2024年1月27日土曜日

2024年度診療報酬改定 がん薬物療法体制充実加算【外来腫瘍化学療法診療料】

2024年度診療報酬改定において、悪性腫瘍の患者に対する外来における安心・安全な化学療法の実施を推進する観点から、外来腫瘍化学療法診療料について、医師が患者に対して診察を行う前に、薬剤師が服薬状況や副作用の発現状況等について確認・評価を行い、医師に情報提供、処方に関する提案等を行った場合の評価として「がん薬物療法体制充実加算」が新設されました。

外来化学療法の際に、医師の診察前に薬剤師が患者と面談し、医師へ副作用の評価を伝えたり、支持療法の提案を行っている医療機関はすでにいくつか存在するようです。
このような取り組みについて、2023年に日本臨床腫瘍薬学会が医師向けに調査したところ、「診察する上で有用な情報」(92%)や、「薬物治療の効果や安全性の向上につながっている」(78%)との回答があがりました。
さらに、67%の医師は「外来診察時間の短縮につながっている」と回答していました。
また、吐き気・嘔吐、末梢神経障害、疼痛といった化学療法の副作用に関して、薬剤師の介入前後でQOL評価尺度が有意に向上したとの報告もああります。
このような報告から、外来化学療法の診察前に薬剤師が介入して医師へ情報提供や処方提案等を行うことで化学療法の有効性、安全性の確保を通じた医療の質向上に貢献すると共に、医師の働き方改革にもつながる点が評価されたものと考えられます。



中央社会保険医療協議会 総会(第559回)令和5年10月18日


B001-2-12外来腫瘍化学療法診療料
(新) がん薬物療法体制充実加算 100点

[算定要件]
別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、1のイを算定する患者に対して、当該保険医療機関の医師の指示に基づき薬剤師が服薬状況、副作用等の情報収集及び評価を行い、医師の診察前に情報提供や処方提案等を行った場合は、がん薬物療法体制充実加算として、月1回に限り100点を所定点数に加算する。

[施設基準]
化学療法を実施している患者の薬学的管理を行うにつき必要な体制が整備されていること。

[留意事項]
(10) 「注9」に規定するがん薬物療法体制充実加算については、
外来腫瘍化学療法診療料1を届け出た保険医療機関において、
外来腫瘍化学療法診療料1のイの(1)を算定する患者に対して
(4)イ及びウに掲げる業務について、
医師の指示を受けた薬剤師による業務のうち、
医師の診察前に服薬状況、副作用の有無等の情報を患者から直接収集し、
評価を行った上で、
当該医師に当該患者に係る情報提供、処方提案等を行った場合は、
月1回に限り 100 点を所定点数に加算する。
なお、必要に応じて、医師の診察後においても、抗悪性腫瘍剤、副作用に対する薬剤等の使い方等について、適宜患者に対して説明を行うこと。

※(4)イ及びウに掲げる業務とは
(4) 外来化学療法の実施及びその他必要な治療管理を行うに当たっては、患者の心理状態に十分配慮された環境で、以下の説明及び指導等を行うこと。
なお、患者の十分な理解が得られない場合又は患者を除く家族等にのみ説明を行った場合は算定できない。
ア 化学療法を初めて実施する場合、レジメンを変更した際、及び必要に応じて、患者に対して、抗悪性腫瘍剤の効能・効果、投与計画、副作用の種類とその対策、副作用に対する薬剤や医療用麻薬等の使い方、他の薬を服用している場合は薬物相互作用、日常生活での注意点、抗悪性腫瘍剤ばく露の予防方法等について文書により説明を行うこと。
なお、抗悪性腫瘍剤ばく露の予防方法については、関係学会から示されている抗悪性腫瘍剤ばく露対策の指針に基づき、患者及びその家族等に対して指導を行うこと。

イ アについては、医師の指示を受けた、抗悪性腫瘍剤に係る業務に従事した経験を有する専任の薬剤師が実施しても差し支えない。
ただし、その場合、アに加えて、指導を行った薬剤師が、当該患者の診療を担当する医師に対して、指導内容、過去の治療歴に関する患者情報(患者の投薬歴、副作用歴、アレルギー歴等)、服薬状況、患者からの症状及び不安等の訴えの有無等について医師に報告するとともに、必要に応じて、副作用に対応する薬剤、医療用麻薬等又は抗悪性腫瘍剤の処方に関する提案等を行うこと。

ウ 指導内容等の要点を診療録若しくは薬剤管理指導記録に記載又は説明に用いた文書の写しを診療録等に添付すること。