2014年4月2日水曜日

妊婦・授乳婦に使える血圧の薬

2014年4月1日日本高血圧学会は高血圧治療ガイドライン2014を公開しました。

日本高血圧学会
http://www.jpnsh.jp/guideline.html

前回のガイドラインからの変更点は46項目あります。
そのうち、妊娠高血圧の治療と授乳時降圧薬の使用について紹介します。


【妊娠高血圧の治療】

  • 妊娠高血圧の降圧目標についての確かなエビデンスはない。
  • ガイドラインにおける降圧目標は160mmHg/110mmHg未満
  • 第一選択の降圧薬にはメチルドパ、ヒドララジン(経口)、ラベタロールを用いる。
  • 2剤併用の場合異なる作用機序の組み合わせが望ましい。
  • 妊娠20 週以内ではメチルドパとヒドララジン、
    あるいはラベタロールとヒドララジンの組み合わせが推奨される。
  • 妊娠20 週以降では、「メチルドパ・ラベタロール」いずれかと、
    「ヒドララジン、徐放性ニフェジピン」いずれかの併用が推奨される。



【授乳時降圧薬の使用】

  • 2009年のガイドラインでは原則禁止とされていた降圧薬使用時の授乳だったが
    授乳に関して可能とされている降圧薬が掲載された。
  • 授乳に際し積極的に服薬を中止しない北米に倣うかたち。
  • 授乳と薬に関する情報源としてLact Med(http://toxnet.nlm.nih.gov/cgi-bin/sis/htmlgen?LACT)と
    妊娠と薬情報センター(http://www.ncchd.go.jp/kusuri/)が紹介された。


RID(相対授乳摂取量):10%以下であれば授乳可能であり、1%以下であればまず問題にならないと考えられている。





【2014.09.11追記】
アンジオテンシンII受容体拮抗剤(ARB)及びアンジオテンシン変換酵素(ACE) 阻害剤の妊婦・胎児への影響について

ARB及びACE阻害剤は、胎児への影響が報告されており、
妊婦への投与を避けるべき医薬品ですが、
国内において、妊娠の判明以降も
ARB又はACE阻害剤の服用を継続している症例、
胎児への影響が疑われる症例が、継続的に報告されています。

ARB又はACE阻害剤を服用する場合、以下の点にご注意ください。 

  • 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないでください。
  • 投与中に妊娠が判明した場合は、直ちに投与を中止してください。 
  • 妊娠する可能性のある婦人に投与する場合には、
    胎児に与える影響を説明し、 妊娠が判明した場合は、
    速やかに医師に相談するよう繰り返し患者へ説明してください。







高血圧治療ガイドライン2014

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