2017年6月1日木曜日

外傷後の破傷風トキソイド注射が保険適応である根拠


破傷風トキソイドは薬価基準収載の医薬品です。

釘を踏みつけたりなどの外傷で受診し、破傷風予防のために破傷風トキソイドを投与した場合は保険算定可能とされています。

ワクチンは基本的に保険算定できないものなのですが、外傷時に投与する場合は保険算定できるのです。
しかし、これについては添付文書にも記載がありません。

根拠となる通知はあるのでしょうか?

実は昭和24年に出された通知が今でも根拠とされているのです。

特に感染の危険があると認められる場合は発病前といえども破傷風血清注射を行なうことは差し支えない。(昭和24年7月7日保発第223号)

ただし、ワクチン接種の必要度に応じて、保険側の判断が異なる場合があります。
「外傷を受けたときにその傷が破傷風を発症する可能性が高いと判断した為」等の但し書きをコメントに入れると良いでしょう。
また、用法・用量は添付文書通りなのですが、破傷風菌の潜伏期間が21週間のため、3回目の接種は適応外となる可能性が高いと言われています。

注意:
海外渡航前等で予防接種として投与する場合など予防目的の場合は保険算定できません


出典:一般財団法人 阪大微生物病研究会
破傷風は、破傷風菌が産生する神経毒素(破傷風毒素)により強直性痙攣をひき起こす感染症です。外傷を受けた際、破傷風トキソイドやTIG (抗破傷風ヒト免疫グロブリン)を投与することで破傷風の発症を予防する方法があります。 破傷風のワクチンを今まで何回接種したかという点と、その傷が清潔で小さな傷であるか、あるいはそれ以外の傷であるか、その2つの点で対応を分けて考えます。

参考:

医療関係者のためのワクチンガイドライン 追補 破傷風ワクチン(日本環境感染学会)
http://www.kankyokansen.org/uploads/uploads/files/jsipc/hasyofu.pdf


破傷風予防には破傷風トキソイドやグロブリン製剤を使用しますが
破傷風を発症した場合も同様の対応をするのでしょうか。

答えは、トキソイドは使用しません。

破傷風を発症してしまっている状態は、破傷風菌による毒素が大量に体中に存在している状態であり、一刻も早く中和しなくてはなりません。そのためテタノブリンなどの抗破傷風ヒト免疫ブロブリンを投与します。


http://www.jbpo.or.jp/med/di/file/tbl_48243.pdf