2014年4月17日木曜日

C型肝炎の治療法選択

C型肝炎の治療では以下2点が考慮されます。
1)ペグインターフェロン・リバビリン併用療法が可能か
2)肝臓の線維化(肝硬変)が進んでいるか


C型肝炎の治療成績はここ数年ジェノタイプ1型で飛躍的に向上しています。インターフェロン療法が登場した1992年では5%のウイルス排除率でしたが、ペグインターフェロン・リバビリン併用療法で約50%、昨年発売されたシメプレビル・ペグインターフェロン・リバビリン併用療法では90%近くまで向上しています。


C型肝炎の治療法選択
ウイルスの型や量によって治療法が異なります。

ジェノタイプ2型への抗ウイルス療法は、ペグインターフェロン・リバビリン併用療法が基本です。ただし、初回治療かつHCV RNAが5.0logIU/mL未満(ウイルス量が少ない)の場合に限りインターフェロン単独療法が適応となっています。


ジェノタイプ1型に関してはウイルス量が少ない場合に限りインターフェロン単独療法が行われます。しかし、その他の場合は、ペグインターフェロン・リバビリン・シメプレビルの3剤併用療法が第一選択となります。

日本肝臓学会の治療ガイドラインでは
抗ウイルス療法中にHCV RNAが陰性化しなかった治療無効例で肝硬変になっていない(肝臓の線維化非進展例)場合の再治療ではペグインターフェロン・リバビリン・テラプレビルの3剤併用療法も可能であるとされています。
また、65歳未満の肝硬変に至っていない肝線維化非進展例では「待機」も可能と定めています。

「待機」とは、インターフェロンを使わない開発中の治療薬の登場を待つことです。その場合、肝炎の進行を抑制するために肝庇護療法が行われます。

Yuji Morine,et al.(2014) Evaluation and management of hepatic injury induced by oxaliplatin-based chemotherapy in patients with hepatic resection for colorectal liver metastasis:Hepatol Res.;(Suppl S1):59-69.

C型肝炎治療ガイドライン(第2版)2013年11月 - 日本肝臓学会



経口薬のみの治療

2014年秋にインターフェロン不要の経口抗ウイルス剤の2剤併用療法が登場予定です。65歳未満の線維化非進展例、すなわち肝がんリスクの低い待機中の患者さんが対象となります。また、貧血や心疾患、自己免疫疾患そしてうつ病などでインターフェロンが使用できない患者さんも対象となります。


開発中の経口薬治療の注意点
2014年登場予定の経口抗ウイルス薬はプロテアーゼ阻害薬のアスナプレビルとNS5A複製複合体阻害薬のダクラタスビルです。対象はジェノタイプ1b型の患者さんです。臨床試験では85%のウイルス排除率を示しました。非常に期待の高いお薬ではありますが、考慮すべき問題点が2つあります。

一つ目は
ダクラタスビルに耐性をもっている例が10人に1人か2人存在するということです。経口投与治療前にダクラタスビル耐性ではないことを確認しておく必要があります。

二つ目は
肝機能障害の副作用です。臨床試験においてALT上昇発生率は15.8%でした。ALT正常上限の10倍以上の上昇も起こりえます。肝病変進展例では注意が必要です。

C型慢性肝炎に対する経口薬のみによる治療薬を世界に先駆けて日本にて承認申請(ブリストルマイヤーズ プレスリリース)