2026年2月19日木曜日

2026年調剤報酬改定:薬局タイプ別10のシミュレーション

2026年(令和8年度)調剤報酬改定の全体像が見えてきました。そのインパクトは、経営者が過去の改定とは一線を画す「構造改革」を迫られるレベルです。

今回は、薬局のタイプや状況別に想定される「全10ケースのシミュレーション」を作成しました。自社の薬局がどれに該当し、月間でどの程度のインパクトがあるのか。まずは数字で現状を直視してください。


第1部:経営基盤を揺るがす「減収の罠」

立地依存型、門前型薬局にとって、今回の改定はまさに「冬の時代」の到来です。

Case 01 後発品使用率85%未満の「連鎖的失点」

後発品加算の廃止・統合により、使用率が85%を割り込むと、地域支援体制加算まで巻き添えで「ゼロ」になるリスクがあります。整形外科や皮膚科など、先発品希望が多い門前薬局は致命的です。

項目改定前改定後
基本料+体制加算77点47点(加算喪失)
後発品加算21点0点
ベースアップ評価なし4点
合計(1回あたり)98点51点
月間収支(2,000枚)
▲940,000円 の減収 (年間 約1,128万円減)
対策:もはや「患者希望」を理由に先発品を出す余地はありません。医師への情報提供と、患者への同意取得スキルの再教育が必須です。
Case 02 短期処方メインの「管理料ショック」

調剤管理料が「28日以上(60点)」か「それ以外(10点)」の2択へ。小児科・耳鼻科・急性期内科など、7〜14日処方がメインの薬局は大幅な単価ダウンです。

1回あたり単価:▲40点(400円減)
月間収支(1,500枚):▲600,000円 の減収
対策:リフィル処方箋の提案や、長期処方への移行を医師と連携して進める必要があります。
Case 03 医療モールの「合算集中」と立地減算

モール内の複数医療機関を「1つの機関」とみなすルールが厳格化。基本料が特例(調剤基本料2など)に落ちるだけでなく、新設の「立地依存減算(-15点)」が適用される可能性があります。

基本料単価:▲15点〜30点減
月間収支(2,500枚):▲375,000円〜 の減収
Case 04 「薬局銀座」への最後通告

大病院前に密集するエリア(いわゆる薬局銀座)での新規開局や更新には、強力なペナルティ(立地依存減算 -15点)が課されます。

新規開局時の基本料
実質 15点 スタート (基本料2 30点 - 減算 15点)
対策:集中率を85%未満へ下げるための面分業化、または在宅特化への業態転換が急務です。


第2部:在宅・対人業務シフトによる「増収」

国が求める「機能」に応える薬局には、これまで以上の報酬が約束されています。

Case 05 個人在宅への「評価倍増」

施設在宅の点数が据え置かれる中、単一建物1人(個人在宅)への体制加算は50点から100点へ倍増しました。

項目改定前改定後
在宅体制加算(1人)50点100点
かかりつけ訪問加算なし230点(新設)
月間収支(80回訪問)
+40,000円 の増収 (新設加算を含めればさらにアップ)
Case 06 大型施設在宅の「格差拡大」

施設在宅(複数人)の点数は横ばいです。さらに、麻薬や小児の実績要件が厳格化され、ただ施設を受けているだけの薬局は加算維持が難しくなります。

影響:±0円(現状維持が精一杯)
Case 07 医師同時指導という「新市場」

これまで算定が難しかった「医師との同行訪問」がついに評価されました。「訪問薬剤管理医師同時指導料(150点)」などが新たな収益源になります。

対策:訪問診療医への同行提案を強化し、連携の質を収益に変えましょう。
Case 08 ポリファーマシー対応の専門性

病院連携による減薬提案(50点〜)やフォローアップ(50点)の積み上げは、薬剤師の専門性を収益に変える最もクリーンな方法です。

患者1人あたり
数百点の積み増しが可能


第3部:DX対応とインフラ投資の明暗

DXへの投資は、もはやコストではなく「生存条件」です。

Case 09 DX・賃上げ対応完了組

電子処方箋やオンライン資格確認を導入し、賃上げを行うことで「ベースアップ評価料」と「DX関連加算」の両方を獲得できます。

月間収支(1,500枚)
約60,000円の原資確保
Case 10 DX未対応による機会損失

従来の「医療情報取得加算」が廃止され、新設DX加算も算定できない場合、Case 9と比較して明確な差がつきます。

Case 09との比較
年間 約144,000円 の機会損失
対策:早期導入支援を活用し、システム改修を急いでください。

まとめ:2026年改定を生き抜くために

今回の全10ケースが示すのは、「調剤量で稼ぐ時代の完全な終了」です。

特にCase 1(後発品)、Case 2(短期処方)、Case 3(モール)に該当する薬局は、経営の根幹が揺らぐ可能性があります。その穴を埋めるには、Case 5(個人在宅)やCase 8(対人業務)へのシフトしか道はありません。

危機をチャンスに変える一歩を、今すぐ踏み出しましょう。