1. 概要と点数
本改定により、在宅患者の薬剤管理指導を強化する観点から、以下の点数が新設されました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 区分 | 15の10(新設) |
| 名称 | 複数名薬剤管理指導訪問料 |
| 点数 | 300点 |
この新設は、在宅療養患者の増加を見据え、訪問薬剤管理指導の円滑な実施と実効性向上を目指しています。
2. 対象となる患者と状態
この指導料は、すべての在宅患者様に適用できるわけではなく、特定の状態にある患者が対象です。
- 患者の状態: 行動面での運動興奮等がみられる状態にある患者(例: 精神疾患や認知症による興奮・暴力行為等)。
- 医師の判断: 通院が困難な患者のうち、医師が複数名訪問の必要性があると認めるもの。
つまり、薬剤師1名では安全かつ適切な指導が困難なケースを想定しています。
3. 訪問体制(同行者について)
この点数の特徴は、同行者が薬剤師に限定されない点です。これにより、薬局の柔軟な人員配置が可能になります。
- 訪問体制: 保険薬局の保険薬剤師が、当該保険薬局または在宅協力薬局に勤務する職員とともに、複数名で訪問。
- 同行者の資格: 薬剤師以外の者(例: 事務職員等)も可能。
患者またはその家族等の同意を得て、必要な薬学的管理および指導を行います。
4. 算定要件(前提条件)
算定には、ベースとなる訪問薬剤管理指導料の状況に制約があります。基本的に単身または少人数の訪問先が対象で、集合住宅等の効率的なケースは除外されます。
- ベースの点数: 「在宅患者訪問薬剤管理指導料の1(単一建物診療患者が1人の場合)」を算定している患者、または厚生労働大臣が定める患者が対象。
- 同意: 患者またはその家族等の同意を得る必要があります。
- 指導内容: 複数名で訪問し、必要な薬学的管理および指導(例: 残薬管理、副作用確認等)を行った場合に算定。
5. 併算定不可
同日に以下の指導料を算定している場合は、この「複数名薬剤管理指導訪問料」は算定できません。
- 在宅患者緊急時等共同指導料
- 在宅移行初期管理料
- 訪問薬剤管理医師同時指導料
これらは、在宅医療の他の連携評価と重複を避けるための規定です。
6. 施設基準(対象患者の詳細)
対象患者は、以下のいずれかの指導料・管理指導費を算定している患者に限定されます。
- 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料を算定している患者(ただし、「在宅患者訪問薬剤管理指導料の1」を算定している患者に限る)。
- 居宅療養管理指導費(介護保険、薬局の薬剤師が行う場合で「単一建物居住者が1人の場合」に限る)。
- 介護予防居宅療養管理指導費(介護保険、薬局の薬剤師が行う場合で「単一建物居住者が1人の場合」に限る)。
施設基準の届出が必要な場合もありますので、確認をおすすめします。
7. 費用負担(交通費)
訪問に伴う交通費は、原則として患者の負担となります。患者・家族への事前説明が重要です。
補足
この点数は、これまで「危険が伴うため訪問が難しい」「1人では対応しきれない」として介入が困難だった患者に対し、事務スタッフ等とペアで訪問することで適切な薬剤管理を提供することを後押しするものです。特に、同行者が他職種(薬局スタッフ)でも認められる点、在宅協力薬局のスタッフでも連携可能である点は、柔軟な人員配置を可能にする重要なポイントです。算定にあたっては、医師による「複数名訪問の必要性」の判断記録や、患者様・ご家族への同意取得(特に交通費負担について)を確実に残しておくよう運用体制を整備しておきまっしょう。