2017年10月10日火曜日

潰瘍性大腸炎治療剤 レクタブル2mg注腸フォーム


レクタブル2mg注腸フォームは泡状にして直腸・S状結腸患部に注入する薬剤です。

「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議(第3回)」において、「ブデソニドの早期承認を求めるIBD患者会(全国のIBD患者会27団体)」から早期開発要望が出されていたお薬です。

患者さんからの期待度も高い薬剤がようやく日本でも使えるようになります。
収載予定は2017年11月です。
2017年12月7日発売予定


レクタブル2mg注腸フォームの大きな特徴は3つあります。

①泡状であること
②ブデソニドが有効成分
③かさばらない


①泡状であること

泡が直腸~S状結腸までひろがり、とどまることで、漏れにくく、立ったままで投与できるのがレクタブルのメリットです。
既存のステロイド注腸剤(ステロネマ・プレドネマ)は挿入が甘かったりすると投与後に液漏れてしまい、手が汚れるなど手技が難しいということがありました。
また、投与後に薬液が腸壁へ行き渡るようにするため寝転んでうつ伏せや横向きに体位をかえなければならず、外出先での投与がしづらいものでした。

レクタブルは泡状なので液垂れを起こす心配も少なく、立ったままでも投与できるので外出先でも安心して投与できます。
http://www.kissei.co.jp/


②ブデソニドが有効成分

ブデソニドは他のステロイド剤に比べて高い受容体結合親和性をもちますが、速やかに肝臓で代謝されます。実際、ブデソニドのバイオアベイラビリティは約16%と推察され比較的全身への曝露が少ないステロイドだと言われています。
ステロイドによる全身性副作用のリスクが抑えられると考えられています。
経口ブデソニド(ゼンタコートカプセル)はすでに「軽症から中等症の活動期クローン病」の適応で使用されています。
ちなみにブデソニドは喘息治療剤のシムビコートに使われているステロイドです。


③かさばらない

レクタブルは1本で1週間分です。肛門に挿入するアプリケーターを毎回交換します。

既存薬ですと、1ヶ月分の場合、スーパーのビニール袋いっぱいになるほど持って帰ることになります。レクタブルの場合ですと小さな缶を4本なので、かさがかなり減ります。外出時の持ち運びも便利です
(2018年12月までは一度の処方に2本まで)


その他の注意


●容器の中には14回(7日)分よりたくさんのお薬が入っていますが、14回使用したら、薬液が残っていても新しい容器に交換してください。

●廃棄方法|
廃棄する前にまず、トイレや洗面所などにアルミ製容器に残った薬剤をできる限り出し切ってください。出し切る前にアルミ製容器に穴を開けないでください。
その後、地方自治体により定められたアルミ製容器の廃棄ルールに従って捨ててください。

●アルミ製容器は横にせず、立てた状態で保管してください。

●使用前にアルミ製容器を手で温めてください。
冷えていると、薬液の流動性が悪くお薬が出にくい場合や、ポンプを押しにくい場合があります。アルミ製容器を振って、バシャバシャという音がすることを確認してください。音がしない場合、まだ冷えていますので再度手で温めてください。

●患者に本剤を交付する際には、患者用説明文書<レクタブル2mg注腸フォーム14回を使用される方へ>を渡し、使用方法を指導すること。

レクタブル インタビューフォーム

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レクタブル2mg注腸フォーム
[効能又は効果]
潰瘍性大腸炎(重症を除く)
[用法及び用量]
通常、成人には1回あたり1プッシュ(ブデソニドとして2mg)、1日2回直腸内に噴射する。


2017年10月6日金曜日

脂質異常症治療薬 アトーゼット配合錠LD/HD



アトーゼット配合錠は、エゼチミブとアトルバスタチンを有効成分とする配合剤です。
商品名だと『ゼチーア』と『リピトール』の配合剤と考えると分かりやすいと思います。

アトーゼット配合錠LDは
エゼチミブを10mg、アトルバスタチンを10mgを1錠に配合した薬剤です。

アトーゼット配合錠HD
エゼチミブを10mg、アトルバスタチンを20mgを1錠に配合した薬剤です。


エゼチミブとアトルバスタチンをそれぞれ併用して飲まれている患者さんでは 1 日 1 回 2 又は 3 錠を服用する必要があります。
アトーゼット配合錠は 1 日 1 回 1 錠の服用ですむため簡単であり、患者さんの利便性が向上することでアドヒアランスの向上が期待される薬剤です。


日本における動脈硬化性疾患予防ガイドラインでは、高LDLコレステロール血症に対する薬物治療として、スタチンが第一選択薬とされています。そして、スタチンで効果不十分な場合に、エゼチミブを追加することが推奨されています。

2016 ESC/EAS ガイドライン(Atherosclerosis 2016; 253: 281-344)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27594540

2013 ACC/AHA ガイドライン(J Am Coll Cardiol 2014; 63: 2889-934)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24239923

2016 ACC Expertconsensus decision(J Am Coll Cardiol 2016; 68: 92-125)
http://www.onlinejacc.org/content/68/1/92

アメリカやヨーロッパのガイドラインにおいても、
スタチンの大規模試験によるエビデンスが豊富であることから、動脈硬化性疾患に対する薬物治療としては、日本と同様に最初にスタチンを使用することを考慮し、スタチンで効果不十分な場合にエゼチミブを追加することが推奨されています。

エゼチミブとスタチンの併用は、エゼチミブの作用機序である小腸でのコレステロール取込み抑制とスタチンによる肝臓でのコレステロール合成の抑制の異なる2つの作用によって、血中のLDLコレステロールを減少させます。

スタチン単独投与したときの動脈硬化性疾患予防効果は、数多くの無作為化試験が実施されていて、これらの試験のメタ解析から、スタチン投与により予後が改善されることが示されています。
Lancet 2012; 380:581-90
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22607822

では、エゼチミブとスタチンの併用についてエビデンスはどうでしょうか?

家族性高コレステロール血症患者を対象とした ENHANCE試験ではエゼチミブとシンバスタチンの併用投与群とシンバスタチン単独投与群の内膜中膜肥厚の変化について有意差はみられなかったとの報告があります。
N Engl J Med 2008; 358: 1431-43
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa0800742

しかし、急性冠症候群患者を対象とした試験(IMPROVE-IT 試験)においては、エゼチミブとシンバスタチンの配合剤を投与した群がシンバスタチン単剤投与群に比べてイベント発現率を有意に低下することが報告されています。
N Engl J Med 2015;372: 2387-97
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1410489#t=article

経皮的冠動脈インターベンションを施行した冠動脈疾患患者を対象とした試験(PRECISE-IVUS 試験)では、エゼチミブとアトルバスタチンの併用投与はアトルバスタチン単剤投与に比べて LDL-コレステロールを有意に低下させ冠動脈プラークを退縮させることが確認されています。
J Am Coll Cardiol 2015; 66: 495-507
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26227186

またスタチン投与例では、低下したLDL-Cが後に上昇する「エスケープ現象」を示す症例の存在が知られています。
Atherosclerosis. Vol. 224, No. 2, 454-6, October, 2012. 
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22892323

スタチンのエスケープ現象のメカニズムは、明らかになってはいませんがコレステロール合成の抑制に伴い、代償性に小腸からの吸収が亢進することが関与しているのではないかと考えられています。
スタチン効果不十分例では増量するよりエゼチミブと併用するほうが理にかなっているというわけです。


なぜ、この配合用量なのか


日本で使用されているエゼチミブとアトルバスタチン併用用量の組合せの割合は、

高コレステロール血症患者では
10 mg+10 mg が最も高く60.2%、
10 mg+20 mgの組み合わせは18.6%でした。

家族性高コレステロール血症の患者では
10 mg+20 mg の割合が最も高く44.7%、
10 mg+10 mgの組み合わせは25.4%でした。
(メーカー調べ)

アトーゼット配合錠の成分の組み合わせは日本における使用状況を考慮したもののようです。


ゼチーア(エゼチミブ)単剤からの切り替えは原則できません


アトーゼット配合錠は各単剤を併用し、LDLコレステロール値が安定している患者において切替えに用いる薬剤と位置付けられています。
エゼチミブ単独で効果不十分な場合にアトーゼットへの切替えについては慎重に判断する必要があります。
なぜかと言うと、高コレステロール患者に対する薬物療法においては現在、スタチンが第一選択薬として用いられていることから、エゼチミブ単独で投与されている患者は、スタチンの忍容性が低かった、もしくは忍容性が低いような背景を有する患者である可能性が考えられるためです。

エゼチミブ単独投与で効果不十分な場合にアトルバスタチンを追加投与することが適切ではないと考えられるような患者も想定されるため、一概にエゼチミブ単独からの切り替えることは、推奨されないので注意しましょう。



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アトーゼット配合錠LD/HD
[効能又は効果]
高コレステロール血症、
家族性高コレステロール血症
[用法及び用量]
通常、成人には 1 日 1 回 1 錠(エゼチミブ/アトルバスタチンとして 10 mg/10 mg 又は 10 mg/20 mg)を食後に経口投与する。


偽造医薬品の流通防止のための省令改正(2017年10月5日公布)

平成29年1月に発生したC型肝炎治療薬「ハーボニー配合錠」の偽造品流通事案を受け、偽造医薬品の流通防止のために対応を行うべき事項に関して所要の省令改正が2017年10月5日公布されました。

【省令改正の内容(ポイント)】
(1)  薬局開設者等に課される医薬品の譲受・譲渡時の記録事項として相手方の身元確認の方法、ロット番号、使用期限等を追加する。
(2)  同一の薬局開設者等が開設する複数の薬局間における医薬品の譲受・譲渡に係る取引について、業許可を受けた場所ごとに、取引に係る記録(品名、数量、ロット番号、使用期限等)及びその保存を行うことを明確化する。
(3)  製造販売業者により医薬品に施された封を開封して販売・授与する場合(調剤の場合を除く。)について、開封した者(薬局等)を明確にするため、その名称、住所等の表示を新たに求める。
(4)  薬局、店舗販売業者の店舗、卸売販売業者の営業所の構造設備の基準として、貯蔵設備を設ける区域が他の区域から明確に区別されていることを追加する。
(5)  薬局並びに店舗販売業及び卸売販売業の店舗における医薬品等の販売又は授与を行う体制の基準について、医薬品の貯蔵設備を設ける区域へ立ち入ることができる者を特定することを追加する。

【公布日及び施行日】
公布日:平成29年10月5日
施行日:平成30年1月31日。ただし、(1)及び(2)のうちロット番号及び使用期限に関する部分については、平成30年7月31日。

【参考】
■日本薬剤師会ウェブサイト:
薬局間における医療用医薬品の譲受・譲渡に関するガイドライン【概要版】
薬局間における医療用医薬品の譲受・譲渡に関するガイドライン





(1)  薬局開設者等に課される医薬品の譲受・譲渡時の記録事項として相手方の身元確認の方法、ロット番号、使用期限等を追加する。


医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則
(医薬品の購入等に関する記録)
第十四条
薬局開設者は、医薬品を購入し、又は譲り受けたとき及び薬局開設者、医薬品の製造販売業者、製造業者若しくは販売業者又は病院、診療所若しくは飼育動物診療施設(獣医療法(平成四年法律第四十六号)第二条第二項に規定する診療施設をいい、往診のみによつて獣医師に飼育動物の診療業務を行わせる者の住所を含む。以下同じ。)の開設者に販売し、又は授与したときは、次に掲げる事項(第二号及び第三号に掲げる事項にあつては、当該医薬品が医療用医薬品として厚生労働大臣が定める医薬品(以下「医療用医薬品」という。)(体外診断用医薬品を除く。)である場合に限る。)を書面に記載しなければならない。
一 品名
二 一の製造期間内に一連の製造工程により均質性を有するように製造された製品の一群に付される番号(以下「ロツト番号」という。)(ロツトを構成しない医薬品については製造番号)
三 使用の期限
四 数量
五 購入若しくは譲受け又は販売若しくは授与の年月日
六 購入若しくは譲り受けた者又は販売若しくは授与した者(以下「購入者等」という。)の氏名又は名称、住所又は所在地及び電話番号その他の連絡先(次項ただし書の規定により同項に規定する確認を行わないこととされた場合にあつては、氏名又は名称以外の事項は、その記載を省略することができる。)
 前号に掲げる事項の内容を確認するために提示を受けた資料(次項ただし書の規定により同項に規定する確認を行わないこととされた場合を除く。)
 購入者等が自然人であり、かつ、購入者等以外の者が医薬品の取引の任に当たる場合及び購入者等が法人である場合にあつては、医薬品の取引の任に当たる自然人が、購入者等と雇用関係にあること又は購入者等から医薬品の取引に係る指示を受けたことを示す資料

 薬局開設者は、前項の規定に基づき書面に記載するに際し、購入者等から、薬局開設、医薬品の製造販売業、製造業若しくは販売業又は病院、診療所若しくは飼育動物診療施設の開設の許可に係る許可証の写し(以下単に「許可証の写し」という。)その他の資料の提示を受けることで、購入者等の住所又は所在地、電話番号その他の連絡先を確認しなければならない。ただし、購入者等が当該薬局開設者と常時取引関係にある場合は、この限りではない。

 薬局開設者は、薬局医薬品、要指導医薬品又は第一類医薬品(以下この項において「薬局医薬品等」という。)を販売し、又は授与したとき(薬局開設者、医薬品の製造販売業者、製造業者若しくは販売業者又は病院、診療所若しくは飼育動物診療施設の開設者に販売し、又は授与したときを除く。第五項及び第六項並びに第百四十六条第三項、第五項及び第六項において同じ。)は、次に掲げる事項を書面に記載しなければならない。
一~五(略)
4~6(略)


(2)  同一の薬局開設者等が開設する複数の薬局間における医薬品の譲受・譲渡に係る取引について、業許可を受けた場所ごとに、取引に係る記録(品名、数量、ロット番号、使用期限等)及びその保存を行うことを明確化する。


医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則
第二百八十九条(新設)
法の規定により許可を受けて医薬品を業として販売又は授与する者(以下この条において「許可事業者」という。)が、二以上の許可を受けている場合であつて、当該者の保有する医薬品を当該二以上の許可のうちの一の許可に基づき業務を行う場所から他の許可に基づき業務を行う場所へ移転したときは、当該移転前及び移転後の場所において、それぞれ次に掲げる事項(第二号及び第三号に掲げる事項にあつては、該医薬品が医療用医薬品(体外診断用医薬品を除く。)である場合に限る。)を書面に記載なければならない。
 品名
 ロット番号(ロツトを構成しない医薬品については製造番号)
 使用の期限
 数量
 移転先及び移転元の場所並びに移転の年月日


許可事業者は、前項の書面を、法の規定により許可を受けて業務を行う場所ごとに、記載の日から三年間、保存しなければならない


(3)  製造販売業者により医薬品に施された封を開封して販売・授与する場合(調剤の場合を除く。)について、開封した者(薬局等)を明確にするため、その名称、住所等の表示を新たに求める。


医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則
(医薬品の直接の容器等の記載事項)
第二百十条
法第五十条第十五号の厚生労働省令で定める事項は、次のとおりとする。
一~六 (略)
 分割販売される医薬品にあつては、分割販売を行う者の氏名又は名称並びに分割販売を行う薬局、店舗又は営業所の名称及び所在地


(4)  薬局、店舗販売業者の店舗、卸売販売業者の営業所の構造設備の基準として、貯蔵設備を設ける区域が他の区域から明確に区別されていることを追加する。


薬局等構造設備規則
第一条
薬局の構造設備の基準は、次のとおりとする。
一~八(略)
 貯蔵設備を設ける区域が、他の区域から明確に区別されていること。
十~十六(略)


(5)  薬局並びに店舗販売業及び卸売販売業の店舗における医薬品等の販売又は授与を行う体制の基準について、医薬品の貯蔵設備を設ける区域へ立ち入ることができる者を特定することを追加する。

薬局並びに店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令
第一条 
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「法」という。)第五条第二号の規定に基づく厚生労働省令で定める薬局において調剤及び調剤された薬剤又は医薬品の販売又は授与の業務を行う体制の基準は、次に掲げる基準とする。

(略)

前項第十五号から第十七号までに掲げる薬局開設者が講じなければらない措置には、次に掲げる事項を含むものとする。
 医薬品の使用に係る安全な管理(以下「医薬品の安全使用」という。)のための責任者の設置
 従事者から薬局開設者への事故報告の体制の整備
 医薬品の貯蔵設備を設ける区域に立ち入ることができる者の特定
 医薬品の安全使用並びに調剤された薬剤及び医薬品の情報提供のための業務に関する手順書の作成及び当該手順書に基づく業務の実施
 調剤及び医薬品の販売又は授与の業務に係る適正な管理のための業務に関する手順書の作成及び当該手順書に基づく業務の実施
 薬剤師不在時間がある薬局にあつては、薬剤師不在時間における薬局の適正な管理のための業務に関する手順書の作成及び当該手順書に基づく業務の実施
 医薬品の安全使用並びに調剤された薬剤及び医薬品の情報提供及び指導のために必要となる情報の収集その他調剤の業務に係る医療の安全及び適正な管理並びに医薬品の販売又は授与の業務に係る適正な管理の確保を目的とした改善のための方策の実施


2017年10月3日火曜日

アレルギー性疾患治療剤 ルパフィン錠(ルパタジンフマル酸塩)


ルパタジンは、1994年にスペインのウリアッシュ社により創製されたN-アルキルピリジン誘導体で、選択的ヒスタミンH1受容体拮抗作用を有するピペリジニル構造と血小板活性化因子(PAF)の受容体への拮抗作用を有するルチジニル構造を併せ持つ、経口アレルギー性疾患治療薬です。
アレルギー性鼻炎及び蕁麻疹の治療薬として、世界80ヵ国以上で承認されています(2017年6月現在)。

日本では、帝國製薬が2017年9月にルパフィン錠として製造販売承認を取得し、同年12月頃から田辺三菱製薬が販売を行うようです。
田辺三菱としてはタリオン錠の特許切れ対策のような位置づけになっていますね。

ルパフィン錠の作用機序


ルパフィン(RUPAFIN)錠の名前の由来にもなっているように、この薬の特徴は血小板活性化因子(PAF)の受容体への拮抗作用です。


ルパタジンは、ヒスタミンやPAFなどのケミカルメディエーターを抑えることにより、血管拡張や血管透過性の亢進、気管支収縮、知覚神経刺激等の即時型アレルギー症状を抑制するとともに、白血球の遊走活性化も抑えることから、遅延型アレルギー症状の抑制も期待できる薬剤として期待されています。


ルパタジンの活性代謝物にデスロラタジン


ルパタジンは未変化体での排泄はほとんどなく、肝臓においてCYP3A4 により速やかに活性代謝物であるデスロラタジン(商品名:デザレックス)へ代謝されます。活性代謝物のデスロラタジンもルパフィン錠の効果に寄与しているものと考えられています。
ルパタジン自体にも薬効があり、代謝されてもさらに薬効が続くため1日くらい飲み忘れても良さそうな気がしますが、真理は不明です。

活性代謝物が存在するため肝機能によって薬効が左右されそうなのですが、肝機能障害患者を対象とした試験を実施していないそうです。なぜなんでしょう。
有効性の面はさておき、安全性の面では肝機能障害のある人やCYP3A阻害剤との併用には注意が必要です。

さらに、活性代謝物の排泄が腎排泄であることから腎機能低下例に投与する場合も要注意です。


ルパフィン錠の有効性


プラセボと比較した国内臨床試験において、ルパフィン錠10 mgとルパフィン錠20 mg の 1 日 1 回の用法・用量で、アレルギー性鼻炎の鼻症状、眼症状の改善、慢性蕁麻疹及び皮膚疾患に伴うそう痒の各症状の改善が認められています。

既存薬との比較については抗ヒスタミン薬のセチリジンとロラタジンを対照とした海外臨床試験が行われています。
結果は通年性アレルギー性鼻炎患者及び季節性アレルギー性鼻炎患者において、対照群との薬効は非劣性を示しています。


ルパフィン錠の安全性

比較的安全性は高いのですが、

ルパフィン錠は眠気に注意

海外臨床試験の併合解析において、既存の抗ヒスタミン薬と比較して傾眠の発現率が高い傾向が認められています。セチリジンやエバステルと同じくらいのようです。

そのため、ルパフィン服用時の運転や機械操作などは控えるようにしましょう。


若い女性は注意

幼若雌性ラットの動物試験において卵巣重量減少、性周期(発情間期)延長等が認められているそうです。
動物実験の結果であり、人での影響は今のところ確認されていないとは言え、あまり気分のいいものではないですね。
他にもアレルギーの薬はあるので、若い女性にあえて使うことはないと思います。


まとめ


PAF受容体拮抗という興味深い作用はあるものの、臨床での有効性についてロラタジンと非劣性という微妙な薬のルパフィン。さらに、傾眠作用が認められたため添付文書に運転注意の記載がなされ処方しにくい薬になってしまっています。
あえて使い所を考えてみるとすると
PAF拮抗による遅延相反応抑制と眠気を利用した、
鼻詰まりがひどくて眠れない」場合に使用するのがいいかもしれません。


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ルパフィン錠10mg

[効能・効果]
アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒
[用法・用量]
通常、12 歳以上の小児及び成人にはルパタジンとして 1 回 10mg を 1 日 1 回経口投与する。
なお、症状に応じて、ルパタジンとして 1 回 20mg に増量できる。

2017年9月27日水曜日

ベンゾジアゼピン系睡眠薬の離脱方法


ベンゾジアゼピン系睡眠薬の離脱の方法には

①漸減法
②隔日法
③両者の組わせ

の3つがあります。



①漸減法
超短時間作用型や短時間作用型と言った作用時間の短い睡眠薬の場合に用いる方法です。用量を2~4週おきに3/4、1/2、1/4と減量し、減量によって再び不眠が現れたら、その前の用量に戻します。どうしても睡眠薬がやめられない場合は、必要最小量の服薬を続けます。



②隔日法
作用時間の長い睡眠薬の場合に用いる方法です。一定量まで減量できたら睡眠薬を服用しない日を設け、だんだんとその日数を増やして中止に持って行きます。どうしても睡眠薬がやめられない場合には必要最小日数の服用を続けます。



③漸減法と隔日法の組み合わせ
作用時間の長短にかかわらず、用いることが可能な方法です。まずは漸減法で容量を減らしておき、隔日法により中止に持って行きます。


ベンゾジアゼピン系睡眠薬の特徴

ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は常用量で精神依存、身体依存を引き起こす可能性があります。

通常、ベンゾジアゼピン系薬剤を中等量で短期間(1~2週間)使用する場合、耐性、依存、離脱は出現しないといわれていますが、作用時間の短いベンゾジアゼピン系薬剤では、服用した翌日に抗不安効果に対する耐性が生じた例もあり、慎重な投与が必要です。

また、離脱症状には不安、恐怖感、不眠、めまい、頭痛などがあり、短時間作用型では断薬後2~3日、長時間作用型で7日以内に出現します。短時間型では徐々に減量(3~4日ごとに1日量を30~50%)し、場合によっては、いったん作用時間の長い薬剤に置き換えてから減量することもあります。

また長時間型では、1日おきの服用とし、服用間隔を徐々に拡げて中止します。


睡眠薬の服用で大切なこと


睡眠薬の服用で大切なことは、長時間にわたり漫然と服薬しないことです。
睡眠がとれるようになったら、減量を試みることが重要です。
主治医とよく相談し、自分勝手な中断や乱用をしないことが大切です。

2017年9月26日火曜日

ロヒプノール販売中止と代替品


ロヒプノールが販売中止となるようです。
メーカーサイトにはまだ情報はあがっていないようです。

【製造販売中止のご案内】「ロヒプノール錠1、錠2、静注2mg」(エーザイ)
https://medical.eisai.jp/news/products/pdf/KK1361AKI.pdf

販売中止時期は2018年8月を予定。
経過措置期限2019年3月末日を予定しているそうです。

ロッシュの睡眠薬(hypnotics)だからロヒプノール


『ロヒプノール』の成分であるフルニトラゼパムは、ホフマン・ラ・ロッシュ 社で開発された一連のベンゾジアゼピン系化合物のひとつで、ニトラゼパムを1-メチル化し、5位ベンゼン環のオルト位にフッ素基をつけたものです。
ニトラゼパムとフルラゼパムの両方の作用を備え筋弛緩作用と睡眠活性が強力になっています。

日本では 1983 年に承認され、1984 年に発売に至っています。
そのとき、日本国内での開発を日本ロッシュとエーザイが行っていたことから、ロッシュ販売品を『ロヒプノール』、エーザイ販売品を『サイレース』として、同一成分なのに販売メーカーで名称が異なる、現場泣かせのお薬が誕生しました。

ちなにみ
それぞれの薬の名前の由来ですが

  • ロッシュの睡眠薬(hypnotics)でロヒプノール
  • 鎮静(silent)のエース(ace)でサイレース

だそうです。

その後
ロヒプノールを販売していた日本ロッシュは中外製薬と合併し、日本国内では中外製薬が2002年から製造販売を行っていました。

そして
2017年4月中外製薬は、ロヒプノールの製造販売承認をエーザイに承継し販売移管を行いました。
http://medical.eisai.jp/news/products/pdf/KK1328AKI.pdf

これにより、エーザイ1社でロヒプノールとサイレースという名称の異なる同じ成分の薬を販売するという効率の悪い状態になってしまいました。

この非効率を改善するため、サイレースを残しロヒプノールを販売中止にするという措置に至ったのだと考えられます。


ロヒプノールは年間1億錠以上も使用されていた


フルニトラゼパムはベンゾジアゼピン系の中では強力な睡眠薬であり、ベゲタミンよりも人気がありました。マイスリーと肩を並べるほどです。

ロヒプノールとサイレースではどちらが売れているのでしょうか。平成27年度のNDBオープンデータによると、ロヒプノールがよく使用されているようです。(概算:1億1千万錠/年)

これだけ処方されている薬の販売中止となると、様々な影響が予想されるため早めの連絡となったのだと推察されます。

ただ、よく売れているロヒプノールブランドの方を残してほしかった・・・。

ロヒプノールの代替品


ロヒプノールの代替品はサイレース。
成分も添加物も同じです。違うのは包装と刻印だけ。

安心して使用できます。

繰り返しますが、
ロヒプノールサイレースは全く同じものです。




2017年9月12日火曜日

プラルエントを打ち忘れたら


脂質異常症治療薬のプラルエント皮下注ペンが2017年9月から在宅自己注射可能になりました。

プラルエントに関する説明は以前のエントリーから↓
https://yakuza-14.blogspot.jp/2016/07/blog-post_14.html


そこで、プラルエント皮下注ペンを使う患者さん向けに
使い方や想定される疑問点についてまとめてみたいと思います。


プラルエント皮下注ペンを打ち忘れた場合


打ち忘れに気がついたら、すぐに注射をしてください。次の予定日の前日まで投与は可能です。その次の注射からは、当初のスケジュール通りに行ってください。


ペンに気泡がはいっている場合


ペンの中に気泡が入っていることがありますが、プラルントは皮下に注射するため、身体や投与量に影響はありません。


冷蔵庫から取り出して30分以上待つのが面倒


薬液が冷たいと刺激となって痛みを感じたり、注入時間が長くかかる場合があります。冷蔵庫から出して室温に戻す時間である30分というのはあくまで目安です。季節や室温の状況によって時間を調整しても構いません。痛みを我慢できるのであれば待つ必要もありません。


注射が途中で止まったり、ペンを皮膚から離してしまった場合


確認窓が完全に黄色に変わっていれば注入完了しているので問題ありません。黄色に変わっていない場合は注入が完了していない場合があります。再注射はせずに、主治医に相談しましょう。


プラルエント皮下注ペンの注射の方法



①青色のキャップを引き抜きます


②確認窓が見えるようにしてペンをしっかりと握ります


③ペンを皮膚に強く押し当てます


④注入ボタンを親指で押します(注入には5~15秒かかります)
注入ボタンが押せない場合
黄色の安全カバーが押し込めていない可能性があります。黄色の安全カバーがペンの中に入っていくまで、きちんと押し込んでください。 


黄色の安全カバーが押し込めない場合
腹部に注射する場合、皮膚が柔らかすぎて黄色の安全カバーを押し込めない場合などがありますので、皮膚をつまんだり、抑えるなどして注射部位を固定してください。

どうしてもうまく注入ボタンが押せない場合
注射サポートツールが用意してあります。処方元の医療機関に相談すると良いでしょう。


⑤皮膚からペンを離します

皮膚からペンを離す前に、親指を注入ボタンから離しても構いません


2017年9月6日水曜日

アボコート軟膏 販売中止


アボコート軟膏0.1%が販売中止となるようです。

「アボコート®軟膏0.1%」販売中止のご案内(佐藤製薬)
http://medinfo-sato.com/update/pdf/170823_abocoat.pdf
経過措置期間満了日は 2018 年 3 月 31 日を予定


アボコート軟膏0.1%はロコイド軟膏(ヒドロコルチゾン酪酸エステル軟膏)の後発品です。2014年にアボコートクリームが販売を中止しており、3年越しに軟膏も販売中止となりました。

ロコイド軟膏の後発品はアボコートのみで、この販売中止によりロコイドの後発品は存在しなくなります。
※ロコイドが「後発品のない先発品」となるかどうかは現時点では不明です。2018年4月1日になり厚生労働省が公表するまで誰にも分かりません。

アボコートには根強いファンも多く残念です。


アボコートとロコイドのちがい


アボコートはロコイドの後発品なので成分は同じですが、一つ明確に違うものがあります。ファンを引きつけているのもこのちがいがあるからです。

そのちがいとは、基剤です。

外用剤は肌に直接塗る薬です。同じ軟膏でも基剤のちがいによって使用感は異なります。患者さんごとに好まれる使用感があるのです。

アボコートの基剤ゲル化炭化水素(プラスチベース) 
ロコイドの基剤白色ワセリン(サンホワイト)

プラスチベースは、日常生活での温度変化では、「硬さ」がほとんど変化しません。のびがよく、肌に密着する硬さ年中一定に保つことができます。またワセリンよりも洗い流しやすいのも特徴です。


アボコートの代替品


同一成分の薬としてロコイドが候補となります。

ロコイドの基剤の白色ワセリンは『サンホワイト』という高い安全性並びに品質安定性を有する高度精製ワセリンを使用しています。通常のワセリンと比べて夾雑物が少なく高度に精製されているため紫外線を吸収する物質をほとんど含んでいません。刺激が少ないのが特徴です。

ヒドロコルチゾン酪酸エステルはステロイドのランクではマイルドに分類されるため。同一ランクの外用薬も選択肢となります。

2017年9月5日火曜日

オキシコンチンTR錠 粉砕・溶解できないオキシコンチン

乱用防止を目的としたオキシコドン塩酸塩水和物徐放錠「オキシコンチンTR錠」が2017年8月に承認されました。2017年12月発売。
http://www.shionogi.co.jp/company/news/2016/qdv9fu0000012heq-att/161130.pdf

米国ではオピオイド鎮痛薬による誤用・乱用が増加し社会問題となっています。

従来のオキシコンチン錠は徐放性製剤であり、通常服用する場合、成分がゆっくり溶けだし鎮痛効果を半日程度持続させます。

しかし、錠剤をつぶしたり噛んだりすれば、徐々に鎮痛効果を発揮するはずの機能は消え、代わりに陶酔感や多幸感を生み出します。これら精神作用を目的とするオキシコドン中毒者が問題となっています。

破砕などがしづらい製剤工夫がなされ、乱用防止のために改良されたオキシコドン塩酸塩徐放錠がアメリカで2010年8月に発売されました。
日本でも厚生労働省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」に取り上げられ、塩野義製薬が開発を行っており2017年承認されました。


オキシコンチンTR錠の特徴


叩いても、粉砕できない。
錠剤の強度を高くすることで粉末まで砕くことが困難な硬い製剤に設計されています。金属製のハンマーで叩いても、変形はしても砕けません。

水に溶かそうとしても、ゲル化するのみ!
添加物であるポリエチレンオキシドは酸化エチレンの非イオン性ホモポリマーで、溶解するとゲル状になる特徴を有しています。
簡易懸濁はもちろんできません。



ゴーストタブレットが出てこない
従来のオキシコンチン錠では、有効成分放出後の殻錠、いわゆるゴーストタブレットが糞中に排泄されることがありました。オキシコンチンTR錠ではそのゴーストタブレットは出てこないようです。


オキシコンチンTR錠の『TR』の意味


TR=Time Release
という意味だそうです(MR談)

「徐放」ということなのだろうけど、従来のオキシコンチンも徐放錠だったのですが、なぜそんな名前にしたのでしょうか。

オキシコンチンTR錠の一般名処方


【般】オキシコドン徐放錠○mg
です。

【般】オキシコドン徐放カプセル○mg
と、記載されている処方ではオキシコンチンTR錠は調剤できません。
疑義照会により処方変更してもらう必要があります。

いままでのオキシコンチン錠はいつまで流通するの?


オキシコンチン錠は2018年8月で製造を中止するそうです。
卸の在庫状況等に影響されるためいつまで流通されるかは不明。
在庫限りの流通となるため、順次オキシコンチンTR錠への切り替えをすすめています。

オキシコンチン錠からTR錠へ切り替える際の注意点

オキシコンチン錠とTR錠では空腹時における生物学的同等性が確認されています。しかしTR錠は高脂肪食を摂取した後の投与ではオキシコドンの血中濃度上昇が認められているため、オキシコンチン錠からTR錠へ切り替えにおいて、食後投与時には副作用の発現に十分な注意が必要です。

また、オキシコンチン錠の処方箋をTR錠へ疑義照会なしに変更することはできませんので注意しましょう。
薬剤師法第二十三条の2

ペンタジン販売中止と代替品

ペンタジン錠25、ペンタジン注射液15・注射液30が販売中止となるようです。
https://www.medicallibrary-dsc.info/announce/other/pdf-data/2017/1706stop_pent_etc2.pdf

ペンタジンはペンタゾシンを成分とする非麻薬性の中枢性鎮痛剤です。

ペンタゾシンは米国スターリングウインスロップ社(現:SANOFI)で開発されたアゴニスト・アンタゴニスト作用を有するベンゾモルファン系の非麻薬性鎮痛薬です。モルヒネほどの鎮痛作用はありませんが、多幸感などの精神作用も少なく、大量投与で不快感を引き起こすため1966年WHOはこの薬物を麻薬規制外としました。

そのため1967年にペンタゾシンの注射剤は癌性疼痛の鎮痛及び麻酔前投薬、術中の麻酔補助として、米国において発売され、日本では 1970 年に発売され、広く臨床で使用されていくこととなります。

米国スターリングウインスロップ社は塩酸ペンタゾシンを主剤とする経口用製剤ペンタゾシン錠を、1969 年にTalwin錠として発売しました。しかし、この錠剤を水に溶解し、抽出された塩酸ペンタゾシンを注射する形の乱用が問題となりました。その後、米国スターリングウインスロップ社は 1983 年にモルヒネ急性中毒に用いられる麻薬拮抗薬であるナロキソン塩酸塩を添加した錠剤(Talwin Nx)を発売しました。ナロキソン塩酸塩は非経口投与できわめて強いオピオイド拮抗作用を示しますが、経口投与では肝臓で速やかに分解されるため拮抗作用を示しません。つまり、ジャンキー対策がとられた薬剤だといえます。

癌性疼痛の治療には、鎮痛薬を一定の順序で選択していく WHO 方式癌疼痛治療法(三段階式鎮痛薬選択順序)が一般的に推奨されています。
  • 第一段階には非オピオイド鎮痛薬
  • 第二段階には弱オピオイド鎮痛薬
  • 第三段階には強オピオイド鎮痛薬
非オピオイド鎮痛薬としては消炎鎮痛薬などが、強オピオイド鎮痛薬としてはモルヒネが一般的に用いられます。第二段階の弱オピオイド鎮痛薬としては麻薬指定医薬品であるコデインが用いられることが多く、外国ではその代替し得る経口鎮痛薬としてデキストロプロポキシフェンが用いられていました。しかし、日本においては当時(1983年)、適当な経口剤がなく、管理の容易な非麻薬指定のペンタゾシンの錠剤の開発が望まれていました。

そこで日本においてもナロキソン塩酸塩添加塩酸ペンタゾシン錠の開発が企画されるところとなりました。グレラン製薬(現:あすか製薬)、三共(現:第一三共株式会社)、山之内製薬(現:アステラス製薬)及びスターリングウインスロップ社(現:SANOFI)の 4 社による共同開発を実施し、1997年 7 月に製造販売承認を取得しました。
  • ペルタゾン錠(あすか製薬=日本化薬)
  • ペンタゾシン錠(第一三共)
  • ソセゴン錠(丸石:アステラスから販売移管)

1物3名称という珍しい薬剤です。

承認から20年経った今、ペンタゾシンは疼痛治療に対してあまり使われていません。それは、効果があまりにも短すぎるためです。がんの持続痛に対し1日に何度も投与することになり、結果として副作用のリスクが増大します。また肝心の鎮痛作用も弱く過量投与のリスクもはらんでいます。

そういう理由で使用量が減ってきています。

ペンタゾシン錠の代替品


同じ成分である
  • ペルタゾン錠(あすか製薬=日本化薬)
  • ソセゴン錠(丸石:アステラスから販売移管)
が候補となります。

しかし、これら2剤もいつまで供給されるか分かりません。

売上から見ると、ソセゴンのほうがメジャーなので、最後まで残りそうですね。

2017年8月23日水曜日

ナイスタチン錠 50 万単位「明治」販売中止と代替品



ナイスタチン錠 50 万単位「明治」が販売中止となるようです。
http://www.meiji-seika-pharma.co.jp/medical/news/pdf/nystatin_20170801.pdf

ナイスタチンは1950 年にHazen と Brown により発見、発表されたStreptomyces noursei の培養菌体中に生産されるポリエンマクロライド系抗生物質です。酵母及び糸状菌に対してすぐれた抗菌力を示すのですが、細菌には作用せず、ある種の原虫に対して作用するという特徴的な生物活性を持ちます。さらに消化管吸収をされないことから経口投与での毒性も低い点が注目され開発研究がすすめられました。1970 年 11 月に現在の明治製菓ファルマが製造承認を取得し、1972 年 2 月に「ナイスタチン錠明治」として発売されました。

カンジダに対して強力な発育阻止作用を示すポリエンマクロライド系抗生物質であり、消化管カンジダ症に使用されてきました。

がん化学療法施行中の患者等、真菌感染症リスクの高い患者に対して予防的に用いられることがありましたが、フルコナゾールの方が効果が高いことが示されたため、その使用は減ってきました。
Cochrane Database Syst Rev. 2014 Sep 4;(9):CD002033.
Nystatin prophylaxis and treatment in severely immunodepressed patients.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25188770

さらに、同じポリエンマクロライド系抗生物質であるアムホテリシンBのシロップ剤のほうがよく使用されています。

はっきりとした理由はわかりませんが、使用量が減ってきたことも一つの要因となり販売中止するのかもしれません。

しかし、アムホテリシンBのリポソーム製剤があるように、全身投与可能なナイスタチンのリポソーム製剤となり再び我々の前に登場するかもしれません。

ナイスタチン錠 50 万単位「明治」の代替品


上記にも紹介しましたが免疫抑制患者におけるカンジダ感染の予防または治療においてナイスタチンより優れると報告がるのはフルコナゾール(ジフルカンカプセル)です。

また、吸収されず安全性も高い点ではポリエンマクロライド系抗生物質であるアムホテリシンBも候補となります。
ハリゾン錠 100mg
ハリゾンシロップ、ファンギゾンシロップ

その他、類似する適応があるものとして
アンコチル錠
イトリゾールカプセル
があります。



ハルナールとアボルブを併用してもいいですか?


前立腺肥大症治療薬のα1遮断薬と5α還元酵素阻害薬の併用には根拠があるのでしょうか。

代表的な研究としてCombAT Studyがあります。

前立腺肥大症の患者さん(IPSS12点以上、前立腺体積30mL以上1.5≦PSA≦10ng/mL、最大尿流量5~15mL /秒)4844例を対象に
アボルブ(デュタステリド)とハルナール(タムスロシン)の併用療法と
デュタステリド0.5mg単独投与群、タムスロシン0.4mg単独投与群と比較して
4年後のIPSSスコアが改善するかどうか検討した研究です。

投与4年目のIPSS減少の平均値はタムスロシン=3.8点、デュタステリド=5.3点、併用群=6.3点で、単独投与群に比べ併用群で有意に大きくなる結果になりました。
最大尿流量の増大はタムスロシン=0.7mL/秒、デュタステリド=2.0mL/秒、併用群=2.4mL/秒で、単独投与群に比べ併用群で有意に大きくなる結果になりました。
臨床的進行の累積発生率は、タムスロシン21.5%、デュタステリド17.8%、併用群12.6%でした。
急性尿閉または前立腺肥大症に関連した外科治療の累積発生率は、タムスロシン11.9%、デュタステリド5.2%、併用群4.2%でした。発生までの期間は、併用群とタムスロシン群には有意差があり、併用群とデュタステリド群には有意差はありませんでした。

Roehrborn CG,et al., Eur Urol. 2010 Jan;57(1):123-31.[PMID: 19825505]
http://www.europeanurology.com/article/S0302-2838(09)00970-1/fulltext

CombAT StudyのPost hoc解析で背景因子別に長期効果を評価したところ、併用療法はタムスロシン単独に比べて背景因子によらず優れていました。デュタステリド単独との比較では前立腺体積が60mL未満の症例のみで優れていました。

Roehrborn CG,et al.,BJU Int. 2014 Apr;113(4):623-35.[PMID: 24127818]
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/bju.12500/epdf

日本人を含むアジア人を対象としたCombAT Studyのサブ解析においても全体の症例と同様の結果がみられています。

Chung BH,et al.,Int J Urol. 2012 Nov;19(11):1031-5. [PMID: 22774774] 
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1442-2042.2012.03091.x/epdf

また、日本におけるアボルブの第Ⅲ相臨床試験のサブ解析でタムスロシンの前投与の有無によらず上乗せ効果が同等であったことから相加効果があることが考えられます。

Tsukamoto T, Endo Y, Narita M.Int J Urol. 2009 Sep;16(9):745-50.[PMID: 19674165]
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1442-2042.2009.02357.x/epdf

以上より
前立腺肥大症治療薬のα1遮断薬と5α還元酵素阻害薬の併用は単独療法より有効であるとする根拠が十分あると考えられます。


2017年8月21日月曜日

エピシル口腔用液 がん治療に伴う口内炎の痛みを和らげるスプレー

がん治療におけるがん化学療法および放射線治療法では副作用である『口内炎』が患者さんを悩ませています。

口内炎は非常に強い痛みを伴い、食べたり飲んだり話したりすることが困難になり、患者さんの生活の質を落としてしまいます。

そんな口内炎の痛みが、スプレーするだけで和らげられることができればどんなに幸せなことでしょうか。

実はがん治療に伴う口内炎の痛みを和らげるスプレーはアメリカやヨーロッパなどではよく知られており、多くの患者さんが使用しています。

そのスプレーの名前はepisil®(エピシル)といいます。

2017年7月に日本でもようやく承認され、2017年12月に発売予定2018年4月以降発売予定となっています。
http://www.meiji-seika-pharma.co.jp/info/2017/detail/pdf/170707.pdf

【2018年5月9日追記】
5月中旬発売予定のようです。
https://www.meiji-seika-pharma.co.jp/medical/product/episil/index.html

なお、エピシルは歯科における『周術期等専門的口腔衛生処置2』を実施する際の材料としてのみ保険算定可能です。医科及び調剤では保険算定できません。


なので、実際に使用される施設はがん診療連携登録歯科医のいる施設に限られると考えられます。
メーカーも発売当初は口腔外科のあるがん拠点病院に販路を限定し、PRしていくようなことを言っていました。

【2018年2月1日追記】
2018年4月から保険適応となります。
https://solasia.co.jp/images/Kw2ehVisVJIvCx.pdf

保険償還価は752円/mL(2018年度)
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000192797.pdf

留意事項
・がん等に係る放射線治療又は化学療法を実施している患者であって、周術期口腔機能管理計画に基づき、口腔機能の管理を行っている患者について、放射線治療又は化学療法に伴う口内炎に対して使用した場合に原則10 mLを限度として算定する。

2018年2月時点ではエピシルは特定保険医療材料ではありませんので、薬局での処方箋による交付はできません。
薬局においては実費による購入が可能です。