2020年4月23日木曜日

大うつ病治療薬 ボルチオキセチン

ボルチオキセチン(vortioxetin)はアメリカのLundbeck社が創製した大うつ病治療薬です。

大うつ病性障害治療薬として米国をはじめ77カ国で承認、60カ国以上で販売されています。
アメリカにおいてBrintellixという商品名で武田薬品が世界で初めて販売を開始しました。
Brintellix製品情報ページ(米国)http://us.brintellix.com/

日本ではトリンテリクスという商品名で2019年11月に発売されました。

ボルチオキセチンの特徴


ボルチオキセチンは神経伝達物質セロトニン(5-HT)の再取り込み阻害作用をもち、また、5-HT1A受容体刺激作用、5-HT1B受容体の部分的刺激作用をもちます。

ボルチオキセチンは5-HT3、5-HT7、5HT1-D受容体拮抗作用をもちます。

アメリカで承認された用量は1日5~20mgです。

Vortioxetine, a new serotonergic agent, has shown superiority over placebo in treating major depressive disorder in both adult and geriatric patients.

The multimodal pharmacologic activity of vortioxetine may convey benefit in cognitive function.

Vortioxetine’s safety profile is similar to that of other selective serotonin reuptake inhibitors.

Vortioxetine’s favorable tolerability profile may have meaningful advantages with regard to weight gain and low sexual dysfunction that may benefit patients.


作用機序は完全に解明されていませんが、うつ病に対する新しい治療薬として、神経伝達物質セロトニン(5-HT)の再取り込みを阻害し、また、5-HT1A受容体作動作用、5-HT1B受容体の部分的作動作用、5-HT3、5-HT1D、5-HT7の各受容体拮抗作用など複数のセロトニン受容体に作用すると考えられています。


SSRIの副作用に性機能障害があります。
ボルチオキセチンに切り替えることによってSSRIによって起こる性機能障害が改善したというデータが示されています。
最も有効性と忍容性の高い抗うつ薬としてしられるエスシタロプラムと比べても性機能改善は優位を示しています。
Jacobsen PL, Mahableshwarkar AR, Chen Y, Chrones L, Clayton AH. J Sex Med. 2015;12(10):2036-2048. (PMID:26331383)


◉適応

うつ病,うつ状態。

◉禁忌

本薬剤の成分に対する過敏症の既往歴、MAO-I投与中あるいは中止2週間以内。



◉相互作用

ボルチオキセチンは主に肝代謝酵素CYP2D6、CYP3A4/5、CYP2C19、CYP2C9、CYP2A6、CYP2C8及びCYP2B6で代謝されます。
CYP2D6の阻害作用を有する薬剤を投与中の患者又は遺伝的にCYP2D6の活性が欠損している(Poor Metabolizer)ことが判明している患者では、本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるため、10mgを上限とすることが望ましいとされています。
また、強力なCYP誘導剤の併用投与では増量するなどの用量調整が必要だと考えられます。



◉見逃してはいけない副作用

国内臨床試験においては,主な副作用は悪心(19.0%)、傾眠(6.0%)及び頭痛(5.7%)でした。
海外の臨床試験において悪心の頻度は用量に依存していました。悪心の強度は軽度から中等度で無処置で消失しています。
悪心の起きる時期は治療の最初の週がほとんどで、投与の1〜2日後に患者の15%〜20%が吐き気を経験しました。

悪心や吐き気は導入の際にうまくいかない副作用の1つです。モサプリドなどの併用を考慮するなどの対応が必要です。2週間程度は様子を見ておくのが良いでしょう。




ペルサンチン-Lカプセル150mg 販売中止

(2020年6月更新)
ペルサンチン-Lカプセル150mgが販売中止(2020年9月予定)となるようです。

http://www.bij-kusuri.jp/information/attach/pdf/pe_lcap_info_202006.pdf

経過措置期間は2021年3月末予定です。
※ペルサンチン錠は販売継続です。

中止理由は、製造していたドイツの工場が閉鎖されたためです。
日本への技術移管も努力していたようですが、国内製造の目処が立たず、やむなく販売中止となったようです。


ペルサンチンの成分はジピリダモールです。

ジピリダモールは 1951年に F. G. Fischer 及び J. Roch によって開発されたピリミド-ピリミジン誘導体で、冠状動脈疾患治療薬として1959年にベーリンガーインゲルハイムの前身であるドイツのDr.カール・トーメ社により発売されました。
1965 年に P. R. Emmons らによって抗血小板作用を有することが報告されて以来、ドイツ、イギリス、日本を含め各国で抗血小板作用に基づく心臓弁置換術後の血栓・塞栓の抑制あるいは,糸球体腎炎,ネフローゼ症候群等の治療薬として今日広く使用されています。
日本では、冠状動脈疾患治療薬剤としてペルサンチン錠12.5が1960年に発売されました。

ペルサンチン-Lカプセルは、長期にわたる治療が必要な抗血小板療法において、服用回数を減らし、有効血中濃度を長時間持続させる徐放性製剤の開発が求められたことから開発が行われ、1994年に承認されました。


ペルサンチン-Lカプセル150mgの代替品


ペルサンチン錠が代替品となります。
徐放製剤ではないので用法用量が異なるので注意です。
規格によっては適応も異なります。

ペルサンチンカプセルがよく使われている病態に、糖尿病性腎症によるネフローゼやIgA腎症があります。
これら病態ではジピリダモールの他にジラゼプ塩酸塩(コメリアン)が使用されることがあります。







ペルサンチン静注10mg 販売中止(経過措置期限2020年3月末)

ペルサンチン静注10mgは販売中止されており、経過措置期間も2020年3月31日に終了したようです。

※ペルサンチン錠は販売継続中です。


ペルサンチンの成分はジピリダモールです。

ジピリダモールは 1951年に F. G. Fischer 及び J. Roch によって開発されたピリミド-ピリミジン誘導体で、冠状動脈疾患治療薬として1959年にベーリンガーインゲルハイムの前身であるドイツのDr.カール・トーメ社により発売されました。
1965 年に P. R. Emmons らによって抗血小板作用を有することが報告されて以来、ドイツ、イギリス、日本を含め各国で抗血小板作用に基づく心臓弁置換術後の血栓・塞栓の抑制あるいは,糸球体腎炎,ネフローゼ症候群等の治療薬として今日広く使用されていました。
日本では、冠状動脈疾患治療薬剤として 1960年に発売されました。


ジピリダモール負荷試験


ペルサンチン静注の効能効果は狭心症、心筋梗塞、その他の虚血性心疾患、うっ血性心不全でした。
そのほか、心機能評価のための薬剤負荷試験でも使用されていました。

ジピリダモールを投与すると、正常心筋部の血流が増加するのに対して病変部は増加しないので、血流不均衡が生じ、心機能を評価する検査の一つの心筋血流シンチグラフィでは、血流を評価できる201Tlや99mTc標識放射性医薬品を投与すると負荷時の病変部の低下として描画されます。
ジピリダモール負荷は運動負荷と同等の虚血の診断成績が得られるので、高齢者や下肢動脈の閉塞など運動負荷が難しい患者にも有効として汎用されていました。


ペルサンチン静注10mgの代替品


後発品が存在します。(2020年4月時点)

・ジピリダモール静注液10mg「日医工」

心筋負荷用の薬剤としては、アデノシンが代替として使用可能です。
ただし、作用の持続時間がジピリダモールでは静注後2~4分でピークに達し約30分間持続するのに対し、アデノシンでは静注後約10秒から約2分間と比較的短時間であることに注意が必要です。

・アデノシン負荷用静注60mgシリンジ「FRI」



参考:
川崎病心臓血管後遺症の診断と治療に関するガイドライン(2013年改訂版)

2020年4月21日火曜日

「0410事務連絡」薬局の対応は・・・ 新型コロナウイルス感染防止におけるオンライン診療

(2020年4月25日Q&A更新)

2020年4月10日の厚生労働省の事務連絡、いわゆる「0410事務連絡」をうけて、新型コロナウイルス感染拡大防止措置として初診からの電話や情報通信機器を用いた診療の実施が可能になりました。



新型コロナウイルス感染防止におけるオンライン診療について、まとめてみました。


【薬局】電話や情報通信機器(ビデオ通話など)を用いた服薬指導について


全ての薬局において、薬剤師が患者・服薬状況等に関する情報を得た上で、電話や情報通信機器を用いて服薬指導等を適切に行うことが可能と判断した場合にオンライン服薬指導を行うことができます。

「患者・服薬状況等に関する情報」 とは、どのようなことなのでしょうか。
以下の6つが考えられます。
(1)患者のかかりつけ薬剤師・薬局として有している情報
(2)当該薬局で過去に服薬指導等を行った際の情報
(3)患者が保有するお薬手帳に基づく情報
(4)患者の同意の下で、患者が利用した他の薬局から情報提供を受けて得られる情報
(5)処方箋を発行した医師の診療情報
(6)患者から電話等を通じて聴取した情報

処方箋の取り扱いについては、医療機関から備考欄に「0410 対応」と記載した処方箋がFAX等で送られてくるので、それをもとに調剤を行い、処方箋原本については可能な時期に入手し、FAX等で送付された処方箋情報と共に保管することが求められています。

薬局が守る必要のある条件

新型コロナウイルス感染拡大防止措置におけるオンライン服薬指導での薬局における実施要件としては、薬剤の配送に関わる事項を含む生じうる不利益等・配送及び服薬状況の把握等の手順について薬剤師から患者に対して十分な情報を説明し、説明を行ったことを記録することが求められています。
さらに、患者に初めて調剤した薬剤については、患者の状態等を踏まえ、「患者の服薬アドヒアランスの低下などを回避のための対応」をすることとされています。

「患者の服薬アドヒアランスの低下などを回避のための対応」
必要に応じ、事前に薬剤情報提供文書等を患者にファクシミリ等により送付してから服薬指導等を実施する
必要に応じ、薬剤の交付時に(配送した場合は薬剤が患者の手元に到着後、速やかに)、電話等による方法も含め、再度服薬指導等を行う
薬剤交付後の服用期間中に、電話等を用いて服薬状況の把握や副作用の確認などを実施する
上記で得られた患者の服薬状況等の必要な情報を処方した医師にフィードバックする

そして、対面による服薬指導等が必要と判断される場合は、速やかに切り替えます。
薬剤師は被保険者証で患者さん本人であることの確認、患者は薬剤師を顔写真付きの身分証明書で互いに確認し合います。


薬剤の配送等について

薬剤の品質の保持や確実な授与等がなされる方法(書留郵便等)で患者へ渡します。
薬剤が確実に患者に授与されたことを電話等により確認します。
インスリンなどの冷所品など品質の保持に特別の注意を要したり早急に授与する必要のある薬剤は、クール便を使うなどの適切な配送方法を利用する必要があります。薬局スタッフが届けたり、患者又はその家族等に来局を求めたりする等の工夫をしましょう。
患者が支払う配送料及び薬剤費等は、代金引換や銀行振込、クレジットカード決済、その他電子決済等の方法でも可能です。

送料は高いですがレターパックプラスは追跡機能もあり安心です。ヤマト運輸の宅急便コンパクトも少量であればコストが抑えられて良いと思います。


その他の留意点

患者の状況等によっては、対面での服薬指導等が適切な場合や、次回以降の調剤時に対面での服薬指導等を行う必要性が出てくることを考えると、オンライン服薬指導を行うのはかかりつけ薬剤師及び薬局や、患者の居住地域内にある薬局が望ましいとされています。

また、薬局内やホームページで事前に医療機関関係者や患者等に以下を周知することが求められます。

①服薬指導等で使用する機器(電話・情報通信機器等)
②処方箋の受付方法(FAX・メール・アプリ等)
③薬剤の配送方法
④支払方法(代金引換サービス・クレジットカード決済等)
⑤服薬期間中の服薬状況の把握に使用する機器(電話・情報通信機器等)

算定できる点数は

調剤技術料、薬剤料及び特定保険医療材料料を算定することができます。
また、要件を満たせば、薬剤服用歴管理指導料等を算定することができます。
ただし、薬剤服用歴管理指導料の加算を算定できるかどうかは明言されていません。
2020年9月開始の正規のオンライン服薬指導では薬剤服用歴管理指導料の加算は算定できないので、明確な通知が出るまではそれに準ずるのが良いかと思います。



【病院等】初診から電話や情報通信機器(ビデオ通話など)を用いた診療を実施する場合


医師の責任の下で、電話や情報通信機器を用いた診療による診断や処方が医学的に可能であると判断する範囲において、初診から電話や情報通信機器を用いた診療により診断や処方を行うことができます。

なお、診療録等により当該患者の基礎疾患の情報が把握できない場合は、処方日数は7日間を上限とします。
また、診療録等により当該患者の基礎疾患の情報が把握できない場合は、麻薬及び向精神薬に加え、診療報酬における薬剤管理指導料の「1」の対象となる薬剤(いわゆるハイリスク薬)の処方することはできません。

主な要件

できる限り、過去の診療録・診療情報提供書・地域医療情報連携ネットワーク・健康診断の結果等で患者の基礎疾患の情報を把握・確認する必要があります。
生じるおそれのある不利益・急病急変時の対応方針等について、医師から説明した上でカルテに記載します。
対面による診療が必要と判断される場合は速やかに移行します。
患者は顔写真付きの身分証明書で医師であることを確認し、医師は被保険者証等で患者本人確認を互いに行います。
支払方法は、銀行振込・クレジットカード決済・その他電子決済等も可能です。


【病院等】定期受診を電話や情報通信機器(ビデオ通話など)を用いて実施する場合

既に対面で診断され治療中の疾患を抱える患者について、電話や情報通信機器を用いた診療により、当該患者に対して、これまでも処方されていた医薬品を処方することは事前に診療計画が作成されていない場合であっても行うことができます。

また、患者の疾患により発症が容易に予測される症状の変化に対して、これまで処方されていない医薬品を処方することもできます。

主な要件

①既に定期的なオンライン診療を行っている場合
発症が容易に予測される症状の変化を診療計画に追記し、診療計画の変更について患者の同意を得ておきます。

②これまで定期的なオンライン診療を行っていない場合
生じるおそれのある不利益・発症が容易に予測される症状の変化・処方する医薬品等について患者に説明して同意を得ておきます。
その説明内容をカルテに記載します。


処方箋の取扱いについて

患者が薬局での電話や情報通信機器による服薬指導を希望する場合は、処方箋の備考欄に「0410 対応」と記載し、患者の同意を得て、医療機関から患者が希望する薬局にFAX等で送付します。
カルテには薬局名を記録しておきます。
後日、FAX等で処方箋情報を送付した薬局に処方箋原本を送付します。

FAXが届いているか電話で確認するなどの配慮が必要です。

実施状況の報告について

医療機関から所定の様式で所在地の都道府県に毎月報告します。
各都道府県は管下の医療機関の実施状況を厚生労働省に毎月報告します。

薬剤の配送等について

院内調剤の場合には薬剤の品質の保持や確実な授与等がなされる方法(書留郵便等)で患者へ渡します。
薬剤が確実に患者に授与されたことを電話等により確認します。
患者が支払う配送料及び薬剤費等は、代金引換や銀行振込、クレジットカード決済、その他電子決済等の方法でも可能です。

診療報酬について

初診の場合、電話等を用いた初診料214点を特例的に算定できます。
再診の場合、電話等再診料73点を算定します。管理料については、従来から「オンライン診療料」の対象になる医学管理料(特定疾患療養管理料、在宅時医学総合管理料など)を算定していた慢性疾患患者に対して、電話等で医学管理を行った場合は、147点を算定可能です。
医薬品を処方した場合は、「処方料」や「処方箋料」も算定できます。



初診 再診
点数 院内処方 院外処方 院内処方 院外処方
基本診療料 初診料 214点 電話等再診料 73点
管理料 - 147点 (B000 2)
処方料 - -
処方箋料 - -
調剤料 - -
調剤基本料 - -
薬剤料 - -

新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その14)


参考通知



Q. 事務連絡の「1」にあるように、慢性疾患等を有する定期受診患者等について、医師が電話や情報通信機器を用いて診療し医薬品の処方を行い、ファクシミリ等で処方箋情報が送付される場合、保険医療機関は、電話等再診料、処方箋料を算定できるか。
A. 算定できる。
Q. 上記について、電話や情報通信機器を用いて診療を行った場合は、電話等再診料とオンライン診療料のいずれを算定するのか。
A. 上の場合については、電話等再診料を算定すること。
Q. ファクシミリ等により処方箋情報を受け付けた保険薬局において、当該処方箋情報に基づく調剤を行った場合、調剤技術料及び薬剤料は算定できるのか。
また、事務連絡の「3」にあるように、患者に薬剤を渡し、電話や情報通信機器を用いて服薬指導を行った場合、薬剤服用歴管理指導料等の薬剤師からの説明が要件となっている点数は算定できるのか。
A. 調剤技術料及び薬剤料は算定できる。薬剤服用歴管理指導料等は、電話や情報通信機器を用いて適切な指導を行っており、その他の要件を満たしていれば算定できる。




Q. 事務連絡の「1」にあるように、慢性疾患等を有する定期受診患者等について、医師が電話や情報通信機器を用いて診療し医薬品の処方を行った場合、保険医療機関は、電話等再診料、調剤料、処方料、調剤技術基本料を算定できるか。
A. 算定できる。
Q. 事務連絡の「1」の場合であって、過去3月以内に在宅療養指導管理料を算定した慢性疾患等を有する定期受診患者等について、医師が電話や情報通信機器を用いて診療し、患者又は患者の看護に当たる者(以下、「患者等」という。)に対して、療養上必要な事項について適正な注意及び指導を行い、併せて必要かつ十分な量の衛生材料又は保険医療材料を支給した場合に、在宅療養指導管理料及び在宅療養指導管理材料加算を算定できるか。
A. 衛生材料又は保険医療材料を支給した場合に限り、在宅療養指導管理料及び在宅療養指導管理材料加算を算定できる。 この場合、在宅療養の方法、注意点、緊急時の措置に関す る指導等の内容、患者等から聴取した療養の状況及び支給した衛生材料等の量等を診療録 に記載すること。また、衛生材料又は保険医療材料の支給に当たっては、患者等に直接支 給すること。ただし、患者の看護に当たる者がいない等の理由により患者等に直接支給できない場合には、当該理由を診療録に記載するとともに、衛生材料又は保険医療材料を患者に送付することとして差し支えない。この場合において、当該患者が受領したことを確認し、その旨を診療録に記載すること。


Q. オンライン診療料の留意事項では、「診療計画に基づかない他の傷病に対する診療は、 対面診療で行うことが原則」とされているが、令和2年3月19日事務連絡の「1(2) ①」にあるように、慢性疾患等を有する定期受診患者等に対する診療等について、既に当該患者に対して定期的なオンライン診療を行っている場合であって、発症が容易に予測される症状の変化に対する処方を行うとき、診療報酬の算定に当たっては、どのようにすればよいか。
A. 通常のオンライン診療料と同様の取扱いとして差し支えない。
Q. 令和2年3月19日事務連絡の「1(2)②」にあるように、慢性疾患等を有する定 期受診患者等に対する診療等について、これまで当該患者に対して定期的なオンライン診療を行っていない場合であって、発症が容易に予測される症状の変化に対する処方を行うとき、診療報酬の算定に当たっては、どのようにすればよいか。
A. 「新型コロナウイルス感染症患者の増加に際しての電話や情報通信機器を用いた診療や処方箋の取扱いについて」(令和2年2月28日厚生労働省医政局医事課、医薬・生活衛 生局総務課事務連絡。以下「令和2年2月 28 日事務連絡」という。)に関連する臨時的な診療報酬の取扱いと同様の取扱いとして差し支えない。
Q. 令和2年3月 19 日事務連絡の「1(2)」の場合について、ファクシミリ等により処 方箋情報を受け付けた保険薬局において、当該処方箋情報に基づく調剤を行った場合、調剤報酬の算定に当たっては、どのようにすればよいか。
A. 令和2年2月28日事務連絡に関連する臨時的な診療報酬の取扱いと同様の取扱いとして差し支えない。

Q. 令和2年3月 19 日事務連絡の「2(3)」の場合について、新型コロナウイルス感染 症の診断や治療が直接の対面診療により行われた患者に対して、在宅での安静・療養が必要な期間中に、在宅での経過観察結果を受けて、当該患者の診断を行った医師又は、かか りつけ医等からの紹介に基づき新型コロナウイルス感染症の診断や治療を行った医師から情報提供を受けた当該かかりつけ医が、患者の求めに応じて、電話や情報通信機器を用いて、それぞれの疾患について発症が容易に予測される症状の変化に対して必要な薬剤を 処方した場合に、診療報酬等の算定に当たっては、どのようにすればよいか。
A. 令和2年2月 28 日事務連絡に関連する臨時的な診療報酬の取扱いと同様の取扱いとして差し支えない。


Q. 事務連絡により、慢性疾患を有する定期受診患者に対して、電話や情報通信機器を用いた診療及び処方を行うことが可能とされた。この場合であって、当該患者に対し、電話 や情報通信機器を用いた診療を行う以前より、対面診療において診療計画等に基づき療養 上の管理を行っており、電話や情報通信機器を用いた診療においても当該計画等に基づく 管理を行った場合、どのような取扱いとなるか。
廃問(0410事務連絡に代える)
A. 電話や情報通信機器を用いた診療を行う以前より、対面診療において診療計画等に基づ き療養上の管理を行い、「情報通信機器を用いた場合」が注に規定されている管理料等を 算定していた患者に対して、電話や情報通信機器を用いた診療においても当該計画等に基 づく管理を行う場合は、当該管理料等の注に規定する「情報通信機器を用いた場合」の点 数を算定できる。 なお、当該管理を行う場合、対面診療の際の診療計画等については、必要な見直しを行うこと。
Q. 上の問における「管理料等」とは、何を指すのか。
廃問(0410事務連絡に代える)
A. 特定疾患療養管理料、小児科療養指導料、てんかん指導料、難病外来指導管理料、糖尿 病透析予防指導管理料、地域包括診療料、認知症地域包括診療料及び生活習慣病管理料を指す。
Q. 保険医療機関の所在地と患家の所在地との距離が 16 キロメートルを超える往診又は 訪問診療(以下、「往診等」という。)については、当該保険医療機関からの往診等を必 要とする絶対的な理由がある場合には認められることとされており(「診療報酬の算定方 法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(令和2年3月5日保医発 0305 第1 号))、具体的には、①患家の所在地から半径 16 キロメートル以内に患家の求める診療 に専門的に対応できる保険医療機関が存在しない場合、②患者の求める診療に専門的に対 応できる保険医療機関が存在していても当該保険医療機関が往診等を行っていない場合などが考えられる(「疑義解釈資料の送付について(その7)」(平成 19 年4月 20 日付 医療課事務連絡))とされている。例えば、自宅で療養する新型コロナウイルス感染症患 者に往診等が必要な場合であって、対応可能な医療機関が近隣に存在しない場合や対応可 能な医療機関が近隣に存在していても往診等を行っていない場合は、「16 キロメートル を超える往診等を必要とする絶対的な理由」に含まれるか。
A. ご指摘の事例は、「絶対的な理由」に含まれる。




Q. 新型コロナウイルスの感染が拡大している間、これまでオンライン診療料の届出を行 っていない医療機関において新規にオンライン診療料を算定する場合、オンライン診療料の施設基準に係る届出は必要か。
A. 必要。 ただし、新型コロナウイルスの感染が拡大している間、基本診療料の施設基準 等第三の八の二(1)ロに規定する施設基準のうち、1 月当たりの再診料等の算定回数の合計に占めるオンライン診療料の算定回数の割合が1割以下であることとする要件については、適用しないこととすること。
Q. 新型コロナウイルス感染が拡大している間、既にオンライン診療料の届出を行ってい る医療機関において、基本診療料の施設基準等第三の八の二(1)ロに規定する 1 月当たりの再診料等の算定回数の合計に占めるオンライン診療料の算定回数の割合が1割以下であることとする要件を満たさなくなった場合、オンライン診療料の変更の届出は必要か。
A. 不要。 ただし、当該要件以外の要件を満たさなくなった場合は、速やかに届出を取り下げること。



Q. 対面診療において、精神科を担当する医師が一定の治療計画のもとに精神療法を継続的に行い、通院・在宅精神療法を算定していた患者に対して、電話や情報通信機器を用いた診療においても、当該計画に基づく精神療法を行う場合は、どのような取扱いとな るか。
A. 新型コロナウイルスの感染拡大を防止する観点から、精神疾患を有する定期受診患者に対して、電話や情報通信機器を用いた診療及び処方を行う場合であって、電話や情報通信機器を用いた診療を行う以前より、対面診療において精神科を担当する医師が一定 の治療計画のもとに精神療法を継続的に行い、通院・在宅精神療法を算定していた患者に対して、電話や情報通信機器を用いた診療においても、当該計画に基づく精神療法を行う場合は、「診療報酬の算定方法」(平成 20 年厚生労働省告示第 59 号)B000 の2に規定する「許可病床数が 100 床未満の病院の場合」の 147 点を月1回に限り算定でき ることとする。

Q. 小児科外来診療料及び小児かかりつけ診療料の施設基準の届出を行っている保険医療機関において、6歳未満の乳幼児又は未就学児に対して、初診から電話や情報通信機器を用いた診療により診断や処方をする場合について、どのように考えればよいか。
A. 初診料の注2に規定する 214 点を算定すること。 なお、この場合において、診断や処方をする際は、「新型コロナウイルスの感染拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて」(令和2年4月10日厚生労働省医政局医事課、医薬・生活衛生局総務課事務連絡。)や別紙における留意点等を踏まえ、適切に診療を行うこと。また、その際、医薬品の処方を行い、又はファクシミリ等で処方箋情報を送付する場合は、調剤料、処方料、処方箋料、調剤技術基本料 、又は薬剤料を算定することができる。
Q. 保険医療機関において検査等を実施し、後日、電話や情報通信機器を用いて、検査結果等の説明に加えて、療養上必要な指導や、今後の診療方針の説明等を行った場合、電話等再診料を算定できるか。
A. 不要。 ただし、当該要件以外の要件を満たさなくなった場合は、速やかに届出を取り下げること。
Q. 新型コロナウイルスの感染症患者(新型コロナウイルス感染症であることが疑われる患者を含む。)に対して、往診等を実施する場合にも、必要な感染予防策を講じた上で当該患者の診療を行った場合には、院内トリアージ実施料を算定できるか。
A. 算定できる。 なお、必要な感染予防策については、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第1版」に従い、院内感染防止等に留意した対応を行うこと。特に、「5 院内感染防止」及び参考資料「新型コロナウイルス感染症に対する感染管理(国立感染症研究所)」の内容を参考とすること。
Q. 前月に「月2回以上訪問診療を行っている場合」の在宅時医学総合管理料又は施設入居時等医学総合管理料(以下「在医総管等」という。)を算定していた患者に対して、 当月も診療計画に基づいた定期的な訪問診療を予定していたが、新型コロナウイルスへの感染を懸念した患者等からの要望等により、訪問診療を1回実施し、加えて電話等を用いた診療を実施した場合について、どのように考えればよいか。
A. 当月に限り、患者等に十分に説明し同意を得た上で、診療計画に基づき「月2回以上訪問診療を行っている場合」の在医総管等を算定しても差し支えない。 なお、次月以降、訪問診療を月1回実施し、加えて電話等を用いた診療を実施する場合については、診療計画を変更し、「月1回訪問診療を行っている場合」の在医総管等を算定すること。ただし、電話等のみの場合は算定できない。 また、令和2年3月に「月1回訪問診療を行っている場合」を算定していた患者に対して、令和2年4月に電話等を用いた診療を複数回実施した場合は、「月1回訪問診療を行っている場合」を算定すること。 なお、令和2年4月については、緊急事態宣言が発令された等の状況に鑑み、患者等に十分に説明し同意を得た上で、訪問診療を行えず、電話等による診療のみの場合であっても、在医総管等を算定して差し支えない。
Q. 4月10日事務連絡により、電話や情報通信機器を用いた服薬指導等を実施した場合、その他の要件を満たせば薬剤服用歴管理指導料等を算定することが可能とされた。在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定していた患者に対して、薬学的管理指導計画に基づいた定期的な訪問薬剤管理指導を予定していたが、新型コロナウイルスへの感染を懸念した患者等からの要望等により、訪問の代わりに電話等により必要な薬学的管理指導を実施した場合について、どのように考えればよいのか。


A. 患者又はその家族等に十分に説明し同意を得た上で、薬剤服用歴管理指導料の「1」に掲げる点数を算定できることとする。 ただし、当月又はその前月に、当該患者に対し、在宅患者訪問薬剤管理指導料を1回以上算定している必要がある。 なお、この場合、「薬剤服用歴管理指導料」の点数については、在宅患者訪問薬剤管理指導料と合わせて月4回(末期の悪性腫瘍の患者及び中心静脈栄養法の対象患者にあっては、週2回かつ月8回)まで算定できることとする。


Q. 居宅療養管理指導費又は介護予防居宅療養管理指導費を算定している患者について、 当月において、新型コロナウイルスへの感染を懸念した患者等からの要望等により、患者又はその家族等に十分に説明し同意を得た上で、必要な薬学的管理指導を電話等により行った場合は薬剤服用歴管理指導料の点数を算定できるのか。


A. 同一月内において一度も居宅療養管理指導費又は介護予防居宅療養管理指導費を算定しなかった場合は、算定できる。
ただし、前月に、当該患者に対し、居宅療養管理指 導費又は介護予防居宅療養管理指導費を1回以上算定している必要がある。
なお、この場合、「薬剤服用歴管理指導料」の点数については、月4回(末期の悪 性腫瘍の患者及び中心静脈栄養法の対象患者にあっては、週2回かつ月8回)まで算定できることとする。

2020年4月10日金曜日

2020年4月1日からエフピーやビバンセを携帯して海外旅行が可能になりました


2020年4月1日に、覚醒剤原料に指定されている医薬品(医薬品覚醒剤原料)の病院・診療所や薬局での取扱い等を見直す改正覚醒剤取締法が施行されました。
法改正により医薬品覚醒剤原料の病院や薬局等における取扱い等が変更されます。

ポイント
●医薬品覚醒剤原料の携帯輸出入が可能に
●患者が死亡した場合、相続人等による医薬品である覚醒剤原料の所持が可能となりました
●患者、その相続人等から病院・薬局等への医薬品である覚醒剤原料の返却が可能になりました
●調剤済みの当該医薬品である覚醒剤原料は都道府県職員の立会いなしに廃棄可能
●覚醒剤原料取扱いに関する「帳簿」作成が義務化

改正の概要とQ&Aをまとめてみました。

2020年4月時点で医薬品覚醒剤原料として日本国内で承認されているものには、セレギリン塩酸塩錠(エフピーOD錠等)とリスデキサンフェンタミンメシル酸塩カプセル(ビバンセカプセル)の2成分が存在しています。




医薬品覚醒剤原料の携帯輸出入が可能に


覚醒剤取締法第30条の6第3項ただし書の規定により、自己の疾病治療のために医薬品である覚醒剤原料を服用している患者本人が海外旅行等で出国する場合には、あらかじめ厚生労働大臣の許可を受けて、当該医薬品である覚醒剤原料を携帯して持ち出す(携帯輸出する)ことができます。
ただし、この携帯輸出は、「自己の疾病治療の目的で携帯して輸出」する場合に限られているため、本人以外の者(本人と一緒に行動する付添人、介護人などを除く。)が携帯したり、渡航先へ郵送したりすることはできません。
また、当該医薬品である覚醒剤原料を、飲み残し等の理由により帰国時に持ち帰る予定がある場合には、「医薬品である覚醒剤原料携帯輸出許可」と同時に、あらかじめ「医薬品である覚醒剤原料携帯輸入許可」を受けておく必要があります。
申請に際しては、本人の住所地を管轄する地方厚生(支)局麻薬取締部に対し、医薬品である覚醒剤原料携帯輸入(輸出)許可申請書1部、医師の診断書1部の提出が必要です。
なお、申請手続、申請様式等の詳細については、管轄の地方厚生(支)局麻薬取締部に照会してください。
なお、日本からの持出し、日本への持込みとは別に、渡航先の国への持込み、渡航先の国からの持出しについて、その国による規制がある場合があるため、事前に渡航先の国の大使館や領事館等に照会してください。
【覚醒剤取締法第 30 条の6第1項、第3項】
【覚醒剤取締法施行規則第 12 条】

厚生労働省地方厚生局麻薬取締部のホームページ「【個人向け】麻薬・覚醒剤原料などを携帯して  日本を出入国する方へ」

Q. 医薬品である覚醒剤原料を、日本から郵送で海外へ送ることはできますか。
A. 個人が海外在住の家族等宛てに医薬品である覚醒剤原料を郵送することはできません。
個人が医薬品である覚醒剤原料を海外に持ち出すことができるのは、「本邦から出国する者が、厚生労働大臣の許可を受けて自己の疾病の治療の目的で医薬品である覚醒剤原料を携帯して輸出する場合」に限られています。
【覚醒剤取締法第 30 条の6第3項】

Q. 自己の疾病の治療の目的以外で医薬品である覚醒剤原料を携帯輸出入してもよいですか。
A. 患者本人以外の者(本人と一緒に行動する付添人、介護人などを除く。)が医薬品である覚醒剤原料を携帯して輸出(輸入)することはできません。
【覚醒剤取締法第 30 条の6第1項、第3項】

Q. 飼育している動物に治療として覚醒剤原料を使用している場合、覚醒剤原料を持って海外へ行くことはできますか?
A.覚醒剤原料輸出業者以外の者が、動物に使うために覚醒剤原料を輸出することはできません。
覚醒剤原料の輸出は、厚生労働大臣の指定を受けた「覚醒剤原料輸出業者」が厚生労働大臣の許可を受けて輸出する場合のほか、「本邦から出国する者が、厚生労働大臣の許可を受けて自己の疾病の治療の目的で医薬品である覚醒剤原料を携帯して輸出する場合」に限られています。
【覚醒剤取締法第 30 条の6第3項】


患者が死亡した場合、相続人等による医薬品である覚醒剤原料の所持が可能となりました


医師等から施用のため医薬品である覚醒剤原料の交付を受け、又は薬局開設者等から医師等の処方箋により薬剤師が調剤した医薬品である覚醒剤原料を譲り受けた者が死亡した場合において、その相続人又は相続人に代わって相続財産を管理する者が所持できるようになりました。
【覚醒剤取締法第 30 条の7第 13 項】


患者、その相続人等から病院・薬局等への医薬品である覚醒剤原料の返却が可能になりました


調剤済みまたは交付された医薬品覚醒剤原料が不要になった場合、病院、診療所、飼育動物診療施設及び薬局では、改正前は受け取り不可であったため患者等に対して自分で廃棄するよう指導していました。中には患者又はその家族等が行う廃棄を補助する名目で病院や薬局等で違法に受け取り廃棄していたところもあったようです。今回の改正により、病院・薬局等で受け取ったうえで廃棄を行うことができるようになりました。患者や相続人等に病院・薬局等への返却義務はありませんが、病院・薬局等で適切に廃棄することが望ましいため、麻薬同様、病院、薬局等で医薬品覚醒剤原料の交付や調剤をする際には、患者にその旨を周知することが望まれます。

医薬品である覚醒剤原料の交付を受けた者等は、どの薬局に対しても、不要になった医薬品である覚醒剤原料を譲渡することが可能です。病院から交付された医薬品である覚醒剤原料や、他薬局で調剤された医薬品である覚醒剤原料を譲渡することもできます。
【覚醒剤取締法第 30 条の9第1項第6号イ、ロ】

なお病院、診療所、又は飼育動物診療施設への不要になった医薬品である覚醒剤原料の譲渡は、当該医薬品である覚醒剤原料の交付を受けた医療機関に限られます。
これは、医薬品である覚醒剤原料の交付を受けた病院等でないと患者等から 不要となった医薬品である覚醒剤原料を譲り受けた際、その覚醒剤原料を保管することができない場合があるためです。
 【覚醒剤取締法第 30 条の9第1項第6号イ、ロ】
 【覚醒剤取締法第 30 条の 12 第2項】 


Q. 亡くなった父が生前に服用していた医薬品である覚醒剤原料の飲み残しはどのように処分すればよいですか。
薬局又は当該医薬品である覚醒剤原料の交付を受けた病院若しくは診療所に返却してください。発見した医薬品である覚醒剤原料がどの医療機関で交付されたものか分からない場合は、薬局に譲渡してください。
【覚醒剤取締法第 30 条の9第1項第6号ロ】

Q. 入院患者において、他の病院(薬局)で交付された持参薬の覚醒剤原料が不要になった場合、譲り受けてもよいですか。
A.他の病院(薬局)で交付された医薬品である覚醒剤原料を譲り受けることはできません。
患者から医薬品である覚醒剤原料を譲り受けることができる病院は、当該医薬品である覚醒剤原料を患者に譲り渡した病院に限られます。
なお、当該医薬品である覚醒剤原料を廃棄する場合には、患者に廃棄させることとしてください。放流するために粉砕するなど技術的に廃棄の補助を行うことは差し支えありませんが、廃棄の主体はあくまで患者です。
【覚醒剤取締法第 30 条の9第1項第6号イ】

Q. 病院又は薬局で取り扱っている医薬品である覚醒剤原料を、覚醒剤原料製造業者等に譲渡することはできますか。 
A. 通常はできません。
病院又は薬局で取り扱っている医薬品である覚醒剤原料は、不潔な物質等から成っているもの、異物が混入等しているもの、容器等が破損しているもの等に限り、厚生労働大臣の許可を受けて、覚醒剤原料製造業者等に譲り渡すことができます。また、厚生労働大臣の許可を受けて、患者の試験検査のために覚醒剤原料研究者等に譲り渡すことも可能です。 
【覚醒剤取締法第 30 条の9第1項第7号】 
【覚醒剤取締法施行規則第 14 条第2項】

Q. 家の近くに薬局や病院がありません。不要になった医薬品である覚醒剤原料を薬局等に返却する際、郵便等で送ってもよいですか。
A. 原則として、薬局や当該医薬品である覚醒剤原料を譲り受けた病院等に、直接持参してください。
薬局や当該医薬品である覚醒剤原料を譲り受けた病院等が遠隔地にあるなど、医薬品である覚醒剤原料を持参することが困難な場合には、書留郵便等を利用して返却しても差し支えありませんが、返却先の薬局等と相談の上で送付してください。
【覚醒剤取締法第 30 条の9第1項第6号イ】


調剤済みの当該医薬品である覚醒剤原料は都道府県職員の立会いなしに廃棄可能


医療用麻薬と同様に、薬剤師が調剤した医薬品である覚醒剤原料については、都道府県職員の立会いなしに廃棄可能になりました。
廃棄後30日以内に「交付又は調剤済みの医薬品である覚醒剤原料廃棄届出書」を、所在地の都道府県知事に届け出る必要があります。

患者等から不要になった医薬品である覚醒剤原料を譲り受けた場合は、速やかに「交付又は調剤済みの医薬品である覚醒剤原料譲受届出書」を所在地の都道府県知事に届け出た上で、廃棄します。また、廃棄後30日以内に「交付又は調剤済みの医薬品である覚醒剤原料廃棄届出書」を所在地の都道府県知事に届け出ます。
【覚醒剤取締法第 30 条の 14 第2項、第3項】
【覚醒剤取締法施行規則第 19 条第2項、第3項】

医薬品である覚醒剤原料の取扱いについて、麻薬の取扱いと異なり、薬局や医療機関に免許や年間報告を求めていないことから、所持するに至った医薬品である覚醒剤原料を把握するため「交付又は調剤済みの医薬品である覚醒剤原料譲受届出書」と「交付又は調剤済みの医薬品である覚醒剤原料廃棄届出書」の両方を届け出る必要があります。医療用麻薬に比べて届出が一つ多くなっています。

なお、「交付又は調剤済みの医薬品である覚醒剤原料譲受届出書」と「交付又は調剤済みの医薬品である覚醒剤原料廃棄届出書」を同日に提出することはできます。ただし、「交付又は調剤済みの医薬品である覚醒剤原料譲受届出書」は医薬品である覚醒剤原料を譲受した後、速やかに提出する必要があり、「交付又は調剤済みの医薬品である覚醒剤原料廃棄届出書」は医薬品である覚醒剤原料の廃棄後 30 日以内に提出する必要があります。2つの届出書の提出期間は異なるため、注意が必要です。

特段の理由がなければ、医薬品である覚醒剤原料の譲受後1週間以内を目処に届出を行い、届出後1週間以内を目処に廃棄することが望ましいでしょう。 


覚醒剤原料取扱いに関する「帳簿」作成が義務化


覚醒剤原料の受払の帳簿に関しては、通知(厚生省医薬安全局麻薬課長通知 医薬麻第1793号)において帳簿の記録が「望ましい」とされているだけで、法的には義務化されていませんでした。今回の法改正で医薬品覚醒剤原料の移動や所在を明確にし、管理の徹底を図るため、「帳簿」の作成が義務化されました。病院、薬局等の施設ごとに必ず帳簿を備え、取扱いに関して記載することが必要となります。
患者又はその相続人等から医薬品覚醒剤原料を返却された場合の、譲り受けや廃棄についての記録は、帳簿とは別に「廃棄簿」での管理可能とされています。

病院、診療所、飼育動物診療施設又は薬局の帳簿には、譲り渡し、譲り受け、施用し、施用のために交付し又は廃棄した医薬品である覚醒剤原料の品名及び数量並びにその年月日、覚醒剤取締法第 30 条の 14 第1項から第3項までの規定により届出をした医薬品である覚醒剤原料の品名及び数量を記載する必要があります。

帳簿は、最終の記入をした日から2年間保存しなければなりません。 
【覚醒剤取締法第 30 条の 17 第4項】



帳簿と覚醒剤原料を同じ保管庫内に保管することは、法律で禁じられてはいませんが、盗難等があった場合に被害数量が分からなくなるおそれがあることから、別の場所に保管することが望ましいと考えます。
なお、鍵をかけた場所とは、施錠設備のある倉庫・薬品庫のほかロッカー・金庫等の保管設備のことを指します。麻薬保管庫には保管できません。
ロッカー・金庫等を保管設備として使用する場合は、
①保管庫は容易に破られない材質のものであり、かつ堅固な鍵が付いていること
②保管庫が容易に持ち運びできる場合にあっては床にボルト等により固定すること
③覚醒剤原料専用の保管庫又は他のものと完全に分離する形態で保管することが望ましいこと
④保管庫はできるだけ人目につかない場所であって、施錠設備のある室内に設置すること
⑤保管庫を設置する室に非常ベル等の防犯装置を設置することが望ましい
ことにより、また建物の一部又は全部を保管設備として用いる場合は、
①保管場所の扉は金属製とし、堅固な鍵を設け、壁、天井、床については容易に破られない材質のものであること
②保管場所に窓、換気口がある場合には、鉄格子を入れること
③覚醒剤原料専用の保管場所又は他のものと完全に分離できる場所であることが望ましいこと
④保管場所の位置は、立地条件に応じ容易に侵入できないところに設置すること
⑤当該保管場所に非常ベル装置又は赤外線警報装置等の防犯装置を設置することが望ましいこと
によってください。
【覚醒剤取締法第 30 条の 12 第2項】
【令和2年3月 11 日付薬生監麻発 0311 第2号監視指導・麻薬対策課長通知】


Q. 特別養護老人ホームに入所する者が、医療機関において処方された医薬品である覚醒剤原料を持ち込んだ場合、施設として帳簿等を作成する必要はありますか。
A. 帳簿の備え付けや記録をしなければいけないのは、病院若しくは診療所 (病院等)の開設者です。特別養護老人ホームは病院等でないため、帳簿の備え付けや記録は不要です。 なお、医薬品である覚醒剤原料の保管・管理は入所者自身又は入所者を介護 している家族等が行うことが原則ですが、入所者自身が管理を行えない状況に あるときは、入居者の同意を得て、施設内において入所者の介護にあたる職員が保管・管理しても差し支えありません。
 【覚醒剤取締法第 30 条の 17 第3項】


その他


入院患者に交付する予定で払い出した医薬品である覚醒剤原料が、患者に交付する前に処方変更となった場合の対応、また医薬品である覚醒剤原料を服用している入院患者が死亡した場合、病棟で保管している残余薬の処理について。

患者に交付されていない(所有権が移転していない)のであれば、医薬品 としての品質に問題がない場合、交付・調剤前のものとして帳簿に戻して再利用することができます。患者に交付された後、患者による管理が難しい等の理由から病棟管理をしている場合については、当該医薬品である覚醒剤原料を患者の家族等から譲り受 けた後、速やかに「交付又は調剤済みの医薬品である覚醒剤原料譲受届出書」を 保管場所の所在地の都道府県知事に届け出た上で、廃棄してください。また、廃 棄後30日以内に「交付又は調剤済みの医薬品である覚醒剤原料廃棄届出書」を、 保管場所の所在地の都道府県知事に届け出てください。 
【覚醒剤取締法第 30 条の9第2項、同法第 30 条の 14 第2項、第3項】 
【覚醒剤取締法施行規則第 19 条第2項、第3項】 


介護医療院で交付された医薬品である覚醒剤原料を服用していた入所者が亡くなった場合の残薬の処理。

介護医療院については、介護保険法第 115 条に「医療法及びこれに基づく命令以外の法令の規定において「病院」又は「診療所」とあるのは、介護医療院を含むものとする。」と規定されていることから、覚醒剤取締法においても、病院又は診療所として取り扱われます。


調剤前の不良品の覚醒剤原料の対応。 

不良品の医薬品である覚醒剤原料は、厚生労働大臣の許可を受け、覚醒剤原料製造業者等に譲り渡すことができます。 
また、廃棄する場合は、当該覚醒剤原料の保管場所の所在地の都道府県知事に届け出て、都道府県等の職員の立会いの下で廃棄する必要があります。 譲渡するにせよ廃棄するにせよ、まずは、当該覚醒剤原料を譲り受けた覚醒剤原料製造業者等に相談してください。 
【覚醒剤取締法第 30 条の9第1項第7号、同法第 30 条の 13】 
【覚醒剤取締法施行規則第 14 条第2項】


医薬品である覚醒剤原料を患者から譲り受けた後、紛失した場合の対応。

「覚醒剤原料事故届出書」の届出が必要です。
【覚醒剤取締法第 30 条の 14 第1項】


参考:
覚醒剤原料の取扱いに係る質疑応答について(2020年3月24日 厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課)

2020年3月30日月曜日

ベハイド RA 配合錠 販売中止と代替品

ベハイドRA配合錠が販売中止となるようです。

https://www.kyorin-pharm.co.jp/prodinfo/information/pdf/201910behydRAsoldout.pdf

経過措置は2021年3月31日までです。

ベハイドRA配合錠は降圧作用を有するベンチルヒドロクロロチアジドとレセルピンにカルバゾクロムを配合した血圧降下剤です。
ベンチルヒドロクロロチアジドの降圧作用の基本は、腎尿細管における Na+再吸収の抑制です。また、レセルピンの降圧作用は交感神経節後線維などにおけるノルエピネフリンの枯渇によるといわれています。レセルピンとベンチルヒドロクロロチアジドを併用することにより、相乗的な薬理作用の増強を期待しています。さらにレセルピンに起因する胃潰瘍の発生を軽減する目的でカルバゾクロムを併用しています。

1961年6月30日に日本で承認されました。海外ではベンチルヒドロクロロチアジドの単味剤はありますが、レセルピンとカルバゾクロムを配合したものは海外では承認されていません。良いものを合わせ一つにする日本らしい薬剤なのですが、ガラパゴス化してしまい有用なエビデンスもなくよくわからない薬という位置づけです。

今回、配合原薬の調達が困難となったため製造販売を中止することになりました。


ベハイドRA配合錠の代替品

べハイドRAと同じように利尿薬にレセルピンを配合した薬剤は存在しません。
高血圧治療において利尿薬は心不全や尿蛋白陰性のCKD、慢性期の脳血管障害や骨粗鬆症を併存している場合に推奨されます。しかし、レセルピンの降圧効果や安全性については不明なところも多く、積極的な使用は推奨されません。

代替品とあげるとすれば、利尿薬を使った降圧配合薬としてARBとの合剤があります。

あとは、利尿剤だけで様子を見るという方法も考えられます。サイアザイド系利尿薬が選択肢として上がってきます。サイアザイド系利尿薬にはフルイトランやヒドロクロロチアジドがあります。サイアザイド骨格はもたないもののサイアザイド系薬剤と同じく尿細管の遠位部NaCl-共輸送(NCC)を阻害して利尿効果を発する非サイアザイド系薬(サイアザイド類似薬)があります。非サイアザイド系薬剤としてはインダパミド、トリパミド、メフルシド、などが日本では使用されています。

高血圧治療に対する臨床効果に関してはどのサイアザイド系薬剤でも有効性が認められているわけではありません。降圧作用が最も認められているのは日本ではすでに発売が中止されているクロルタリドンです。日本で使用できるサイアザイド系薬剤のエビデンスはよく分かっていません。インダパミド2.5mg/日は脳卒中を合併している高血圧に有用性が示されているくらいです。
また、英国のNICEガイドラインでも降圧利尿薬を使用する場合には、サイアザイド系よりも非サイアザイド系降圧剤を用いることを推奨する声明を発表している点からも、強いて選択するならばインダパミドが代替の候補となるでしょうか。







エリックス点眼液 販売中止と代替品

抗アレルギー点眼剤エリックス点眼液0.25%が販売中止となるようです。

エリックス ® 点眼液0.25% の販売中止についてのご案内(千寿製薬)

経過措置は2020年3月31日まで

エリックス点眼液の有効成分であるアンレキサノクスは抗アレルギー作用を持つアザキサントン誘導体として、生薬の「黄芩(コガネバナの根)」の一成分であるバイカレインが元になっている化合物です。
生薬の成分がもとになっているリード化合物として薬剤師国家試験でも登場する基本的な薬です。

アンレキサノクスはヒスタミン遊離抑制作用及 びロイコトリエン生成抑制作用、 抗ロイコトリエン作用をあわせもち、しかも抗ヒスタミン作用はなく、I型およびⅢ型アレルギー反応を抑制することが認められています。

ただ、抗ヒスタミン作用がないために目のかゆみに対して即効性が期待できず、今ひとつな薬だったのですよね。

アンレキサノクスは錠剤も上市されていましたがすでに販売中止されています。エリックス点眼液の販売中止で日本の医療現場からアンレキサノクスが姿を消してしまうことになりました。
ドラッグ・リポジショニングで新たに注目を浴びることを期待しております。

エリックス点眼液の代替品

抗アレルギー作用を持つ点眼剤には以下があります。

ケミカルメディエータ遊離抑制薬

  • クロモグリク酸ナトリウム (インタール)
  • ペミロラストカリウム (ペミラストン 、アレギサール )
  • アシタザノラスト水和物 (ゼペリン )
  • イブジラスト (アイビナール、ケタス )
  • トラニラスト (トラメラスPF 、リザベン)


抗ヒスタミン薬

  • 塩酸レボカバスチン(リボスチン )
  • フマス酸ケトチフェン(ザジテン )
  • 塩酸オロパタジン(パタノール)
  • エピナスチン塩酸塩(アレジオン)

ノイビタ錠 販売中止と代替品

ビタミンB1誘導体のノイビタ錠が販売中止となるようです。

ノイビタ錠「25」販売中止のご案内(共和クリティケア)

経過措置は未定です。

ノイビタ錠はビタミンB1とチオクト酸の 2 つのビタミンを結合させたビタミンB1誘導体オクトチアミン製剤です。

戦後の食糧難では脚気やなどのビタミン欠乏症が国民病のようになっていました。そういうときに重宝されたのが、経口のビタミン剤です。
しかし、現在の日本で普通に食事を摂っていれば特定のビタミンが欠乏することはまずありません。役目を終えた薬です。


ノイビタ錠の代替品

ビタミンB1誘導体製剤にはノイビタ錠の他に以下の製品があります。

  • フルスルチアミン(アリナミンF)
  • ビスベンチアミン(ベストン)
  • ベンフォチアミン(ベンフォチアミン「トーワ」)
  • セトチアミン塩酸塩(ジセタミン)
  • チアミンジスルフィド(ジアノイナミン)


2012年の(平成24年)の診療報酬改定において、安易にビタミン剤を処方できなくなったことからビタミン剤の処方が大きく減ってきています。需要が減ってきていますし、薬価も安いことから他のメーカーも供給が難しくなってくることが予測されます。


一般用医薬品で生き残るノイビタブランド

医療用では販売中止されますが、ドラッグストアで購入できるビタミン剤のブランドとして『ノイビタ』は存続します。
ただし、医療用のようにビタミンB1単味ではなく、様々なビタミンが配合された製剤である点に注意です。

ノイビタZE(第3類医薬品)

アリステン錠 販売中止と代替品

非サイアザイド系降圧剤「アレステン錠 150mg」が販売中止となるようです。

アレステン錠 150mg 販売中止のご案内(日本新薬)

経過措置は2020年3月31日までです。

アリステン錠は1977年3月に日本で承認されたメチクランを成分とする非サイアザイド系降圧剤(サイアザイド類似薬)です。メチクランは1964年フランスRoussel Uclaf社で合成されたThiochroman誘導体の一つで、チアジド系と類似の作用を持つ利尿降圧薬として見いだされました。

アリステン錠の代替品

アリステン錠は非サイアザイド系降圧剤に分類されます。類薬にはインダパミド(ナトリックス)、トリパミド(ノルモナール)、メフルシド(バイカロン)などがあります。
非サイアザイド系降圧剤は構造式にサイアザイド骨格を持たないけれど、サイアザイド系降圧剤と同様の作用機序で降圧作用を示すと考えられています。

サイアザイド降圧剤と非サイアザイド系降圧剤は,長い間一括りにされ臨床的に大きな違いはないと考えられてきました。しかし近年この二つの薬剤は構造的にも薬理学的にも似て非なるものであることが証明されています。
降圧効果,持続時間そして心血管イベント発症抑制の面からも非サイアザイド系降圧剤の方がサイアザイド系利尿薬よりも優れていることが明らかに示され、かつ英国のNICEガイドラインでも降圧利尿薬を使用する場合には、サイアザイド系よりも非サイアザイド系降圧剤を用いることを推奨する声明を発表しています。

Hypertension in adults: diagnosis and management
NICE guideline [NG136]Published date: August 2019
If starting or changing diuretic treatment for hypertension, offer a thiazide-like diuretic, such as indapamide in preference to a conventional thiazide diuretic such as bendroflumethiazide or hydrochlorothiazide.



カルフェニール販売中止と代替品

関節リウマチ治療剤のカルフェニールが販売中止となるようです。

https://chugai-pharm.jp/content/dam/chugai/product/car/tab/if/doc/car_if.pdf

経過措置期間は2021年 3月31日までの予定です。

カルフェニールとは

カルフェニールの成分であるロベンザリットは、組織障害を示すフリーラジカル、いわゆる生体内活性酸素を捕まえる物質を探していた際に発見された化合物です。その後、基礎実験で T 細胞 subset への作用を介して各種免疫異常を是正する作用が認められました。一方で急性炎症に対する効果や PGE2生合成阻害作用がないことが明らかになりました。

ロベンザリットが臨床応用されたのは1976年のことです。このときはじめて関節リウマチに臨床応用されました。その後、第Ⅲ相二重盲検比較試験で関節リウマチに対するロベンザリットの有効性が確認され1986年3月1日にカルフェニールとして承認されました。

関節リウマチの臨床症状の改善をもたらすとともに血中免疫グロブリン等の諸種免疫パラメーターが改善されることもあり、免疫パラメーターの異常を是正して抗リウマチ作用を発揮する可能性のある薬剤であると考えられていました。


存在意義少なくなったカルフェニール
日本で早期に開発された関節リウマチ治療剤ですが、その後登場してきた薬剤に比べると効果は他の抗リウマチ薬に比して弱く,遅効性であることが目立ちます。
副作用として特に腎障害が問題となります。間質性腎障害が特徴で蛋白尿陰性にもかかわらず、BUNと血清クレアチニンが上昇し放置すれば腎不全に至ることがあるため使いにくい薬です。さらに皮疹、消化器症状も認められ、服薬コンプライアンスも得られにくいです。このように効果が弱い割に重大な副作用が多いことから、あえて本剤を使用する意義は少なく使用頻度は減少してきていました。


カルフェニールの代替品

関節リウマチは、関節滑膜の炎症を主とする慢性の炎症性疾患です。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、ADL(日常の動作)の障害、ひいては生活の質(QOL)の低下が起こってしまいます。また、適切に治療をしないと、様々な合併症により生命予後は健常人より約10年短いといわれています。したがって、発症早期から適切な治療を行わなくては関節予後及び生命予後を改善することはできないのです。このためには早期診断・早期治療が必要不可欠です。カルフェニールが誕生した頃の治療目標は臨床症状の軽減とADLの改善でしたが、治療薬としてメトトレキサート(MTX)と生物学的製剤が登場してから、リウマチ治療のパラダイムシフトが起きました。「寛解」が明確な治療目標へと変わったのです。寛解とは,臨床症状及び徴候の消失した状態と定義されます。
2016年に欧州リウマチ学会 (European League against Rheumatic Diseases, EULAR)によって提唱された「抗リウマチ薬による関節リウマチ治療推奨 」では,
①治療は,医師と患者との共同意思決定に基づく最善の治療でなくてはならない,
②治療法の決定は,疾患活動性の評価のみならず,関節破壊の程度,合併症,安全性などを総合的に勘案して行うことが必要である,
③治療法は費用対効果も考えて行うべきである,
が治療の原則であると記載されています。
欧州リウマチ学会の勧告ではメトトレキサートを第一選択薬に含むべきであるとしています。メトトレキサートが使用できない患者の場合にはスルファサラゾピリンもしくはレフルノミドを含んだ治療を選択すべきである、と推奨しています。

カルフェニールの代替品ですが、メトトレキサートが使用できないために、カルフェニールを選択されていたのですからスルファサラゾピリンのような従来型の抗リウマチ薬が候補としてあげられます。

・イグラチモド
日本で開発された比較的新しい抗リウマチ薬(csDMARD)です。第2相、第3相試験において本剤の臨床効果は有意にプラセボを上回り、サラゾスルファピリジンと同等であることが示されています。注意したいのは肝機能障害の頻度が比較的高いところです。漸増法により肝機能障害出現率が減少するとされるため、用法・用量は最初1日1回25mgを4週間服用し,その後1日2回(50mg)に増量することが勧められています。

・ブシラミン
金チオリンゴ酸ナトリウムやD-ペニシラミンと同等の効果が期待できると言われていました。製品名のネーミングがよいせいなのか日本でよく使用される抗リウマチ薬の一つです。副作用として、消化器症状(食欲不振,悪心,嘔吐,下痢)、皮膚粘膜症状(皮疹,口内炎,味覚障害)、腎障害(蛋白尿,ネフローゼ症候群)は頻度が高いです。頻度は少ないですが間質性肺炎、骨髄障害(白血球減少症・血小板減少症)、肝機能障害、爪の黄染・肥厚が認められます。比較的早期で症状と炎症反応が中等度以上の症例が適応と考えられています。

・サラゾスルファピリジン
関節リウマチにおける有用性が多くの無作為対照試験およびメタ分析で確認されている薬剤です。特に早期で比較的軽症の関節リウマチでの有用性が強調されています。効果の強さはヒドロキシクロロキンに優り、金チオリンゴ酸ナトリウムやD-ペニシラミンとほぼ同等とされていますがD-ペニシラミンにみられるような重篤な副作用は少ないです。効果発現は1~2カ月とより速やかです。副作用には胃腸障害が多いですが皮疹、肝機能障害、白血球減少が起こることがあります。少量投与(0.5g/日)から開始して漸増すると副作用発現を減少できるとされています。速効性が特徴であると考えられていて、比較的早期で軽症~中等症の関節リウマチに推奨されます。



2020年3月18日水曜日

2020年度診療報酬改定 調剤報酬点数表に規定する特定保険医療材料及びその材料価格

令和2年度保険医療材料制度改革の概要
2020年度診療報酬改定における「調剤報酬点数表に規定する特定保険医療材料及びその材料価格」、すなわち、院外処方箋で出すことのできる特定保険医療材料についていくつか変更点をみていきたいと思います。

2020年度改定ではダイアライザーの機能区分が変更されました。
2019年度までは、構造、膜面積及び透析能により、Ⅰa型(2区分)、Ⅰb型(2区分)、Ⅱa型(2区分)、Ⅱb型(2区分)、S型(2区分)及び特定積層型(1区分)の合計11区分に区分されていましたが、2020年度改定では膜面積による区分の合理化が図られ、構造及び透析能により、Ⅰa 型、Ⅰb 型、Ⅱa 型、Ⅱb 型、S型及び特定積層型の合計6区分に分けられることになりました。なお、価格も見直されています。


また、『携帯型ディスポーザブル注入ポンプ』『在宅寝たきり患者処置用気管切開後留置用チューブ』『在宅寝たきり患者処置用膀胱留置用ディスポーザブルカテーテル』
の材料価格が改定されました。
『携帯型ディスポーザブル注入ポンプ』の(1)化学療法用、(2)標準型、(3)PCA型がそれぞれ60円、30円、130円ダウンしました。
『在宅寝たきり患者処置用気管切開後留置用チューブ』は一般型のカフなし気管切開チューブが20円ダウン、)輪状甲状膜切開チューブは90円ダウンしました。
『在宅寝たきり患者処置用膀胱留置用ディスポーザブルカテーテル』は2管一般(Ⅱ)の①標準型が13円ダウン、(4)特定(Ⅰ)が15円ダウンしました。



 特定保険医療材料名

材料価(円)

前年度比(円)

インスリン製剤等注射用ディスポーザブル注射器

17

0

ホルモン製剤等注射用ディスポーザブル注射器

11

0

腹膜透析液交換セット

(1)交換キット

554

0

(2)回路

 ①Yセット

884

0

 ②APDセット

5,470

0

 ③IPDセット

1,040

0

在宅中心静脈栄養用輸液セット

(1)本体

1,520

0

(2)付属品

 ①フーバー針

419

0

 ②輸液バッグ

414

0

在宅寝たきり患者処置用栄養用ディスポーザブルカテーテル
(1)経鼻用

 ①一般用

183

0

 ②乳幼児用

  ア 一般型

94

0

  イ 非DEHP型

147

0

 ③経腸栄養用

1,630

0

 ④特殊型

2,110

0

(2)腸瘻用

3,880

0

万年筆型注入器用注射針

(1)標準型

17

0

(2)超微細型

18

0

携帯型ディスポーザブル注入ポンプ

(1)化学療法用

3,240

-60

(2)標準型

3,150

-30

(3)PCA型

4,330

-130

在宅寝たきり患者処置用気管切開後留置用チューブ

(1)一般型

 ①カフ付き気管切開チューブ

  ア カフ上部吸引機能あり

   ⅰ 一重管

4,190

0

   ⅱ 二重管

5,790

-50

  イ カフ上部吸引機能なし

   ⅰ 一重管

3,800

0

   ⅱ 二重管

6,140

0

 ②カフなし気管切開チューブ

4,080

-20

(2)輪状甲状膜切開チューブ

3,510

-90

(3)保持用気管切開チューブ

6,180

0

在宅寝たきり患者処置用膀胱留置用ディスポーザブルカテーテル

(1)2管一般(Ⅰ)

233

0

(2)2管一般(Ⅱ)

 ①標準型

561

-13

 ②閉鎖式導尿システム

645

0

(3)2管一般(Ⅲ)

 ①標準型

1,650

0

 ②閉鎖式導尿システム

1,720

0

(4)特定(Ⅰ)

741

-15

(5)特定(Ⅱ)

2,090

0

在宅血液透析用特定保険医療材料(回路を含む。)

(1)ダイアライザー

 ①Ⅰa型(膜面積1.5m2未満)

-

-

 ①Ⅰa型(膜面積1.5m2以上)

1,500

0

 ③Ⅰb型(膜面積1.5m2未満)

-

-

 ②Ⅰb型(膜面積1.5m2以上)

1,500

-20

 ⑤Ⅱa型(膜面積1.5m2未満)

-

-

 ③Ⅱa型(膜面積1.5m2以上)

1,490

0

 ⑦Ⅱb型(膜面積1.5m2未満)

-

-

 ④Ⅱb型(膜面積1.5m2以上)

1,570

-10

 ⑨S型(膜面積1.5m2未満)

-

-

 ⑤S型(膜面積1.5m2以上)

1,620

0

 ⑥特定積層型

5,700

0

(2)吸着型血液浄化器(β2-ミクログロブリン除去用)

21,700

-300

皮膚欠損用創傷被覆材

(1)真皮に至る創傷用(1cm2当たり)

6

0

(2)皮下組織に至る創傷用①標準型(1cm2当たり)

10

0

(2)皮下組織に至る創傷用②異形型(1g当たり)

35

0

(3)筋・骨に至る創傷用(1cm2当たり)

25

0

非固着性シリコンガーゼ

(1)広範囲熱傷用

1,080

0

(2)平坦部位用

142

0

(3)凹凸部位用

309

0

水循環回路セット

1,100,000

0



参考:
特定保険医療材料及びその材料価格(材料価格基準)の一部を改正する件(告示) "令和2年厚生労働省告示第61号"
特定保険医療材料の材料価格算定に関する留意事項について(通知)"令和2年3月5日保医発0305第9号"
特定保険医療材料の定義について(通知)"令和2年3月5日保医発0305第12号"









2020年3月13日金曜日

2020年度診療報酬改定 退院時薬剤情報連携加算【退院時薬剤情報管理指導料】

2020年度診療報酬改定において、ポリファーマシーに対する方策として退院時薬剤情報管理指導料に退院時薬剤情報連携加算が新設されました。



薬を何種類も服用しなくてはならない状態の中で、害をなすものを特にポリファーマシーと呼びます。ポリファーマシーは、単に服用する薬剤数が多いことではなく、それに関連した薬物有害事象のリスク増加、服薬過誤、服薬アドヒアランス低下等の問題につながる状態のことです。

ポリファーマシー解消のために病院では入院時に服用薬剤の中止や変更を行っています。退院時薬剤情報連携加算は、入院時に行ったポリファーマシー解消のための減薬の情報を退院時に調剤薬局へ文書で提供した際に算定できるものです。

退院時薬剤情報連携加算を算定するには、入院前の処方の内容に変更又は中止の見直しが必要です。そして患者又はその家族等の同意を得て、退院時に見直しの理由や見直し後の患者の状態等を保険薬局に対して文書で情報提供を行った場合に、退院の日に1回に限り60点を算定できます。
なお、患者1人につき複数の保険薬局に対し情報提供を行った場合においても、1回のみの算定です。
情報提供する調剤薬局は患者又はその家族に選んでもらいます。
文書は患者もしくはその家族等又は保険薬局に交付します。交付した文書の写しを診療録等に添付する必要があります。
作成する文書は日本病院薬剤師会作成の「薬剤管理サマリー」を参考にすると良いでしょう。

本来であれば処方をする退院後のかかりつけ医への情報提供が評価されてもよいのですが、そうではなく、調剤薬局への情報提供が評価されているのは病院と診療所の橋渡しを行い、調剤薬局の薬剤師が地域における継続的な薬学的管理指導を発揮することを期待されているのかもしれません。

2020.07追記
地域医療連携のためのツールとして、お薬手帳や施設間情報連絡書(薬剤管理サマリー)、服薬情報提供文書(トレーシングレポート)を活用する方法は2020年4月23日に病院薬剤師会が公表した、「地域医療連携の手引き(Ver.1)」が参考になります。
「地域医療連携の手引き(Ver.1)」は医療機関の薬剤師が、薬局薬剤師や他施設の医療従事者との情報共有を図ることを主な目的とした手引です。


[医科点数表]
B014 退院時薬剤情報管理指導料
注1
保険医療機関が、患者の入院時に当該患者が服薬中の医薬品等について確認するとともに、当該患者に対して入院中に使用した主な薬剤の名称(副作用が発現した場合については、当該副作用の概要、講じた措置等を含む。)に関して当該患者の手帳に記載した上で、退院に際して当該患者又はその家族等に対して、退院後の薬剤の服用等に関する必要な指導を行った場合に、退院の日に1回に限り算定する。この場合において、同一日に、区分番号B005に掲げる退院時共同指導料2(注1の規定により、入院中の保険医療機関の薬剤師が指導等を行った場合に限る。)は、別に算定できない。

(退院時薬剤情報連携加算)
注2
保険医療機関が、入院前の内服薬の変更をした患者又は服用を中止した患者について、保険薬局に対して、当該患者又はその家族等の同意を得て、その理由や変更又は中止後の当該患者の状況を文書により提供した場合に、退院時薬剤情報連携加算として、60点を所定点数に加算する。


[留意事項 保医発0305第1号]
B014 退院時薬剤情報管理指導料
(1) 退院時薬剤情報管理指導料は、医薬品の副作用や相互作用、重複投薬を防止するため、患者の入院時に、必要に応じ保険薬局に照会するなどして薬剤服用歴や患者が持参した医薬品等(医薬部外品及びいわゆる健康食品等を含む。)を確認するとともに、入院中に使用した主な薬剤の名称等について、患者の薬剤服用歴が経時的に管理できる手帳(区分番号「B011-3」薬剤情報提供料の(2)に掲げる手帳をいう。以下同じ。)に記載した上で、患者の退院に際して当該患者又はその家族等に対して、退院後の薬剤の服用等に関する必要な指導を行った場合に、退院の日に1回に限り算定する。
なお、ここでいう退院とは、第1章第2部通則5に規定する入院期間が通算される入院における退院のことをいい、入院期間が通算される再入院に係る退院日には算定できない。
(2) 入院時に、医薬品の服用状況及び薬剤服用歴を手帳等により確認するとともに、患者が、医薬品等を持参している場合には、当該医薬品等について実際に確認し、その名称等及び確認した結果の要点を診療録等に記載する。
(3) 入院中に使用した薬剤のうち、どの薬剤について手帳に記載するかは、患者の病態や使用する薬剤の種類によるが、少なくとも、退院直前(概ね退院前1週間以内)に使用した薬剤及び入院中に副作用が発現した薬剤については記載する。副作用が発現した薬剤については、投与量、当該副作用の概要、投与継続の有無を含む講じた措置、転帰等について記載する。
(4) 患者の退院に際して、当該患者又はその家族等に、退院後の薬剤の服用等に関する必要な指導(保険医療機関を受診する際や保険薬局に処方箋を提出する際に、手帳を提示する旨の指導を含む。)を行うとともに、退院後の療養を担う保険医療機関での投薬又は保険薬局での調剤に必要な服薬の状況及び投薬上の工夫に関する情報について、手帳に記載すること。
なお、指導の要点についても、分かりやすく手帳に記載し、必要に応じて退院時の処方に係る薬剤の情報を文書で提供すること。
なお、退院後、在宅療養を必要とする患者であって、手帳にかかりつけ薬剤師の氏名が記載されている場合は、退院後の薬学的管理及び指導に関しかかりつけ薬剤師への相談を促すよう努めること。
また、入院時に当該患者が持参した医薬品の服用状況等について保険薬局から提供を受けた場合には、患者の退院に際して、患者の同意を得たうえで、当該保険薬局に対して当該患者の入院中の使用薬剤や服薬の状況等について情報提供すること。
(5) 手帳を所有している患者については、原則として、退院時までに家族等に持参してもらうこととするが、持参できない場合には、必要な情報が記載された簡潔な文書(シール等)を交付し、所有している手帳に添付するよう、患者に対して指導を行った場合又は新たに手帳を発行した場合でも算定できる。
(6) 退院時薬剤情報管理指導料を算定した場合は、薬剤情報を提供した旨及び提供した情報並びに指導した内容の要点を診療録等に記載する。
なお、区分番号「B008」薬剤管理指導料を算定している患者の場合にあっては、薬剤管理指導記録に記載することで差し支えない。
(7) 「注2」に規定する退院時薬剤情報連携加算は、地域における継続的な薬学的管理指導を支援するため、保険医療機関から保険薬局に対して、患者の入院前の処方薬の変更又は中止に関する情報や変更又は中止後の患者の状態等に関する情報を提供することを評価するものである。
(8) 「注2」に規定する退院時薬剤情報連携加算は、退院時薬剤情報管理指導料の算定対象となる患者であって、入院前の処方の内容に変更又は中止の見直しがあったものに対して、患者又はその家族等の同意を得て、退院時に見直しの理由や見直し後の患者の状態等を、患者又はその家族等の選択する保険薬局に対して、文書で情報提供を行った場合に、退院の日に1回に限り算定する。なお、患者1人につき複数の保険薬局に対し情報提供を行った場合においても、1回のみの算定とする。
(9) 保険薬局への情報提供に当たっては、「薬剤管理サマリー」(日本病院薬剤師会)等の様式を参照して情報提供文書を作成し、当該文書を患者若しくはその家族等又は保険薬局に交付する。この場合において交付した文書の写しを診療録等に添付する。
(10) 死亡退院の場合は算定できない。

2020年度診療報酬改定 婦人科特定疾患治療管理料【特定疾患治療管理料】

2020年度診療報酬改定において、器質性月経困難症を有する患者に対しホルモン剤を投与する場合、婦人科医又は産婦人科医が、治療計画を作成し、継続的な医学管理を行った場合の評価として婦人科特定疾患治療管理料が新設されました。

ホルモン剤を投与されている器質性月経困難症と診断されている患者に、適切な研修を受けた常勤の婦人科の専門医が計画的に患者さん同意を得て、治療計画を作成し病気に関する管理・指導を行い、診療録にその内容を記録として残した場合に算定できます。

治療計画」については患者への交付並びに診療録保管用の診療計画書の1例を日本産科婦人科学会が示しています。
日本産科婦人科学会
ただし、算定するには必要な研修を受けた婦人科の常勤の医師がいることを厚生局へ届け出る必要があります。
しかし、この研修については該当するものが存在しません。日本産科婦人科学会および日本産婦人科医会が、算定要件を満たす適切な研修を制作されるようです。(2020年9月30日までには受講できるようになる予定)
それまでの間は暫定期間として、施設基準の届出用紙に受講予定者を記入したうえで厚生局に届出をし、他の基準を満たしていれば算定可能となります。

疑義解釈資料の送付について(その1)厚生労働省保険局医療課 事務連絡令和2年3月31日
【婦人科特定疾患治療管理料】
問 70 区分番号「B001」の「30」婦人科特定疾患治療管理料の施設基準について、
1 器質性月経困難症の治療に係る適切な研修とは何を指すのか。
2 施設基準通知において、「(1)に掲げる医師は、器質性月経困難症の治療に係る適切な研修を修了していること。ただし、研修を受講していない場合にあっては、令和2年9月30日までに受講予定であれば、差し支えないものとする。」とあるが、受講予定で届出た場合は、令和2年9月30日までに再届出が必要か。

(答)それぞれ以下のとおり。
1 現時点では、以下のいずれかの研修である。
① 日本産科婦人科学会の主催する器質性月経困難症に対する適正なホルモン療法等に係る研修
② 日本産婦人科医会の主催する器質性月経困難症に対する適正なホルモン療法等に係る研修
2 必要。なお、施設基準を満たさなくなった場合は、速やかに届出を取り下げること。


B001 特定疾患治療管理料
30 婦人科特定疾患治療管理料 250点

注1  別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、入院中の患者以外の器質性月経困難症の患者であって、ホルモン剤(器質性月経困難症に対して投与されたものに限る。)を投与している患者に対して、婦人科又は産婦人科を担当する医師が、患者の同意を得て、計画的な医学管理を継続して行い、かつ、療養上必要な指導を行った場合に、3月に1回に限り算定する。

注2  区分番号A000に掲げる初診料を算定する初診の日に行った指導又は当該初診の日の同月内に行った指導の費用は、初診料に含まれるものとする。


女性特有の疾患である「月経障害」「月経困難症」「子宮内膜症」などについて、多くの女性が「症状はあるが、それほど重大な病気ではない」と考え、医療機関受診を先延ばしにしている実態があります。

しかし、こうした受診先延ばしによる病気の放置が「月経困難症」から「子宮内膜症」へ、「子宮内膜症」から「子宮内膜がんなどの続発性疾患」へと症状が進んでいくことも分かっており早期発見・早期治療・重症化予防の重要性が叫ばれています。

こうした状況を踏まえ「月経困難症や子宮内膜症等の継続的・定期的な医学管理を行った場合の評価」として婦人科特定疾患治療管理料が新設されました。


月経困難症には、機能性と器質性があり、機能性は若年者に、器質性は30歳以上に起こりやすく加齢と共に悪化しやすいとされています。器質性月経困難症の原因疾患には、子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣嚢腫、子宮腺筋症などがあります。

参考:
産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2017(公益社団法人 日本産科婦人科学会)
http://www.jsog.or.jp/modules/about/index.php?content_id=16

[留意事項 保医発0305第1号
30 婦人科特定疾患治療管理料
(1) 婦人科又は産婦人科を標榜する保険医療機関において、入院中の患者以外の器質性月経困難症の患者であって、ホルモン剤(器質性月経困難症に対して投与されたものに限る。)を投与しているものに対して、婦人科又は産婦人科を担当する医師が、患者の同意を得て、計画的な医学管理を継続して行い、かつ、療養上必要な指導を行った場合に、3月に1回に限り算定すること。
(2) 治療計画を作成し、患者に説明して同意を得るとともに、毎回の指導内容の要点を診療録に記載すること。なお、治療計画の策定に当たっては、患者の病態、社会的要因、薬物療法の副作用や合併症のリスク等を考慮すること。
(3) 治療に当たっては、関連学会等から示されているガイドラインを踏まえ、薬物療法等の治療方針について適切に検討すること。

[施設基準:告示第59号]
(18)婦人科特定疾患治療管理料の施設基準
イ 婦人科又は産婦人科を標榜する保険医療機関であること。
ロ 当該保険医療機関内に婦人科疾患の診療を行うにつき十分な経験を有する医師が配置されていること。

[施設基準の留意事項 保医発0305第3号]
第4の9 婦人科特定疾患治療管理料
1  婦人科特定疾患治療管理料に関する施設基準
(1) 当該保険医療機関内に婦人科疾患の診療を行うにつき十分な経験を有する常勤の医師が1名以上配置されていること。
(2) (1)に掲げる医師は、器質性月経困難症の治療に係る適切な研修を修了していること。
ただし、研修を受講していない場合にあっては、令和2年9月 30 日までに受講予定であれば、差し支えないものとする。
なお、ここでいう適切な研修とは次のものをいうこと。
ア 国又は医療関係団体等が主催する研修であること。
イ 器質性月経困難症の病態、診断、治療及び予防の内容が含まれるものであること。
ウ 通算して6時間以上のものであること。
2  届出に関する事項
婦人科特定疾患治療管理料の施設基準に係る届出は、様式5の 10 を用いること。
様式5の 10
婦人科特定疾患治療管理料の施設基準に係る届出書添付書類
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000615889.pdf#page=133


月経障害、月経困難症、子宮内膜症等の疫学について

婦人科に行くべきときに行かなかった理由は?

月経困難症の治療継続は難しい

月経困難症、器質性月経困難症の原因疾患の特徴、検査、治療管理等の詳細

子宮内膜症、子宮筋腫、子宮腺筋症等の介入・治療イメージ

月経困難症は子宮頸がん発症のリスク