2014年5月30日金曜日

おねしょを叱るのは、逆効果



なぜ、おねしょをしてしまうのか

睡眠中は、尿量を少なくする「抗利尿ホルモン」が脳から分泌されます。そのホルモンのおかげで、尿はたくさんはたまりません。また、尿をためておく膀胱は成長とともに大きくなります。しかし、成長には個人差があります。
抗利尿ホルモンを作る力が未熟だったり、膀胱が大きくなっていなかったりするとおねしょが起こります。
原因によって、「抗利尿ホルモンの分泌が少ないタイプ」「膀胱が小さいタイプ」「その両方が見られるタイプ(混合タイプ)」の3つに分けられます。


おねしょは自然に治る

ほとんどのおねしょは、年齢が上がるにつれて自然になくなります。
一般に小学校低学年で10~15%、高学年で約5%の子供におねしょがみられるといわれています。小学生になったのにおねしょが治らないと、焦る必要はありません。しかし、なかには抗利尿ホルモンを作れない病気が隠れていたり、日中も漏らしてしまう場合は、膀胱の働きに問題があるケースもあります。また、小学校では野外活動や修学旅行などお泊り行事などもあるので本人も気にするようになります。6歳を過ぎても続く場合は、一度小児科に相談してみるとよいでしょう。


家庭でできるおねしょ対策

抗利尿ホルモンの分泌には、深く長い睡眠が必要です。夜更かしをせず、規則正しい睡眠を習慣にしましょう。

夕方以降は水分を摂取しすぎないようにします。また、お菓子や塩辛い食事を夜摂ると喉が渇きやすくなるので気をつけましょう。必ず寝る前にはおしっこをする習慣付けを行いましょう。

膀胱はトレーニングで大きくなります。幼児期は、おもらしをしないようにこまめにトイレに行かせがちです。そのため膀胱が十分に大きくなっていないことがあるのです。小学生になると平日の授業中はおしっこを我慢する機会が多くなりますが、休日にも日中は我慢する練習をさせるのもよいでしょう。トイレに行きたくなった時に、「もうちょっと我慢できる?」と軽く促してみましょう。

身体が冷えると尿量が増えます。冬は寝る前に入浴したり、寝具を温めたりして体が冷えないようにしましょう。暑い夏でも、エアコンをガンガンきかせた部屋では寝かさないようにしましょう。

成功回数が多くなれば、子供も親も自信がついてきます。弧度には決してプレッシャーをかけないように!


おねしょの治療

病院で何らかの治療が必要と判断される場合、まず規則正しい睡眠習慣、適切な水分摂取、膀胱トレーニングなどの生活指導が行われます。その効果を見ながら、必要に応じて薬による治療が検討されます。タイプに合わせて、抗利尿ホルモン剤や膀胱の働きを整える抗コリン剤などが使われます。正しく使えば大きな副作用のないお薬です。


おねしょが再発したら

時々おねしょがみられる程度であれば気にする必要はありません。もし、再び習慣的におねしょをするようになってしまった場合は、病気の可能性を疑い医師に相談しましょう。


おむつを使うとおねしょが長引くのはウソ

おむつを使うことでおねしょが長引くことはありません。子供が安心して気持よく眠ることが大切です。選択する負担も減り、親の精神衛生上よいことですので子供が嫌がらなければ使ったほうがよいです。


おねしょとの上手なつきあいかた

子供を夜中に起こしてトイレに活かせるのだけは絶対にやってはいけません。睡眠のリズムが崩れて抗利尿ホルモンを作る力の発達が悪くなります。おねしょの改善には逆効果です。
おねしょは生理現象です。叱ったり怒ったりしてもなくなりません。子供の劣等感を強くするだけです。絶対叱らないでください。おねしょは成長と関係しています。生活習慣の改善効果が現れるのは、数ヶ月から数年先のことです。焦りは禁物です。

おねしょとは「起こさず、怒らず、焦らず」付き合っていきましょう。



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