2020年2月16日日曜日

2020年度診療報酬改定 服用薬剤調整支援料1と服用薬剤調整支援料2のちがい【服用薬剤調整支援料】

ポイント
「1」は文書を用いて減薬提案を行い内服薬が2種類以上減った結果をを評価
「2」は重複投薬の解消に対する提案という行動を評価


2020年の診療報酬改定において薬局の対人業務の評価項目として「服用薬剤調整支援料2」が新設されました。

服用薬剤調整支援料2は、患者の重複投薬是正に向けて処方状況を薬局が一元的に把握し、是正内容を処方医に提案することで100点(3月に1回まで)を算定できるものです。
かかりつけ医と薬局とのこれまでにない密接な連携をつくり上げることを目的としています。


14の3 服用薬剤調整支援料
1 服用薬剤調整支援料 125点
服用薬剤調整支援料2 100点 (新設)

注1
1については、6種類以上の内服薬(特に規定するものを除く。)が処方されていたものについて、処方医に対して、保険薬剤師が文書を用いて提案し、当該患者に調剤する内服薬が2種類以上減少した場合に、月1回に限り所定点数を算定する。


2については、複数の保険医療機関から6種類以上の内服薬(特に規定するものを除く。)が処方されていたものについて、患者又はその家族等の求めに応じ、当該患者が服用中の薬剤について、一元的に把握した結果、重複投薬等が確認された場合であって、処方医に対して、保険薬剤師が当該重複投薬等の解消に係る提案を文書を用いて行った場合に、3月に1回に限り所定点数を算定する。

服用薬剤調整支援料1と服用薬剤調整支援料2のちがい

患者の意向を踏まえ、患者の服薬アドヒアランス及び副作用の可能性等を検討した上で、処方医に減薬の提案を行い、その結果、 処方される内服薬が減少した場合を評価したものが服用薬剤調整支援料1です。
6種類以上の内服薬が処方されていることが条件で、文書により減薬を処方医に提案した結果、2種類以上減少した場合に算定できます。


一方、患者からの求めに基づき、患者が服用中の薬剤について、重複投薬等の状況を含めた一元的把握を行い、処方医に重複投薬の解消に係る提案を行った場合を評価したものが服用薬剤調整支援料2です。
薬局はレセプト情報やお薬手帳、患者への聞き取りによって、処方医療機関を含めて「一元的把握」を行います。その結果として重複投薬等を見つけた場合に、処方医に重複投薬等の是正のために情報を文書で提供すると算定できます。

「1」、「2」の大きな違いは、「1」は内服薬減薬の提案を行い減薬された『結果』を評価しているところと、「2」が減薬のための『提案自体』を評価しているところでしょう。
また、「2」では複数医療機関の処方状況の一元把握が条件となっており、かかりつけ薬剤師による業務を評価しようとしいるのかもしれません。

重複投薬等の解消に係る提案に必要な情報

最低限以下の情報は提案の際に文書に記載しておきたいですね。


  • 受診中の医療機関と診療科名
  • 処方薬剤一覧
  • 重複投薬の状況
  • 服用薬の理解度やアドヒアランス
  • 常用のOTCやサプリメント
  • 患者が気になっている事項など

youtube 令和2年度診療報酬改定の概要(Q&A・調剤)より

同じ内容を再度提案した場合でも算定可能なのか?

一度重複投薬等の解消に係る提案をしたものの状況が変わらなかった場合、3ヶ月後に同一の内容で再度提案を行った場合には算定はできません。


既に服用薬剤調整支援料2を算定した案件で服用薬剤調整支援料1も算定できるのか


服用薬剤調整支援料2を算定した案件で、その後処方医が処方内容を見直し2種類以上減薬となり服用薬剤調整支援料1の要件を満たすこととなることが起こりえますが、そのような場合は服用薬剤調整支援料1は算定することはできません。






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疑義解釈資料の送付について(その1)厚生労働省保険局医療課 事務連絡令和2年3月31日
問 15 重複投薬等の解消に係る提案を行い、服用薬剤調整支援料2を算定した後に、当該提案により2種類の薬剤が減少して服用薬剤調整支援料1の要件を満たした場合には、服用薬剤調整支援料1も算定できるか。

(答)算定できない。


問 16 同一患者について、同一月内に複数の医療機関に対して重複投薬等の解消に係る提案を行った場合、提案を行った医療機関ごとに服用薬剤調整支援料2を算定できるか。

(答)同一月内に複数の医療機関に対して提案を行った場合でも、同一患者について算定できるのは1回までである。


問 17 医療機関Aに重複投薬等の解消に係る提案を行って服用薬剤調整支援料2を算定し、その翌月に医療機関Bに他の重複投薬等の解消に係る提案を行った場合、服用薬剤調整支援料2を算定できるか。

(答)服用薬剤調整支援料2の算定は患者ごとに3月に1回までであり、算定できない。


問 18 保険薬局が重複投薬等の解消に係る提案を行ったものの状況に変更がなく、3月後に同一内容で再度提案を行った場合に服用薬剤調整支援料2を算定できるか。

(答)同一内容の場合は算定できない。

疑義解釈資料の送付について(その5)厚生労働省保険局医療課 事務連絡令和2年4月16日
問5 
医療機関に提供する患者の重複投薬等に係る報告書における「現在服用中の薬剤の一覧」については、一覧表に記載することに代えて手帳の写しを添付することで差し支えないか。

(答)患者が服用中の全ての薬剤を容易に把握できる一覧を作成することが目的であることから、手帳の写しの添付では不十分である。このため、要件を満たさない。


[調剤点数表]
14の3 服用薬剤調整支援料
1 服用薬剤調整支援料1  125点
2 服用薬剤調整支援料2  100点

注2 2については、複数の保険医療機関から6種類以上の内服薬(特に規定するものを除く。)が処方されていたものについて、患者又はその家族等の求めに応じ、当該患者が服用中の薬剤について、一元的に把握した結果、重複投薬等が確認された場合であって、処方医に対して、保険薬剤師が当該重複投薬等の解消に係る提案を文書を用いて行った場合に、3月に1回に限り所定点数を算定する。

[留意事項 保医発0305第1号]
区分 14 の3 服用薬剤調整支援料
(2) 服用薬剤調整支援料2
ア 服用薬調整支援料2は、
複数の保険医療機関から内服薬が合計で6種類以上処方されている患者に対して、患者若しくはその家族等の求めに応じて、保険薬局の保険薬剤師が、重複投薬等の解消のために以下の取組をすべて行った場合に算定する。
 (イ) 患者の服用薬について、手帳の確認、患者への聞き取り又は他の保険薬局若しくは保険医療機関への聞き取り等により、一元的に把握すること。
  なお、同種・同効薬が処方されている場合は、必要に応じて処方の背景を処方医又は患者若しくはその家族等に確認すること。
 (ロ) 重複投薬等のおそれがある場合には、重複投薬等の解消に係る提案を検討し、当該提案及び(イ)の内容を記載した報告書を作成し、処方医に対して送付すること。

イ 内服薬の種類数の考え方は、
服用薬剤調整支援料1に準ずる。
 また、6種類以上の内服薬について、少なくとも1種類は当該保険薬局で調剤されている必要がある。

アの(ロ)の報告書
以下の内容を含む別紙様式3又はこれに準ずるものをいう。
 (イ) 受診中の保険医療機関、診療科等に関する情報
 (ロ) 服用中の薬剤の一覧
 (ハ) 重複投薬等に関する状況
 (ニ) 副作用のおそれがある患者の症状及び関連する薬剤
 (ホ) その他(残薬、その他患者への聞き取り状況等)

エ 「重複投薬等の解消に係る提案」とは、
重複投薬の状況や副作用の可能性等を踏まえ、患者に処方される薬剤の種類数の減少に係る提案をいう。この場合において、当該文書の写しを薬剤服用歴の記録に添付する等の方法により保存しておくこと。

オ 重複投薬等の解消に係る提案を行う場合、
患者の希望、かかりつけ医の有無及び処方開始日等について十分な聞き取りを行った上で、処方内容の見直しを依頼する処方医に対して報告書を送付すること。

カ 処方内容の見直し状況について患者の次回以降の来局時に確認すること。

キ 当該加算の算定に係る保険医療機関、患者又はその家族等への情報提供については、
服薬情報等提供料を別途算定できない。