2026年(令和8年度)調剤報酬改定における「無菌製剤処理加算」の内容を解説します。今回の改定は、小児・周産期医療の充実を重視したもので、特に小児患者に対する評価が強化されています。
1. 改定の基本的な考え方
今回の見直しは、保険薬局において6歳以上の小児に対しても、体重による投与量の調整などが発生する実態を踏まえたものです。これにより、小児に対する無菌製剤処理の手間や専門性がより適切に評価されることになります。
2. 具体的な変更点
大きな変更点は以下の2点です。
- 対象年齢の拡大
従来は「6歳未満の乳幼児」が加算の特例対象でしたが、これが「15歳未満の小児」へと大幅に拡大されました。 - 中心静脈栄養法用輸液の点数引き上げ
15歳未満の小児に対して「中心静脈栄養法用輸液」を行った場合の点数が、従来の137点から237点へと大幅に引き上げられました。
3. 新旧点数比較表
左側が改定後(15歳未満)、右側が改定前(6歳未満)の比較です。基本点数(大人など)に変更はありませんが、小児加算の特例部分が手厚くなっています。
| 対象薬剤区分 | 改定後(15歳未満の小児) | 改定前(6歳未満の乳幼児) |
|---|---|---|
| 中心静脈栄養法用輸液 | 237点 | 137点 |
| 抗悪性腫瘍剤 | 147点 | 147点 |
| 麻薬 | 137点 | 137点 |
※15歳以上(改定前は6歳以上)の通常点数は、それぞれ69点、79点、69点で変更ありません。
4. 算定要件の詳細
- 対象薬剤: 「中心静脈栄養法用輸液」、「抗悪性腫瘍剤」、「麻薬」の3区分。
- 点数の適用:
- 通常の患者(15歳以上):従来通り(69点〜)。
- 15歳未満の小児:特例点数(237点、147点、137点)を適用。
- 施設基準の緩和: 在宅薬学総合体制加算2の要件において、無菌設備の保有が「必須」から「選択要件」へ緩和されました。これにより、自前で設備を持たない薬局も、共同利用などで実績(1回以上)を作れば上位加算を狙えるようになります。
影響と対策
- 算定機会の最大化: 対象年齢が15歳未満まで広がったことで、中学生までの在宅患者や高度な薬学的管理が必要なケースを積極的に受け入れるインセンティブが働きます。
- 在宅実績への波及効果: 無菌製剤処理を1回でも行うことが、在宅薬学総合体制加算2(最大100点)の算定要件の一つとなるため、経営全体へのインパクトは点数以上に大きくなります。
- 連携の強化: 小児科クリニックや訪問診療医との連携を強化し、「小児在宅ならあの薬局」というポジションを築くことが、今後の地域支援体制加算の実績作りにも寄与します。