代替品

イソミタール原末が販売中止となるようです。
2022年10月供給停止、在庫なくなり次第販売中止。

https://www.jspn.or.jp/uploads/uploads/files/info/20221003.pdf


経過措置期間満了日(予定)

2024 年 3 月 31 日


イソミタール原末の成分であるアモバルビタールは、1923年Shonleらによって合成され、アメリカのLilly社よりAmytal として発売されました。日本では1950 年2月より発売されていました。2023年供給を停止し販売中止となりました。

アモバルビタールはバルビツール酸誘導体のひとつです。服用後約30 分で入眠し、4~6 時間熟眠が得られ、中間型バルビツールに分類されます。短時間型のペントバルビタール(ラボナ)との構造的な違いはメチル基の位置のみです。臨床力価にはほぼ差がないと考えられています。中間型なので短時間型のペントバルビタールよりは耐性はつきにくいと思われますが、常用するとすぐに増量しなければならなるため、頓服的で用いられるのはペントバルビタールと同様です。
アモバルビタールといえば、東大病院が考案したブロモバレリル尿素との混合処方、通称「イソブロ」が有名です。1950年代くらいはよく効くとして全国的に見られた処方のようですが、日中の眠気や依存性の問題が指摘されていました。より安全な薬が登場した昨今では、「イソブロ」処方もバルビツールが大好きな高齢の医者の切り札的処方か、これじゃないと暴れてどうしようもない患者がいるとか、独特な理由の限られたケースでしか拝むことはなくなりました。
(ブロバリンは2023年販売を中止しています|ブロバリン原末 販売中止と代替品


アモバルビタールといえば、カフェインを混合した静注が自白剤として使われていました。自白剤なんて小説の中の話みたいですが、脳全体の機能を抑制して相手の話に何も疑いを感じなくなってしまうそうです。これは海外だけの話ではなく、日本においても「イソミタール・インタビュー」として精神鑑定に使用されていた過去があります。(海外ではamytal interviewといわれる )


 イソミタール原末の代替薬

バルビツール系薬剤を積極的に使用することは考えにくいので、ガイドラインのアルゴリズムに則って個々の患者さんに適した薬剤を考える必要があります。


・不眠症治療薬:
スボレキサント(ベルソムラ錠:MSD㈱)

・催眠鎮静剤:
ゾルピデム酒石酸塩(マイスリー錠:アステラス製薬㈱)
ブロチゾラム(レンドルミン錠:日本ベーリンガーインゲルハイム㈱)

・抗不安剤:
ロラゼパム(ロラゼパム錠「サワイ」:沢井製薬㈱)