2020年2月11日火曜日

2020年度診療報酬改定 特定薬剤管理指導加算2【薬剤服用歴管理指導料】

ポイント
・レジメン通りに患者が服薬できているか電話等で確認すること。
・対象患者は注射のレジメンで治療されていること。
・連携充実加算を届出ている医療機関の患者であること。

2020年度診療報酬改定において、外来化学療法に関する薬局と医療機関の連携強化を図り、がん患者に対するより質の高い医療を提供する観点から、薬局が患者のレジメン等を把握した上で必要な服薬指導を行い、次回の診療時までの患者の状況を確認し、その結果を医療機関に情報提供した場合について行う新たな評価として特定薬剤管理指導加算2を新設しました。

特定薬剤管理指導加算2は医科の「外来化学療法加算」の施設基準に薬局との連携体制が盛り込まれ「連携充実加算」が新設されることとセットで考えておかなくてはいけません。

特定薬剤管理指導加算2が新設された背景には、優れた抗がん剤や制吐剤等の登場などにより「化学療法を外来で受けられる環境の整備」が進み、また「治療と仕事の両立ニーズ」が増加している点があります。「患者のニーズに応じて、より積極的に外来での化学療法実施を選択できる」体制の受け皿としての薬局の役割が期待されています。主ながん種の平均在院日数は短くなり、外来患者数は今後増えていきます。通院で治療を受けながら治療の副作用や症状等をコントロールしつつ、仕事を続けている場合が増えてくるでしょう。
「より質の高い外来化学療法」の実施に向けて、医療機関から薬局へのレジメン情報等提供、薬局から医療機関への副作用情報等提供などといった、医療機関と薬局との連携を強化する必要があるのです。

【薬剤服用歴管理指導料】
(新)  特定薬剤管理指導加算2 100点(月1回まで)

[対象患者]
保険医療機関(連携充実加算を届出ている場合に限る)において、抗悪性腫瘍剤が注射されている悪性腫瘍の患者であって、化学療法のレジメン(治療内容)等について、文書により交付されているもの。

[算定要件]
(1)保険医療機関で、抗悪性腫瘍剤を注射された患者について、当該患者の治療内容等を文書により確認し、必要な薬学的管理及び指導を行った場合であって、当該患者の同意を得た上で、調剤後の抗悪性腫瘍剤の服用に関し、電話等により服用状況、副作用の有無等について患者に確認し、当該保険医療機関に必要な情報を文書等により提供した場合には、特定薬剤管理指導加算2として、月1回に限り100点を所定点数に加算する。
(2)当該加算における薬学的管理及び指導を行おうとする保険薬剤師は、原則として、保険医療機関のホームページ等でレジメン(治療内容)を閲覧し、あらかじめ薬学的管理等に必要な情報を把握すること。

[施設基準]
特定薬剤管理指導加算2に規定する施設基準
(1)保険薬剤師としての勤務経験を5年以上有する薬剤師が勤務していること。
(2)患者との会話のやりとりが他の患者に聞こえないようパーテーション等で区切られた独立したカウンターを有するなど、患者のプライバシーに配慮していること。
(3)麻薬及び向精神薬取締法(昭和28年法律第14号)第3条の規定による麻薬小売業者の免許を取得し、必要な指導を行うことができる体制が整備されていること。
(4)保険医療機関が実施する抗悪性腫瘍剤の化学療法に係る研修会に当該保険薬局に勤務する薬剤師の少なくとも1名が年1回以上参加していること。

[経過措置]
令和2年9月30日までの間は、上記(4)の規定の基準を満たしているものとする。

2019年11月22日中医協総会(第435回)「外来医療(その2)について」

2019年11月22日中医協総会(第435回)「外来医療(その2)について」

2019年11月22日中医協総会(第435回)「外来医療(その2)について」


2019年11月22日中医協総会(第435回)「外来医療(その2)について」

疑義解釈資料の送付について(その1)厚生労働省保険局医療課 事務連絡令和2年3月31日
問 10 特定薬剤管理指導加算1と特定薬剤管理指導加算2は併算定可能か。

(答)特定薬剤管理指導加算2の算定に係る悪性腫瘍剤及び制吐剤等の支持療法に係る薬剤以外の薬剤を対象として、特定薬剤管理指導加算1に係る業務を行った場合は併算定ができる。


問 11 患者が服用等する抗悪性腫瘍剤又は制吐剤等の支持療法に係る薬剤の 調剤を全く行っていない保険薬局であっても算定できるか。

(答)算定できない。


問 12 電話等により患者の副作用等の有無の確認等を行い、その結果を保険医療機関に文書により提供することが求められているが、算定はどの時点から行うことができるのか。

(答)保険医療機関に対して情報提供を行い、その後に患者が処方箋を持参した時である。 この場合において、当該処方箋は、当該加算に関連する薬剤を処方した保険 医療機関である必要はない。
なお、この考え方は、調剤後薬剤管理指導加算においても同様である。


問 13 電話等による服薬状況等の確認は、メール又はチャット等による確認でもよいか。

(答)少なくともリアルタイムの音声通話による確認が必要であり、メール又は チャット等による確認は認められない。
なお、電話等による患者への確認に加え、メール又はチャット等を補助的に活用することは差し支えない。


[調剤点数表]
10 薬剤服用歴管理指導料
(特定薬剤管理指導加算2)
注7 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険薬局において、別に厚生労働大臣が定める患者に対して、当該患者の副作用の発現状況、治療計画等を文書により確認し、必要な薬学的管理及び 指導を行った上で、当該患者の同意を得て、悪性腫瘍の治療に係る薬剤の投薬又は注射に関し、電話等により、その服用状況、副作用の有無等について患者に確認し、保険医療機関に必要な情報を文書により提供した場合には、特定薬剤管理指導加算2として、月1回に限り100点を所定点数に加算する。この場合において、区分番号15の5に掲げる服薬情報等提供料は算定できない

[留意事項 保医発0305第1号]
区分 10 薬剤服用歴管理指導料
8 特定薬剤管理指導加算2
 (1) 特定薬剤管理指導加算2は、診療報酬点数表の第2章第6部注射通則第7号の連携充実加算を届け出ている保険医療機関において、抗悪性腫瘍剤を注射された悪性腫 瘍の患者に対して、抗悪性腫瘍剤等を調剤する保険薬局の保険薬剤師が以下のアからウまでの全てを実施した場合に算定する。 
ア 当該患者のレジメン(治療内容)等を確認し、必要な薬学的管理及び指導を行うこと。
イ 当該患者が注射又は投薬されている抗悪性腫瘍剤及び制吐剤等の支持療法に係る薬剤に関し、電話等により服用状況、副作用の有無等について患者又はその家族等に確認すること。
ウ イの確認結果を踏まえ、当該保険医療機関に必要な情報を文書により提供すること。

 (2) 「抗悪性腫瘍剤等を調剤する保険薬局」とは、患者にレジメン(治療内容)を交付した保険医療機関の処方箋に基づき、保険薬剤師が抗悪性腫瘍剤又は制吐剤等の支 持療法に係る薬剤を調剤する保険薬局をいう。

 (3) 特定薬剤管理指導加算2における薬学的管理及び指導を行おうとする保険薬剤師は、 原則として、保険医療機関のホームページ等でレジメン(治療内容)を閲覧し、あらかじめ薬学的管理等に必要な情報を把握すること。

 (4) 電話等による患者の服薬状況及び副作用の有無等の確認は、電話の他、リアルタイムでの画像を介したコミュニケーション(以下「ビデオ通話」という。)による連 絡及び患者が他の保険医療機関の処方箋を持参した際の確認が含まれる。電話又はビデオ通話により患者に確認を行う場合は、あらかじめ患者に対し、電話又はビデオ通話を用いて確認することについて了承を得ること。

 (5) 患者の緊急時に対応できるよう、あらかじめ保険医療機関との間で緊急時の対応方法や連絡先等について共有することが望ましい。また、患者の服薬状況の確認において、重大な副作用の発現のおそれがある場合には、患者に対して速やかに保険医 療機関に連絡するよう指導することや受診勧奨を行うことなどにより、必要な対応 を行うこと。

(6) 保険医療機関に対して情報提供した文書の写し又はその内容の要点等を薬剤服用歴の記録に添付又は記載する。

(7) 当該加算の算定時に行う保険医療機関への文書による情報提供については、服薬情報等提供料は算定できない。

(8) 患者1人につき同一月に2回以上の情報提供を行った場合においても、当該加算の算定は月1回のみとする。

(9) 抗悪性腫瘍剤等に関する患者の服用状況及び副作用の有無等の確認を行う際に、他の保険医療機関又は他の診療科で処方された薬剤に係る情報を得た場合には、必要 に応じて、患者の同意を得た上で、当該他の保険医療機関等に情報提供を行うこと。 この場合において、所定の要件を満たせば服薬情報等提供料を算定できる。