2018年12月12日水曜日

イサロパン外用散 販売中止と代替品

イサロパン外用散が販売中止となるようです。

2018年11月:経過措置期間のお知らせ(あすか製薬)
https://www.aska-pharma.co.jp/iryouiyaku/upload/save_file/info_stop_12products_201811%20_3.pdf 

経過措置満了日:2019 年 3 月 31 日(2019 年 4 月 1 日以降は薬価削除され、保険請求できなくなります。)

第一次世界大戦中、戦傷の治療に蛆がよく用いられてましたが、その有効成分が蛆の分泌物中に含まれるアラントインであることが後の発見で明らかになりました。
皮膚の創傷や潰瘍の治療に対し中世ヨーロッパの農民は民間療法としてヒレハリ草(Symphytumofficinale)の地下茎滲出液を用いていました。このヒレハリ草の有効成分を抽出したものにもアラントインが含まれていることがわかりました。

現在、アラントインは水酸化アルミニウム結合体(アルジオキサ)として消化性潰瘍の治療に用いられ、その効果の優秀性が広く認められています。

イサロパン外用散は、アラントイン化合物の一つ、アルクロキサを主成分として、皮膚創傷部の乾燥化を図るためにパウダー状にした外用製剤として1984年3月から日本では発売されていました。

イサロパンが登場した1980年台の創傷治療の常識は「傷は乾かす」という、今では考えられないものでした。傷を乾かすことは、傷の治りを遅らせることになるというのが一般に知られるようになったのは2000年に入ってからのことです。

傷を乾かして治す時代の薬が使われることが少なくなり、時代に合わないということで販売中止に至ったのだと思われます。


イサロパン外用散の代替品


代替品を使ってまで、傷を乾かす治療を行う必要があるのか考える必要があります。
褥瘡における浸出液コントロールを目的とするのであれば『カデックス軟膏0.9%』や『ユーパスタコーワ軟膏』が候補となります。

また、成分のアルクロキサには、肉芽形成促進、表皮形成促進作用があります。
肉芽形成促進、表皮形成促進作用を目的とするのであれば、同一成分の軟膏である『アルキサ軟膏』が代替として候補となるでしょう。