2026年(令和8年度)調剤報酬改定の全体像が見えてきました。そのインパクトは、経営者が過去の改定とは一線を画す「構造改革」を迫られるレベルです。
今回は、薬局のタイプや状況別に想定される「全10ケースのシミュレーション」を作成しました。自社の薬局がどれに該当し、月間でどの程度のインパクトがあるのか。まずは数字で現状を直視してください。
第1部:経営基盤を揺るがす「減収の罠」
立地依存型、門前型薬局にとって、今回の改定はまさに「冬の時代」の到来です。
後発品加算の廃止・統合により、使用率が85%を割り込むと、地域支援体制加算まで巻き添えで「ゼロ」になるリスクがあります。整形外科や皮膚科など、先発品希望が多い門前薬局は致命的です。
| 項目 | 改定前 | 改定後 |
|---|---|---|
| 基本料+体制加算 | 77点 | 47点(加算喪失) |
| 後発品加算 | 21点 | 0点 |
| ベースアップ評価 | なし | 4点 |
| 合計(1回あたり) | 98点 | 51点 |
▲940,000円 の減収 (年間 約1,128万円減)
調剤管理料が「28日以上(60点)」か「それ以外(10点)」の2択へ。小児科・耳鼻科・急性期内科など、7〜14日処方がメインの薬局は大幅な単価ダウンです。
月間収支(1,500枚):▲600,000円 の減収
モール内の複数医療機関を「1つの機関」とみなすルールが厳格化。基本料が特例(調剤基本料2など)に落ちるだけでなく、新設の「立地依存減算(-15点)」が適用される可能性があります。
月間収支(2,500枚):▲375,000円〜 の減収
大病院前に密集するエリア(いわゆる薬局銀座)での新規開局や更新には、強力なペナルティ(立地依存減算 -15点)が課されます。
実質 15点 スタート (基本料2 30点 - 減算 15点)
第2部:在宅・対人業務シフトによる「増収」
国が求める「機能」に応える薬局には、これまで以上の報酬が約束されています。
施設在宅の点数が据え置かれる中、単一建物1人(個人在宅)への体制加算は50点から100点へ倍増しました。
| 項目 | 改定前 | 改定後 |
|---|---|---|
| 在宅体制加算(1人) | 50点 | 100点 |
| かかりつけ訪問加算 | なし | 230点(新設) |
+40,000円 の増収 (新設加算を含めればさらにアップ)
施設在宅(複数人)の点数は横ばいです。さらに、麻薬や小児の実績要件が厳格化され、ただ施設を受けているだけの薬局は加算維持が難しくなります。
これまで算定が難しかった「医師との同行訪問」がついに評価されました。「訪問薬剤管理医師同時指導料(150点)」などが新たな収益源になります。
病院連携による減薬提案(50点〜)やフォローアップ(50点)の積み上げは、薬剤師の専門性を収益に変える最もクリーンな方法です。
数百点の積み増しが可能
第3部:DX対応とインフラ投資の明暗
DXへの投資は、もはやコストではなく「生存条件」です。
電子処方箋やオンライン資格確認を導入し、賃上げを行うことで「ベースアップ評価料」と「DX関連加算」の両方を獲得できます。
約60,000円の原資確保
従来の「医療情報取得加算」が廃止され、新設DX加算も算定できない場合、Case 9と比較して明確な差がつきます。
年間 約144,000円 の機会損失
まとめ:2026年改定を生き抜くために
今回の全10ケースが示すのは、「調剤量で稼ぐ時代の完全な終了」です。
特にCase 1(後発品)、Case 2(短期処方)、Case 3(モール)に該当する薬局は、経営の根幹が揺らぐ可能性があります。その穴を埋めるには、Case 5(個人在宅)やCase 8(対人業務)へのシフトしか道はありません。
危機をチャンスに変える一歩を、今すぐ踏み出しましょう。