2014年5月14日水曜日

認知症のワクチン


アルツハイマー型認知症に対するアミロイドワクチンの治験が行われていました。残念ながら、副作用としての脳炎が起こったため中止となってしまったそうです。


老人斑アミロイドを除去してもあまり意味はない

アミロイドワクチンを使うことで老人斑は消えるそうですが、臨床的有効性は認められませんでした。アミロイド抗体を用いて脳のアミロイド蓄積を減少させても有効性は認められませんでした。

しかし、一部の抗体では軽症者に限ってみれば若干の有効性が認められ、アミロイドを標的にする妥当性はあると考えられています。


最近の研究では、認知症発症の20年も前から脳にアミロイドが溜まり始め、10年遅れてタウが溜まり始めることがわかっています。
認知症を発症してからアミロイドやタウを除去しても、遅いのではないかと考えられるようになりました。

そこで、認知症の症状が出る前だが、脳にアミロイドの沈着が見られる段階のものを診断し、その時点で治療を開始すれば認知症の発症を遅らすことができるのではないかと考えられます。

欧米では、認知症発症前に対するアミロイド抗体を用いた治験が行われています。2017~2020年ころに結果が出る予定です。これがうまく行けば、50歳代、60歳代で脳の検査を行い、アミロイドが陽性であれば治療を行うという時代が来るかもしれません。認知症を発症していなくても、バイオマーカーで検査し、治療を開始するのです。



Vaccination Therapy for Alzheimer’s disease, updated(第125回日本医学会シンポジウム)


Takeshi Tabira(2009)Vaccination therapy for Alzheimer’s disease;Clin Neurol, 49: 848―850

アルツハイマー病の免疫療法 −最近の話題(老年期認知症研究会誌)