2026年2月16日月曜日

2026年度(令和8年度)診療報酬改定:選定療養の主な変更点

2026年度(令和8年度)の「保険外併用療養費制度(選定療養)」の見直しについて、解説します。

今回の改定のポイントは、患者ニーズの多様化対応と後発医薬品使用促進・創薬イノベーション推進です。特に薬局では、時間外調剤の選定療養化、長期収載品の患者負担引き上げ、近視進行抑制薬の新設、そしてOTC類似薬の新たな負担仕組み(2027年3月予定)が注目されます。

1. 時間外対応の選定療養対象拡大(薬局の時間外調剤追加)

これまで病院・診療所のみ対象だった「時間外の対応」が、保険薬局の「緊急性のない時間外調剤」にも拡大されます。

解説
患者の生活様式多様化に対応し、開店時間外の希望調剤で特別料金を徴収可能に。ただし、緊急やむを得ない時間外調剤は従来通り選定療養対象外です。薬局では、緊急性の判断基準を明確にしたマニュアル作成と、料金設定の事前検討が急務です。これにより、薬剤師の時間外負担に対する適正対価確保が期待されます。

改定後(2026年6月1日適用予定) 改定前
保険医療機関又は保険薬局が表示する診療時間又は開店時間以外の時間における診察等 保険医療機関が表示する診療時間以外の時間における診察

2. 長期収載品の選定療養負担割合引き上げ

後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)を患者希望で使用する場合の特別料金が、価格差の「4分の1」から「2分の1」相当へ引き上げられます。

解説
後発品使用促進とイノベーション原資確保が目的。患者負担が増すため、薬局窓口での丁寧な説明・後発品提案がより重要に。トラブル防止のため、改定前から患者周知と同意取得体制を強化しましょう。後発品使用率向上で在庫回転も改善の見込みです。

改定後(2026年6月1日適用予定) 改定前
当該療養に係る医薬品の薬価から、先発医薬品の薬価から当該先発医薬品の後発医薬品の薬価を控除して得た価格に二分の一を乗じて得た価格を控除して得た価格 当該療養に係る医薬品の薬価から、先発医薬品の薬価から当該先発医薬品の後発医薬品の薬価を控除して得た価格に四分の一を乗じて得た価格を控除して得た価格

3. 新規追加:近視進行抑制薬の選定療養

小中学生の近視進行抑制ニーズの高まりを受け、アトロピン硫酸塩水和物等(リジュセアミニ等)の医薬品が選定療養対象に新設されます。

解説
コンタクトレンズ処方等の保険診療と併用で希望する場合に適用。関連する眼科学的検査は「年2回限り」「1回につき2種類まで」の制限が新設されます。薬局では眼科処方箋増加が見込まれ、服薬指導・在庫管理の体制強化をおすすめします。

改定後(2026年6月1日適用予定) 改定前
(新設)近視の進行抑制を効能又は効果として、医薬品医療機器等法第十四条第一項の承認を受けた医薬品の支給 (なし)

4. 回数超過診療の選定療養対象拡大(リハビリ分野)

回数制限超過の対象に「摂食機能療法」「リンパ浮腫複合的治療料」が追加されます。

解説
これまで疾患別リハビリ等に限られていたものが拡大。関連処方箋が増える可能性があるため、在庫・服薬指導の見直しを。

改定後 改定前
医科点数表等に規定する回数を超えて受けた診療であって別に厚生労働大臣が定めるもの(「摂食機能療法」及び「リンパ浮腫複合的治療料」を追加) 医科点数表等に規定する回数を超えて受けた診療(疾患別リハビリテーション等)

5. 療養の給付と直接関係ないサービスの明確化

選定療養とは別に、患者から費用徴収可能な項目が明確化(患者の明確な説明・同意必須)。

  • 予約やオンライン診療のシステム利用料
  • 予約診察の患者都合キャンセル料(直前キャンセルに限る、治癒によるものは除く)
  • Wi-Fi利用料
  • 多言語対応費用(通訳手配・翻訳機使用料等)

解説
薬局でもオプションサービスとして導入可能。収益多角化のチャンスですが、同意記録の徹底を。

6. 今後の予定:OTC類似薬の新たな負担仕組み(選定療養とは別)

2026年度中(2027年3月予定)で実施。OTC医薬品で対応可能な軽微症状の医療用医薬品(77成分・約1,100品目)に対し、薬剤費の4分の1相当の特別料金を設定する新たな仕組みが創設されます。

解説
選定療養とは異なり、患者選択ではなく保険給付の必要性が低いものへの適用。こども・慢性疾患患者・低所得者等への配慮あり。薬局ではOTCコーナー強化とセルフメディケーション支援体制を今から構築しましょう。

まとめ

今回の改定は患者中心のサービス向上と適正対価確保の両立が鍵です。

  1. 時間外調剤選定療養化 → 患者利便性向上と薬剤師負担の対価確保。自局の料金ポリシー策定を。
  2. 長期収載品負担増(2分の1へ) → 患者説明負担増。後発品提案強化と事前周知が必須。
  3. OTC類似薬対応(2027年3月予定) → セルフメディケーション推進。在庫・相談体制の見直しを急ぎましょう。