これらの新設項目は、物価高騰による固定費負担の軽減と、薬剤師・事務職員の賃上げ原資確保を目的としたものです。改定全体のプラス改定率(約+3.09%)の多くを占める重要な内容です。
早めの準備が収益に直結します。
1. 調剤物価対応料とは?(物件費・エネルギー高騰対策)
エネルギー価格や物価高騰による薬局の維持管理コスト(家賃・光熱費など)を補助するための新設評価料です。算定機会が限定的な点に要注意。
- 点数:1点
- 算定タイミング:処方箋を受け付けた場合に、3ヶ月に1回に限り算定可能
(患者ごとではなく、薬局単位で管理。レセコン設定で重複算定を防ぎましょう) - 将来的な変更:令和9年(2027年)6月以降は、所定点数の100分の200(実質2倍=2点)で算定可能
→ 段階的に強化され、長期的なコスト支援が期待できます。
ポイント
処方箋回数が多い薬局でも、月額換算で数千円〜1万円程度の増収に留まる可能性が高いです。過度な期待はせず、調剤基本料の引き上げ分と合わせて活用を。
2. 調剤ベースアップ評価料とは?(賃上げ促進)
薬剤師・事務職員等の確実な賃上げを図るための新設評価料。算定により職員処遇改善の原資を直接確保できます。届出が必須なので、準備が鍵です。
- 点数:4点(処方箋の受付1回につき)
→ 受付ごとの算定が可能。処方箋枚数が多い薬局ほどメリット大です。 - 算定要件と手続き
- 届出必須:職員の賃金改善体制が厚生労働大臣の定める施設基準に適合していることを、地方厚生局長等に届け出ること。
- 施設基準の主な内容
- 当該保険薬局に勤務する対象職員(薬剤師・事務職員等)がいること
- 対象職員の賃金改善を実施するための体制(賃上げ計画の策定・実行)が整備されていること
- 将来的な変更:令和9年6月以降は、所定点数の100分の200(実質2倍=8点)で算定
経営ポイント
- 月間処方箋1,000枚の薬局の場合、導入期で月約4,000点(約4万円)の増収見込み。令和9年6月以降は約8万円へ倍増。
- 届出を怠ると一切算定不可 → 早めの賃上げ計画策定と厚生局への届出を強く推奨。
- 賃上げ目安:薬剤師約3.2%、事務職員約5.7%程度のベースアップが想定されています。
3. 段階的評価の全体像と今すぐやるべきこと
改定資料では「令和8年度及び令和9年度において段階的な評価とする」と明記。以下のように進化します。
- 導入期(2026年〜令和9年5月)
- 調剤物価対応料:1点(3ヶ月に1回)
- 調剤ベースアップ評価料:4点(受付ごと)
- 令和9年6月以降
- 両項目とも2倍(100分の200)へ移行
やること
- 調剤ベースアップ評価料の届出準備(最優先)
→ 賃上げ計画書を作成し、令和8年早々に地方厚生局へ届出。職員説明会も実施。 - レセコン・システム対応
→ 調剤物価対応料の「3ヶ月に1回」制限を正しく設定。算定漏れ・重複を防ぐ。 - 収益シミュレーション
→ 自薬局の処方箋枚数で試算。ベースアップ評価料の影響が大きいはずです。 - 職員処遇改善の実行
→ 増収分を確実に給与へ還元。離職防止・採用力向上につなげる。
この改定は「物価・賃上げ対応」で薬局の持続可能性を高めるチャンスです。一方で、届出漏れや運用ミスで機会損失にならないよう、早めの行動を!
詳細は厚生労働省の個別改定項目資料や地方厚生局サイトで最新情報をご確認ください。
